白い航跡〈上〉

著者 :
  • 講談社
4.00
  • (1)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 15
感想 : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062053310

作品紹介・あらすじ

日清戦争時、陸軍では戦死・戦傷死者合計の3倍以上の兵が脚気で死亡した。日露戦争では陸軍軍人中戦死者47,000人、脚気患者22,600人、脚気死亡27,800人。しかし海軍では両度とも脚気患者は殆ど皆無であった。日本海軍から脚気を僕滅した初代海軍軍医総監高木兼寛の、不屈の信念と人類愛に貫かれた明治初年の青春を描く。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 薩摩藩で大工を営む高木喜助の長男・藤四郎(高木兼寛)が、幕末・明治の揺籃期にかけて、医学の道に専念し海軍軍医総監(少将)まで昇りつめ、海軍兵士に頻発する脚気の撲滅に尽力した不撓不屈の生涯に迫った、吉村昭氏の長編歴史小説です。薩摩藩の隊付き医師として、鳥羽伏見の戦、彰義隊討伐、会津戦争に従軍した兼寛は、鉄砲や大砲で負傷した官軍兵士の外科手術法を学んでいないため、救える命を救えないもどかしさに我が身を恥じたことが、後年英国に留学しセント・トーマス病院で勉学に励み、凱旋帰国する稀代の人物となっていくのでした。

  • 当時大問題だった脚気の予防にとりくみ、観察と実験を基に海軍の食事改革を実行して、日本の「疫学」の祖とも言われる高木兼寛を描いた歴史小説で、彼の視線から幕末・明治の医学・医療と社会を垣間見ることができる。物語は戊辰戦争(薩摩藩軍医として従軍)から始まり、淡々とした描写にくじけそうになったが、これは後の活躍の様々な伏線であった。鹿児島と英国医学の深いつながりを初めて知り、大河ドラマ等でなじみのある歴史事象も数々登場する。
    彼の業績は多岐にわたり、本書で触れて欲しいが、その一つは英国留学時にナイチンゲール創設の看護婦学校で養成された看護師に感銘を受け、日本初の看護婦教育所を設立したことである。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉村昭の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×