平成維新

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062044752

感想・レビュー・書評

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  • 大前さんが都知事だったらいろいろと面白かっただろうな

  • 古い本で、国・霞が先がどう合っていくべきなのか大前さんの主張が書かれています。さすがに賛否両論ありますが、ゼロベース改革は惹かれるものがありました。

  • (20090519〜20090530読了)
    ・わが国における選挙は政策問題で票が大きく変わることは希で、むしろ人々は固定した投票パターン(支持政党、支持者)を持っており、そのうちどのような人々が実際に投票所に来るかのほうが、政策論争よりも実は重要だ。P10
    ・ODA(政府開発援助)は「平成新山」と呼んでもいいくらい利権のマグマの噴出し口としては新しい。P11
    ・国家理念、新国歌、新国旗、新しい政府の組織などを、ご破算で願いましては・・・すなわちゼロベースで構築するのが良いのではないか。P20
    ・金持ちは治安の悪い時には自分でガードマンを雇い、教育については私学に、という自衛にでる。つまり、カネのある人は政府を諦めてしまっているので、社会全体として何とか歯止めをかけようという抑止力にならない。P22
    ・自分さえ良ければどうでもよい、というのはアメリカ的民主主義の最終到着地点であると見えて、これを不用意に輸入した戦後の我が日本においても、人々の社会性のなさが結局世の中をアメリカとは違った意味で住みにくくしている。P23
    ・ゼロベースで改革をする気が国民の側にあれば、今の政治を改革する事はさほど難しい事ではない。P30
    ・日本の政党の形態そのものが大きな問題をかかえている。政治の望ましいあり方の一つとして、「二大政党」ということがよく言われる。しかし日本の場合、自民とが党としての共通理念を持たない単なる集合体になっており、社会党の「労働者」というアンチテーゼが、アンチテーゼたりえなくなっている。P38
    ・アメリカは伝統的に見れば、共和党が保守的な資本家側、民主党が進歩的な労働組合側である。P41
    ・日本の諸制度の中で、政治に最も大きなひずみを生んでいる「諸悪の根源」の筆頭は、県、市、町という、細分化され、重層化された行政単位である。P50
    ・日本の石油が高いのは日本に原料がないからではなく、保護行政で甘やかされているからである。P69
    ・工学の進歩とは失敗を教訓にする事であり、失敗や事故を隠さず、万人の共有財産とする事。P74
    ・企業経営は、世界的に均質化しつつある購買者に照準を合わせないと、よりグローバルな企業に敗北する。P78
    ・世界の人々にとって日本ががたんなる生産国、工業品輸出国として捉えられているのでなく、親友、あるいはかけがえのないパートナー、彼らにとっての大市場、趣旨者、技術の源などになることが、日本自信の安全保障、そして繁栄につながると言う事を忘れてはならない。P81
    ・最近では、経営力のない銀行が倒産する事は金融市場効率化のためにはむしろ好ましい、と考えられている。P86
    ・資産のなり国民はリスクに耐える力がない−このため国民の自己責任という考え方が定着しない。ハイリスク・ハイリターン商品がほとんど根付かず、かえって豊田商事やネズミ講など、諸外国では考えられないまやかし商法がはびこる結果になっている。P89
    ・税に関するフィロソフィががいために徴税側の論理が押し通され、集めやすい、取りやすい所から取るということが近代国家でまかり通っている。P93
    ・検討を加えると、大蔵省の主要任務は租税の徴収と国債の発行、管理、すなわち歳入側のみということになる。P103
    ・経済は一流、官僚は二流、政治は三流といわれるが、日本の外交はそのまた下の四流である。P107
    ・ODAは、それほど途上国のためになっているのか極めて疑問。被援助国が記念碑的事業をしたがるため、例えば不必要に頑丈な橋を作ったりしている。P118
    ・世界の人々に対して、いわれのない日本たたきなどをした場合には日本は厳しく対応するということを世界の人々に知らせることも重要。P126
    ・日本の国土計画はほとんど全てハード主体で、建設や改造を前提としている。政府は国土計画とは美しい自然を破壊し、コンクリートを流し込むものだと勘違いしている風潮がある。P144
    ・日本の教育というのは、方向の決まったガンバリズムの社会に対しては、おとなしくて良質な人材を算出してきたが、社会が大きく変化しつつある近年、今のままの均一化した教育では、むしろ変革への障害となっている。P164
    ・教育現場の教師たちにしても、本当に何を目的に教育するべきかという発想をもちあわせていない。P167
    ・文部省が策定している教育内容は10年に一回しか見直されないため、時代遅れになるばかりではなく、決定機関は構造的に現在の社会ニーズをとらえずらい組織になっている。P174
    ・教育そのものの目的・・・「現在のようなグローバル時代に、人生を楽しく、有益に送れるような人間を育てる」。P186
    ・日本では大病院が外来部門を「赤字でも正当化されるマーケティング事業」と位置付け、外来で入院患者をみつけて入院部門でもうける仕組みが出来上がっている。P201
    ・アメリカでは医療はビジネス。保険についてもメディケアやメディケイトの最低保証の制度はあるが、たいていの人は自分の責任で、自分のランクにあったホケンを買わなければならない。P212
    ・アメリカの郵便に比べ日本はかなり割高。
    ・NHKは外国でよく、”政府の放送局”という言い方で誤解される事が多いが、実際には国民の一人一人が出資している”国民放送局”である。P230
    ・運輸省は宅配便等の合理的な物流業者が登場すると、道路運送法を盾に、「全億3万7000のトラック業界のほとんどは零細企業なので、保護するのは勤め」とばかり、トラック免許の発行を渋る。P237
    ・航空自由化の時代に運輸省に求められているのは、以遠権や路線件の獲得といった古典的な国際交渉一辺倒ではなく、利用者の利便性と経済性である。P247
    ・日本の警察は、先進諸国と比較してみると、少ない人員でより高い検挙率を上げている。P259
    ・日本の一般道路の最高速度が必要以上に低く制限されているという実感は、諸外国の最高速度を調べてみると、的外れでない事がわかる。P263
    ・統治機構に関して、情報化社会の発展、国家の昨日の警察国家からの積極的転換により、国家運営に必要な情報・財源に関する機能を独占している中央行政府の実質的権限は拡大した。P305
    ・歴史的に見てみるとどんなに優れた国家運営の理念でさえも長い間変えなければコケが生え、次第にその弊害の方が多くなってくる。P319
    ・基本的人権については、日本に居住、滞在する外国人を含め、全てのものが傍受することが確認される必要がある。P322
    ・肥大化した中央の権限を地方自治体もしくはそれに類したものに分割、委譲し、人民自治を実現する。P323
    ・新国家運営理念の草案
    前文
    日本国民は、その勤勉さと平安を愛することによって、自らの生活レベルを上げると同時に、世界の平和と人類の永続に積極的に貢献していきたいと思う。資源や領土を求めるのではなく、人間の持つ英知の開発からもたらされる経済と文化の発展によって、人類の幸福が実現するとの信念を、広く世界の人々と共有したいと願う。人間として家族、コミュニティ、国家を、他の国々とのつきあいを、宗教、性別、民族、言語、身体の特徴を越えて大切にしてゆきたいと思う。人は生まれながらにして平等であり、また安全にして幸せな人生を送る権利を有する。しかし、人生において得られる尊敬と保護の程度は人によって異なる。このため日本国民は生まれながらに備わった能力の開発に、生涯努力の傾注を惜しまない。P324
    ・今日の国際社会において、日本および日本人が果たすべき役割は、たんに「他国に対して侵略を行わない」だけでなく、より積極的なものが期待されている。P326
    ・道州レベルの機関は今の件をもとに行政機関を地方別に集約し、また国の地方局などがここに集まってくるので、大幅な自治が可能になる。P366
    ・日本の政治がなぜ腐敗するかは明らか。つまり外に向かった目的が失われ、大きな改革は望むべくもなく、個々の役人や議員は無力官にさいなまれながらも、そのとおりすぎる道すじには国家予算という大量のカネが流れている。P373
    ・A:中央集権、国税の分配、官僚の自己目的化、腐敗、外部団体、陳情、免税店、無責任、ごね得、地価高騰などが、昭和憲法と自民党独裁40年の招いた今日的結果。
    ・B:自己責任、自主、地方自治、自由経済、世界との双方向開放経済、平等などが、「平成維新」による新しい国づくりの方向であり、今より楽しく豊かな生活がそのに待っている。P379
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    感想

  • 今からおよそ二十年前に書かれた本。
    生産者、供給者側にたった自民党政治の問題、戦後の復興に大きな役割を果たした省庁が今では逆に日本の足かせになっていることなどを指摘し、真に日本が豊かで住みやすく国際社会での責任も果たす国になるための大胆なゼロベース改革を提言する。現実味がないかもしれないがこの本は本人が言うとおり議論のたたき台で、立派と思う。さらには憲法などの国家理念や行政・立法・司法のあるべき姿についても触れる。
    この本が世に出てからおよそ二十年、日本はどのように変わったのだろうか。小泉改革がもたらしたのは弱者への痛みだけ。今こそ国民一人ひとりが真剣になって日本の未来を案じるときか。
    この本のアイディアで道州制導入はとても魅力的にうつる。地方が特色を生かした産業振興をし、国は国防や外交に集中する。地方自治についてはせっかくアメリカ合衆国にいるのだから実地で勉強したいと思う。

  • 大前氏をこの本で初めてしりました。

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著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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