だれも欲しがらなかったテディベア

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062066587

感想・レビュー・書評

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  • 縫い目がくるって傲慢な顔つきになってしまったティディベアの、人生万事塞翁が馬な話。
    生まれてすぐのぬいぐるみの性格は、顔つきによって決まる。
    うぬぼれやで自分のことしか頭にないクマくんは工場の検品ではねられ、その後も捨てられるたびに「運よく」最悪の事態を逃れるけれど、誰も大事にしようとしない。

    人形やぬいぐるみたちは見たり考えたり微妙に動いたりはするけれど、移動したり自ら運命を決めたりはできない。ただ流されて思うだけ。
    そういうキャラクターなのに、「冒険」で「気づき」がある。うまいなあ。

    第二次世界大戦直前のイギリスが舞台で、後半からは戦時に突入する。
    持ち主が疎開したり、お父さんは「世界の裏側のビルマというところ」に出征したり、また別の子は「ドイツの宣伝ビラ」や砲弾のかけらを宝物にしていたりする。
    懐かしくて手にとっただけなのに思いがけず今の興味に合ってた。
    くずもの屋さん(映画チキチキバンバンの子供をさらう車を思い出した)や工場などの風俗も楽しい。

    子供のころ、もしくはある程度おおきくなってから何度か読んだ。
    内容をぱっと思い出せるほどじゃないけれど、あとがきにあった「これは子供のころに読んだ本のタイトル。装丁もしっかり覚えているのに内容を思い出せないので、自分でお話を書いた」という作者の言葉は覚えてる。
    中身を読んだらああ読んだなと思い出せたけど、ワクワクだけじゃない面白さには初めて気がついた。
    作者はクマくんの持ち主の子と同じくらいの世代。

    同時代のティディベアといえば「オットー」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4566008002だけど、だいぶ違うなあ。

  • 縫製工場で縫い目がちょっとずれたばかりに傲慢な性格になってしまったテディベアの波瀾万丈な熊生。
    持ち主が変わるたびにハラハラ、おはなしとして楽しめばいいんだけど、ついつい身につまされて一喜一憂してしまう。
    この本、出版された当時購入して読んだ覚えがあるけど、今ほど感情移入しなかったような気がする。若かったから、自分もくまくんみたいに傲岸不遜だったのかなぁと思ったり。

    最後はハッピーエンドでホッとした。

    それと、途中から時代背景として戦争に突入するんだけど、戦争が描かれる=戦争の悲惨さを訴えるおはなししか読んだ事がなかったのか、戦争があくまで時代背景の描写に留めてあることになんとなく驚いた。もちろん時代は生活に密接に関わってくるから、くまくんの熊生に無関係ではないんだけど、戦争を描く為にくまくんがいるのではなくて、くまくんを描くために戦争も描かれる、という感じ。

  • 辛い経験を幾度となく、転々と繰り返す。

    けんもほろろな表情だったベア君が
    身体中汚れ、目も取れてしまい

    目を付け替えられた時

    そして愛したい、愛されたいと思う気持ち
    愛されて、愛して


    温かい、腕の中。

  • 『わからなくなってきました』
    で紹介されていた本。
    本当にいいお話でした。

  • 子供が大きくなったら、一緒に読みたい本です。

著者プロフィール

【アラン・アルバーグ・ぶん】  イギリスの作家。郵便配達、墓掘り、教師など様々な仕事についたあと、作家となり、妻の画家ジャネットが絵をつけた子どもの本を発表しはじめる。1978年『もものきなしのきプラムのき』(評論社)と1986年『ゆかいなゆうびんやさん』(文化出版局)にてケイト・グリーナウェイ賞を2度受賞。絵本作品に『そのまたまえには』『えんぴつくん』(小学館)のほか、物語も多数手がけている。

「2013年 『3びきのくまとおんなのこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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