- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062059541
感想・レビュー・書評
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心模様を細かく表現する幸田文の名文
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日常だれにでも訪れるありさまを丁寧にすくった、まさに珠玉の短編集。特に、病気とか死とか誰にでも襲いかかって来る事態、その時の当事者の心持ちが静かに語られるので、痛く響く。
「若い女のひとは、春の感じの人も秋の感じの人もいます。それがおばあさんになると季節から外れて無季の、女といったふうになります。私はまだ当分、焚火のにおいを身につけている女でありたく思うのです。」 -
昭和30〜40年
今とは全然違う価値観の主婦たち。
家族のため、自分は二の次というのは、共通かな。 -
表題作の「台所のおと」など10編。
実家に帰ったときの母親の台所のおと。
気にしてみたことがなかったけれど、
今度帰った時にはどんなおとなのか、聞いてみよう。 -
260ページ。装幀/大泉拓 カバー写真撮影/江頭徹(講談社写真部)
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幸田文らしい美しい文章の短編集。台所の炊事のおとなんか、日々に追われる私は意識したことないなあ。さぞかし、慌ただしく、落ち着きのないおとを立てていることでしょう。人の気持ちの遣り取りのふとした心情の揺れを丁寧に捉えた佳作ばかりだと思うが、中には捉えてほしくない面も取り上げられて「食欲」などは読後感はよくなかった。捉えてほしくない面も取り上げられ、なおかつハッピーな終わり方というところで、「祝詞」「おきみやげ」等よかったです。「濃紺」の下駄というものに纏わる思い出の話もよかった。自分の使うものも日々大切にしたいものです。
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幸田文の短編集。
昭和に生きる女性の日常における心の機微が丁寧に描写されています。
昭和の時代に妻として母として生活する女性の覚悟や心意気に寄り添えます。
その覚悟や心意気に、現代をだらけて生きる私は背筋が伸びる思いです。こういう女性を目指したい。 -
図書館の本
内容(「BOOK」データベースより)
暮しのなかのなにげない音に絡みあう男と女の意気地。生きる哀しみを捉える確かな視線と透徹した感性。
昭和の女性が見えてくる作品ばかりでした。筆者の生きた時代を考えれば当たり前なんでしょうが、昭和といっても明治・大正の流れを汲んでいる昭和の女性がきれいに描かれていたと思います。
そして食べるものの描写の美しいこと。人の心のひだに寄り添うように食べることへの描写があっていいなと思いました。 -
普段どうにも言葉では表現できない気持ちがさらりと自然な言葉で書かれていて、言葉にするとこういう表現になるんだなあ、と思うことが何度もあった本でした。心の機微がこうも捉えられているのに驚きます。
心地よい日本語って気持ちいい・・・!夏休みにじっくり読めて良かったです。