国境の南、太陽の西

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062060813

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹のなかではいちばん感銘しました。一週間ぐらい取り憑かれていました。素晴らしい。

  • 出版順から読んでますが、
    今までの中で1番スルスルと読めたし、言い回しが本当に素敵だと改めて感じた

    順風満帆な主人公が過去を追い求めてすがる話
    ただの不倫話じゃん!
    と片付けるのは早計で
    幻想と現実の行き来が凄い組み合わさって、とっても考えさせられる

  • 心がしんとします。余韻が。

  • 手を繋ぐf描写は今までで最高。宮部みゆきも青春ものに長けているが、男にしか共感できない微妙なところまで思い出させてくれる。かりそめの、性欲に幻惑された愛情と人格と肉体へのどうしようもなく勘違いした理解の描写も、これも男にしかわからないとも。そうして前半のほとんどは例のあのフワフワした自己の不定、病状を描く。かなりリアルに。「ノルウェーの森」以来、かつおそらく最後のラブストーリーと思われる。その意味で村上春樹作品としては異質。ファンタジー要素は特段無く、島本さんのバックボーンが謎めいている以外はリアリティに徹している。
    中年男共感は高いと思うが女性読者はどうなのだろう?

  • 何度読んでも霧雨のような静かな悲しみと不思議な寂寥感で頁を閉じる。

    でも
    いつかきっと、またページを開く。

  • 好きな作品です!

  • 好きな映画を何度も見たくなるように、この小説を手に取った。性描写が鼓動を高鳴らせるような、ただ性的であるシーンを超越し、そこに至る小学生の頃からの流れが、全てはそこに集約するかのように、何しろ、その印象が強く残る小説だった。二度目なら。何か違った世界を感じ取れただろうか。

    ロビンズ・ネストという場所を少しだけ、この本を読むことで分け与えられた気になる。なぜ、10万円が消えたのだろうか。平和な家庭に訪れた一つの事件。それは、主人公の認識にしか、存在しなかったのではないだろうか。恋愛や好き嫌いは、認識論の問題である。いや、人間の存在そのものが、認識論の問題なのかも知れない。

  • あーもう。あーもう。読み終わったあとしばらくそれしか言えなかった。私たちが多かれ少なかれ誰でも抱えてるものを、この人はどうしてこんな風に表現できるんだろう。
    人は、それまでの自分を全否定して生まれ変わるなんて無理なんだ。
    でも変われる。今までを認めるなら。

  • 昔読んだことがあったが
    あまり印象に残っていなくて久々に読んでみた。
    色々と思い出される過去のことと
    まじりあって
    切ない気分
    懐かしい気分
    戻れない過去に 何とも言えない気分に

    今の自分もまた、同じようなものを抱えている

  • 個人的には、村上春樹の長編作品の中では一番の作品だと思っています。

    ストーリー自体は、ありがちなものの気もします。
    現状に対しては不満を抱えていない「僕(ハジメ)」の前に、「島本さん」という少年期に好きだった女性が現れ、彼女への想いを捨てきれないハジメは、彼女の「側」へ行こうと決意するが、突然島本さんは消えてしまう。ざっくりだとこんな流れです。

    そんなありがちかもしれないストーリーですが、
    本編に登場する印象的なフレーズと、村上作品を支える「文体」、もしくはそこからもたらされる「独自の雰囲気」がもっともマッチした作品だと思います。

    男性は(女性はどうかわかりませんが)、なんとなくみんな「島本さん」のような存在を、どこかでひきずっているというか、秘めているような気がします。
    それが幸か不幸かはともかく、多くの人が抱えるものを、うまく、素敵に、この作品は「代弁」してくれているような気がします。

    都合がよすぎるかもしれませんが、島本さんに対する気持ちも、有紀子に対する気持ちも、全部が本音なんです。男の。

  • 村上春樹さんの本の中で1番好きな作品です。
    最後の最後の文章を読むと、
    どんなに最悪な出来事でもほんの些細な救いがある。と思えます。

    絶望感や孤独感をいつも感じさせられる春樹作品ですが、
    (それがまた気持ちいいのだけど。)
    ほんのり隙間から見える光が大好きです。

  • 12歳の頃に惹かれあっていたハジメと島本さん。
    20年以上が過ぎ、2人は再会してしまう。

    妻子があるにも関わらず、ハジメは島本さんのこと以外考えられなくなり、島本さんと一緒になろうと決意するが、島本さんが何も言わず居なくなってしまった。

  • 恵まれた生活のなかで、満たされない思いを抱えて生活するハジメ。
    彼は小学生のときに親しくなった島本さんをずっと求めていた。

    高校生活ではその満たされない感情をイズミとその従姉に求めてしまい、イズミを傷つける。

    喪失感を持ったまま、学生運動の時代を超え、バブル前夜まで流されるように生きるハジメ。
    バブルとともに豊かな生活と幸せな家族を築くが、20数年ぶりに現れた島本さんに、ハジメは心を奪われる。島本さんが何者なのかわからないが、ハジメはすべてを捨て、彼女と一緒になろうとする。

    ---------------------------------------

    とてもとても豊かなのに、満たされていない男、ハジメ。
    子どもから大人になる頃に欠損した関係を、ずっと求めている男っていう構図が『色彩を持たない~』と似ている感じがした。

    いちいちかっこつけすぎだけど、生活とか女のひととの会話とか、そういうスタイルが羨ましいほどかっこいい。

    物質的ではなく、内面的な豊かさを求める話ってことでいいのかな。
    高校生の頃から何度も読んでるけど、いまだに明確な答えが見つからない。


    (イズミさんがかわいそうだった。ハジメのせいでそこまで壊れてしまったのか?)

  • 見事な物語。登場人物に、誠意を感じる。あるべき人と人との距離感が描かれている。いまだ文庫本化されていない「海辺のカフカ」を除いて、村上春樹の小説を読破したが、彼は着実にその表現領域を発展させている。それも一作一作。これも学生時代に一度読んだ本だが、その時はどれぐらい内容を理解したのだろうか?おそらくよく分からなかった故に(経験不足から)、これで村上春樹作品への興味を失ったのだと思う。

    P291「僕はこれまでの人生で、いつもなんとか別な人間になろうとしていたような気がする。僕はいつもどこか新しい場所に行って、新しい生活を手に入れて、そこで新しい人格を身に付けようとしていたように思う。僕は今までに何度もそれを繰り返してきた。それはある意味では成長だったし、ある意味ではペルソナの交換のようなものだった。でもいずれにせよ、僕は違う自分になることによって、それまで自分が抱えていた何かから解放されたいと思っていたんだ。僕は本当に、真剣に、それを求めていたし、努力さえすればそれはいつか可能になるはずだと信じていた。でも結局のところ、僕はどこにもたどり着けなかったんだと思う。僕はどこまでいっても僕でしかなかった。…ある意味においては、その欠落そのものが僕自身だからだよ。」ここからラストまで続く、主人公と妻の会話はすごい。クライマックスだ。相手を受け入れていく過程がすっと僕の心にも入ってきた。ここまで苦しんで始めて相手が分かる。

  • たぶん男なら誰にでも忘れられへん女性っているんじゃないかな。
    主人公に関わる女性が主に3人いるねんけど、
    1人目が上記の女性、2人目は高校時代の元カノ、3人目が結婚相手。
    話は主人公とその3人の女性とともに進んでいきます。
    女性からすると勝手やん!!って言われるかもしれへんけど、
    男としては共感できちゃいます。

  • 家に何冊かあるはずなのに、見当たらなかったために買い直すことにした。わざわざ単行本を選んだのは、書店在庫の文庫本が二冊とも小口がささくれ立っていたため。

    「この小説の中にぼくのことが書かれている」と公言したことがあったにも関わらず、内容をすっかり忘れていることに気がついたからだ。
    ということで、多分十年以上ぶりに読み返そうとしている。

    今でもこの中にぼくのことが書かれているのだろうか。

  • 何度も読み返した一冊。村上作品の中でも一番好き。

  • ねじまき鳥クロニクルと同じくらい村上春樹の作品で好きなもの。雨の描写やその場面が印象的に残っている。

  • 村上作品で一番好き。10年ぶり以上久々で読んだけど、登場人物の年齢が今の自分とほとんど同じことにびっくり・・

  • 高1の時に読んで非常に好きになった1冊
    世界の終りと〜と並ぶ、おれの中の村上春樹ベスト。

    今になって読んでもヤハリ良い。
    自分とは何なのか?
    これからの俺の人生・・・

  • 再読

  • 病んでると読み返したくなる本。
    というか、病んでないと読み返さない。

    なぜなんだろう・・・?

    この本は内容的にも他とちょっと違った
    ほの暗さがありますね・・。

  • 村上春樹が唯一書いた恋愛小説。…だと思っています。何度読み返したことやら。そしてこれから何度読み返すことやら。

  • ハルキさんの長編のなかでいちばん好き。

  • ハルキ作品の中では駄作だと言う人も多いみたいだけれど、僕は非常に好きです。不思議な吸引力、なるほどね。

  • わりと絶望的なきもちになる本だと思います。直接的にではなくてもっと遠いかんじで絶望。

  • 一番好きな恋愛小説。

  • 恋人だった人との共通項って案外深いものだなって思った。それが狭ければ狭いほど。無性にジャズのレコードをききたくなります。

  • 一気に読んでしまいました。ずっと「僕」に感情移入してました。いいなあ、この世界。

  • 旅の中で何度この本を読み直したか・・・。
    村上春樹の作品は僕には難しいけど、この本は大体理解できました。
    最高の不倫恋愛小説です。

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

村上春樹の作品

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