なにもしてない

著者 :
  • 講談社
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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062055338

作品紹介・あらすじ

私はここにいます。生きていることのリアリティーを希求して、現実と幻想の間を往還するモノローグの世界。個性強烈な第一小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 3.25/24
    内容(「BOOK」データベースより)
    『私はここにいます。生きていることのリアリティーを希求して、現実と幻想の間を往還するモノローグの世界。個性強烈な第一小説集。』

    冒頭
    『破傷風でもなければ凍傷でもない。ただの接触性湿疹をこじらせた挙句、部屋から出られなくなり妖精を見た。天皇即位式の前後だった。私の部屋は、八王子の旧バイパスに面している。』


    『なにもしてない』
    著者:笙野頼子(しょうの よりこ)
    出版社 ‏: ‎講談社
    単行本 ‏: ‎215ページ

  • 作中は平成の即位礼のころ、私はちょうど令和になるころにこの本を手にとって、その頃は主人公と同様、ナニモシテナイ同然生活を送っていたので、妙なシンパシーを感じつつ読み進めていました

  • 『なにもしてない』

     ナニモシテナイ生活ゆえに皮膚病をこじらせる。その状態はひどいものなのに、ナニモシテナイという言葉が呪文のように繰り返され、ナニモシテナイ後ろめたさが人質となり、病院に行くことすらできない。わかってしまうなー、ナニモシテナイ自分が美容院に行くなんて、飲みに行くなんて、とどんどん卑屈で地味な生活に浸っていく感じ(病院には行くけどな!)。何者かであらねば、生産的であらねば、という圧力に、我々は無意識にさらされている。
     ナニモシテナイ生活は、家族からの仕送りなしでは成立しない。子を意のままに操り、感情をぶつける母に対する複雑な思い。生きづらさを抱えながらも「書く」ことに対して強い決意を表すような作品だと感じた。

    『イセ市、ハルチ』

     親類、故郷の呪い。人間には、前を向いて生きるために「忘れる」という脳の機能が備わっている。この物語の主人公は、「故郷」というファイルを丸ごと消去し、さらにゴミ箱も空にしてしまったように何も残っていない。しかし帰郷は、辛い記憶を呼び覚ます行為。「明日また何もかも忘れるかもしれなかった。」という締めの文章が、そうするしか生きる術がない悲しさを物語っている。

  • 笙野頼子さんの作品はだいたいそうだけど、これも私小説に近いお話。
    「タイムスリップ・コンビナート」、「東京妖怪浮遊」ときて著作の癖の強さが印象的だったので、この作品も身構えて読んだのだが、初期の作品だからなのか意外なほど毒が薄かった(この人にしては、だけど)。
    淡々と綴られる中にみえる心の闇がリアルで、共感できるところもあり、読んだ3作の中では一番好き。
    主人公が皮膚を病むのだけど、藤野可織さんの「パトロネ」しかり太宰治の「皮膚と心」しかり、皮膚科の病気というのは文学と縁が深いような気がする。
    皮膚科の病気は精神的なものからくることも多いし、病気そのものがもたらす気の滅入りが文学と相性がいいのだと思う。

  • 2009/11/25購入

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著者プロフィール

笙野頼子(しょうの よりこ)
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。
81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。
著書に『ひょうすべの国―植民人喰い条約』『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』『ウラミズモ奴隷選挙』『会いに行って 静流藤娘紀行』『猫沼』など多数。11年から16年まで立教大学大学院特任教授。

「2022年 『笙野頼子発禁小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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