帰ってきた空飛び猫

  • 講談社
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本棚登録 : 173
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (60ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062058810

作品紹介・あらすじ

ひとまわり大きくなった空飛び猫たちの新たな冒険。ちっちゃなもうひとりの仲間を加えて。

感想・レビュー・書評

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  • 「空飛び猫」シリーズの2作目です。
    原著を読んだあとに、答え合わせのつもりで読みました。

    前作で4匹の空飛び猫は、信頼できる人間の子供たちと出会い、住み心地のよい農場の納屋で暮らしています。
    ある日、街に残してきたお母さんに会いたくなった2匹(ジェームズとハリエット)は、生まれた街に戻ってみましたが、様変わりした街の中でお母さんの居場所がわかりません。
    必死でお母さんを探す2匹は、1匹の子猫を見つけます。
    真っ黒で小さな子猫の背中には、彼らと同じように翼が生えていたのです…

    1作目同様、猫が身近にいた人だからこそ描ける彼らの姿がたまりません。
    猫が失敗したときにやる照れ隠しとか、よくうちの子もやっているなぁ…とくすっと笑ってしまいました。

    村上春樹氏の訳注とあとがきもとてもよかったです。
    特に原著を読んだあとだったので、訳注から翻訳のおもしろさや難しさを垣間見ることができました。

  • 冒頭の、納屋の屋根裏の壁の穴からシナモン色の鼻を出し
    ふわふわの翼で外へと飛び出してくる空飛び猫たちの、なんという可愛らしさ!
    もしも我が家に居ついてくれるなら、壁に穴の5こや6こ・・・
    いやいや、1ダースくらいは平気で開けてしまうのに♪

    猫好きの優しい兄妹、ハンクとスーザンに匿われた4ひきですが
    幸せながらも、やっぱりそこは子猫、お母さんが恋しくて
    お母さんに会いにいくか、がまんするかで兄弟会議するのが微笑ましくて。

    おっとりさんで甘えん坊のジェームズと、ちびでも行動力のあるハリエットが
    「お母さんに会いにいっちゃおう」派、
    現実的でしっかりもののセルマと、賢くて冷静なロジャーは
    「会いたいけどがまんしよう」派、というのには、なるほどね、と頷いてしまいます。

    都会に舞い戻ったジェームズとハリエットが巡り会った妹猫ジェーンが
    たったふた言しゃべれるのが「Me!」と「Hate!」で
    直訳すると「わたし!」と「イヤ!」というあたりがいかにも猫らしく、

    若くはなくなったタビー・ジェーンお母さんが、自由気儘な野良猫生活を捨て
    鍵のかかったペントハウスで人間に飼われる穏やかな生活を選ぶエピソードにも
    猫をこよなく愛するアーシュラ・K・ル=グウィンの温かいまなざしが感じられます。

    そして、あとがきで村上春樹さんが書いてくれた
    正しいか正しくないか、役にたつかたたないかなんてどうでもよくて
    「ファンタジーはあなた一人に向かって開いたり閉じたりする窓なのだ」
    という言葉が、なんだか涙ぐんでしまうくらいうれしくて

    空飛び猫たちが「丘の上農場」を帰る場所として選んだように、
    私にとっても、疲れたとき、さみしいときには
    ファンタジーという、やさしく温かい「帰る場所」があるんだ、と素直に思えたのでした。
    素敵な本です。

  • 2013年8月22日

  • 空飛び猫の続編。翼の生えた猫たちは生まれ故郷のスラム街に帰ってきて、妹を救います。
    村上春樹の訳注、あとがきは一読の価値あり。

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    帰ってきた空飛び猫

    1993年11月26日 第1刷発行
    著者:アーシュラ・K・ル=グウィン
    画家:S.D.シンドラー
    訳者:村上春樹
    発行所:株式会社講談社
    -------------------
    ファンタジーのゲド戦記の作者さんの作品

    空を飛ぶ翼を持った猫のお話でこの作品の前にも同じ猫達の作品があるみたいです。
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    27ページにその黒い短いしっぽは大きく膨らんでいました・・・。という描写がある。全くの自分の好みは真っ黒でしっぽは長く曲がっていないほうが好きなので、短い尻尾はとても残念だった。でも、26ページや39ページのイラストのチビ黒猫は普通の長さがあるように見える。好みには合うけど記述には合わないww

    作者さんはアメリカ生まれのアメリカ人。
    黒チビ猫たちが母猫のもとを旅立つ描写が無い。
    チビ猫たちも母猫も自分のこれからの生き方をそれぞれ自分で決める。癒着しないのが当たり前。
    日本人の作者さんなら、そのシーンを描くのだろうけれど、別れのシーンは無く、どうやって黒チビ猫を連れて帰ったかという描写があるだけ。
    文化の違いと言うか、考え方の違いなのかな。


    ---------------
    ある雨模様の朝早くのことです。ハンクとスーザンは「丘の上農場」の丘を超えて、干し草を作るための古い納屋にやってきました。

    この文章で始まる物語

    ハンク  人間の子ども
    スーザン 人間の子ども
    セルマ  翼を持った猫
    ロジャー 翼を持った猫
    ハリエット  翼を持った猫 チビ
    ジェームス  翼を持った猫 フクロウに羽を傷つけられている

    猫達は大きな都会の横丁のゴミ捨て場で生まれた。
    (街角にある大きなゴミ箱 箱の下にコロがついている)

    チビ猫のハリエットと羽を傷めたジェームズが生まれ故郷を見たいと言い始め4匹のうちの2匹が街を目指して空をゆく。
    元住んでいたところは廃墟になって、取り壊し作業が順番にされていた。ゴミ箱も撤去されていた。
    その一角の建物で小さな猫の鳴き声がした
    ハリエットとジェームズはそのチビ猫が真っ黒な猫でやはり翼を持っていた。数日をそこに居たが、ある日、解体の鉄球が直撃、3匹は命からがら脱出し、近所を聞いて回る。ムクドリから母猫のいるところを知る。
    すると、建物の一角に鉢植えのたくさんある庭があり、そこに母猫がいた。3匹を見ると母猫は翼が無いためチビ猫を助けに行けず心配していたこと。チビ猫の父親はトム・ジョーンズでチビ黒猫は父親に似ていること。チビ黒猫を農場へ連れて行ってほしい事。自分は野良猫を止めて、この庭の主のおばあさんと暮らしたいと思っていることを話す。
    チビ黒猫は農場まで自力では飛べず、ハリエットとジェームズが背中に載せて連れて行った。
    チビ黒猫は 農場で子どもらにジェーンという名前をもらって兄弟たちと暮らすことになった。

    ------------------------------

  • 話以上に、村上春樹さんのあとがきが心に残った(笑)
    この人の言葉は、私の心に届くなあ。

    私は、もう子供のような純真な心でこのお話に没頭することはできないけれど、猫たちのやわらかい心の動きが感じられるところもあった。
    最後の、ミルクを飲んでいるジェーンがたまらなくかわいい。

  • 羽のある猫の話。ル・グウィンの本で、村上春樹訳というので借りてきた。

  • 帰ってきた空飛び猫

  • 前作の続きで、母猫に再会、母猫が生んだ羽の生えた子猫を引き取ってくるという話。絵はすばらしいが、内容が微妙に”ルグウィン”。シュール

  • 異父兄弟?の黒猫ちゃんにもやっぱり羽が生えていた! かわいい。。

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著者プロフィール

1929年10月21日-2018年1月22日
ル=グウィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。

代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。

アーシュラ・K.ル・グウィンの作品

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