- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062055840
作品紹介・あらすじ
ファンタジーの傑作『ムーミン』の作者の自伝的小説。
ほんとうに大切なものがあればほかのものすべてを無視していい。
するどい洞察力で周囲の世界を見つめ、自分の価値基準や真の芸術家としての姿勢を身につけてゆく幼ない少女――。自由・冒険・信頼・愛情、『ムーミン』世界の魂のルーツにせまる。
感想・レビュー・書評
-
ムーミンシリーズがお守りがわりだった頃は著者がどんな人生を歩んできたか知ろうともしなかった。自由に真っ直ぐに芸術に生きる父と仕事に励みつつ自然を楽しむ母、かかわりあった大人子供達皆が幼い頃のヤンソンに冒険心と空想力を授けたのかも。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子どもの目の高さで描かれた子ども時代のスケッチ。
ファンタジー作家は子ども時代へ自由に行き来する黄金の梯子を持っているそうだ。私はトーベの梯子から落っこちた。
空想と現実がバリアフリーな時期が、私にもあったはずなのだが。 -
-
111108さん
> 「ミンネのかけら」
岩波の図書に連載されてました。
冨原眞弓さん「ミンネのかけら ムーミン谷へとつづく道」イ...111108さん
> 「ミンネのかけら」
岩波の図書に連載されてました。
冨原眞弓さん「ミンネのかけら ムーミン谷へとつづく道」インタビュー 自分にうそつかず考える|好書好日
https://book.asahi.com/article/13996510
2022/07/04 -
猫丸さん
「ミンネのかけら」情報ありがとうございます!
好書好日で冨原さんのインタビューちら読みしてきました。心の読みたいリストに入れました...猫丸さん
「ミンネのかけら」情報ありがとうございます!
好書好日で冨原さんのインタビューちら読みしてきました。心の読みたいリストに入れました。2022/07/04 -
2022/07/05
-
-
『少女ソフィアの夏』がおもしろかったので、似た装幀の『彫刻家の娘』を借りてくる。"彫刻家"とは、トーベ・ヤンソンの父のヴィクトル・ヤンソンのこと。なので、自伝みたいなやつかなーと思ったら、『少女ソフィアの夏』みたいに、子ども時代の思い出を核にふくらませた「お話」になっていた。
子ども時代に見た夢うつつの世界や、その中にひたっていたお話の世界の続きが書かれているようでもあった。とくに「チュールのペチコート」「雪」「飛ぶこと」がおもしろかった。心が飛びたつようだった。自分がすっかり忘れている何かをちらっと思い出すようだった。
ヤンソンさんは、空想をふくらませてその世界で遊べる子どもだったのだろうなと思った。そういう子ども時代の根っこがあって、物語の世界をつくりだしていけるのだろう。
「作家が物語を書くときにいちばん大切なことは、ああそうだ、こういうことがあったなあとか、自分もあたらしい発見をするためになにかをはじめようとか、そういった欲求を読者に与えることができるかどうかということです」(p.236)というヤンソンさんの言葉を訳者が紹介している。
「あの子ども時代なしには、ムーミントロールの物語を書くことはなかったでしょう」(p.234)とヤンソンさんは語っているそうだ。未読の「ムーミン」シリーズも、いよいよ読んでみるかなーと思う。
(6/5了) -
トーベ・ヤンソンの大きな魅力の一つは、見栄や虚栄心や嫉妬など人間の欠点と呼ばれるような部分を、とても暖かく魅力的に描くところにあると思います。
この本の登場人物たちは、決して筋の通ったような実直な人間ではなく、誰もがインチキくささや煩わしい気質を持っています。
それでも、そんな登場人物たちと関わる主人公の少女のふるまいを読み進めていくと、彼らの欠点がとても魅力的に見えていきます。ストレートに描かれる少女の心模様からは、胸の中の痒いところをついてくるような愛おしい人間味を感じることができるのです。
そんなトーベ・ヤンソンの魅力がつまった、良い本でした。 -
自伝的小説。全てが本当に起こったことではないと書かれていましたが、少女トーベにとっては全て本当に起こったことだったのではないでしょうか。子供のときのこと、そのときの感情をこんなに鮮やかに覚えていられるなんて、過去が束縛してくるようで恐怖も感じますし、自分がその過去の上に立脚しているという安心感も感じます。
-
ムーミンの作者トーベ・ヤンソンが子供時代のことを書いた自伝的作品。
父は著名な彫刻家、母は挿絵画家。
母方の祖父は牧師で王様に説教したとか。
エデンの園のような祖父の庭で、従姉妹とイスラエルの民ごっこをしたり。
夏は8分で一回りできる島で、漁師小屋を借りて暮らしていたという。
想像力豊かで、やんちゃで、好奇心溢れる女の子。
豊かな自然の中で、魔法に満ちた暮らし。
地元の少年と釣りに行ったり。
氷山の一つを自分の物と決めて、ついてくると感じたり。
泊まりに来たおばさんのちょっと変な物作りを見物したり。
火事が起きると皆を起こして見に行く父。
やたらにペットを飼う父の、猿や鴉に呼びかける甘ったるい声に怒りを感じたりする女の子。
猿のポポリーノはいたずらだけど父の親友なので仕方ないが、父のことを何とも思っていない羊にはうんざりとか。
カナリアが増えすぎたので、誰にでもあげると広告を出したところ、前に死んだりいなくなったりしたカナリアの話をして泣くのを一人一人聞かされる羽目になったとか。
クリスマスの準備の思い出は素晴らしく、父と天井まで届く樅の木を選び、母はジンジャークッキーを作り、部屋中にキャンドルを灯す。
母は聖ルチアに扮して白い服を着る、など。
1958年に父がなくなり、10年たって発表した作品。
母はスウェーデンで初めてガールスカウトを組織したとか。
1970年に母が亡くなった後はムーミン谷のシリーズはやめたんですね。
創作の源が家族にあったことをうかがわせます。 -
トーベ・ヤンソンの自伝的な作品。(自伝ではない)
ムーミンの原点の登場人物が出てきたり、彫刻家のお父さんの芸術家ぶり、アルベルトの生き物の対する姿勢、島での嵐の様子などなど。
ムーミンというとてつもない作品を残す人は、やはり子どもの頃から違う感性だということが、平凡に生きてきた私からは感心するしかない。 -
ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンの少女時代の思い出をファンタジックに回想した自伝的小説です。彫刻家の父と画家の母という特殊な家庭で育つ少女の成長譚として、また、ムーミンの諸作品理解の一助として興味深い本です。