小石川の家

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 112
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062061988

作品紹介・あらすじ

祖父幸田露伴、母文と三人で暮した十年-自らの流儀を貫き通した祖父の晩年を支え、凛とした生き方を引き継いだ母。小石川の家であったことと二人の最期を細緻な筆で綴る。

感想・レビュー・書評

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  • 幸田露伴のお孫さんである筆者が綴る、祖父と母との生活。

    ここに登場する”母”とは作家の幸田文である。
    しかし、作中には作家のしての面は全く描かれておらず、”祖父”(幸田文にとっては実父)の世話に追われながら筆者を育てる良家の主婦という面しか出てこない。(子供目線だからか?)なので、最終章の”母”が亡くなる場面に至って勲章だの芸術院だのという話が急に出てきて驚いてしまった。

    追記:著述活動を始めたのは父の没後、とwikipediaにあった。

  • 自分の祖母と同じ年代の方のエッセイという事で手に取ったのですが幸田露伴のお孫さんかー。時代的なものもあるとはいえ色々モヤモヤしながら読んでしまいました。お母さん苺一口でいいから食べてあげて...!今度幸田文さんの本も読んでみよう。

  • 我が家を見ているような、
    愛情を感じないと、
    なんと我がままな父(祖父)と映る。
    懐かしい。

  • 祖父幸田露伴、母幸田文。気難しい祖父と厳しい母との3人と共に暮らした生活を綴る。叱られたこと、お正月、おつかい、疎開や祖父の死。そして晩年の母親の看病と死、葬儀まで。

    幸田文の方がうまいかな、とも思ったけど、やっぱり文章の描き方はとても似ている気がする。ものを見る優しい目とかが。でも本当に厳しい家で育ったんだなあと驚いてしまった。

  • 青木玉氏は幸田文氏の娘です。ということは幸田露伴氏の孫にあたる。
    昭和十三年五月、幸田姓にもどった母・文が、九歳になった著者・玉をつれて小石川の幸田露伴の家に転居してから、祖父・露伴が没した昭和二十二年、そして母・文が亡くなる平成二年までのあいだの幸田家の生活、想い出を随筆に著している。
    祖父への尊敬と畏怖、それを九歳のころの青木玉氏は母・文さんの露伴氏に対する献身ぶりから感じ取る。日常の全てにおいて家族に対し教養と高尚さをもって生きることを科し、安直な卑俗性を憎んだ露伴は、幼い孫にさえ思慮深くきちんといきることを求める。母・文もそのような露伴の意に沿って娘を厳しく躾ける。このような躾のあり方には、賛否両論あると思います。
    しかし、子に対する厳しい躾はその裏腹のこととして躾ける側の責任と覚悟があります。つまり、子を厳しく躾けるからには自分がそれを出来ていなければならない。そして、躾けた当事者として、子の行く末に責任をとるということ。この本に書かれた露伴の振るまいは現代のおおかたの基準に照らして、ものすごく我が儘です。しかし、それをするからにはその責めを一身に引き受け、家族の生活、行く末までも責任をとるという強い覚悟があるはず。
    「あなたにはあなたの人生があるから・・・」などという逃げをうたない姿勢、それを感じるからこそ娘も孫も従う。ここに現代に生きる私たちが忘れかけている生き方があります。
    その忘れかけている生き方とは、たとえば「長幼の序」であり「凛と背筋を伸ばした生き方」です。この本を読み一昔前の凛とした生き方に触れるにつれ、私たちが失いつつある「気高さ」という価値観が呼び覚まされます。
    読み終えてなんと清々しくなることか。
    本の装丁も良いです。安野光雅氏の水彩画がすばらしい。

  • 卑しいこと、醜いこと、愚かなことを憎んだ露伴の膝下で育った玉さんの清しい人柄が滲み出る、上質なエッセイ。

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