資本主義を語る

著者 :
  • 講談社
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感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062067386

作品紹介・あらすじ

人間は資本主義の中心にいるのか。この世に富を生みだしてきたのは本当に人間であったのか。「ノアの洪水以前」から価値体系と価値体系との間の差異を媒介してきた資本主義について明快に語る。

感想・レビュー・書評

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  • 資本主義の存続の根幹として「貨幣」の存在を据えている、著者の意見。
    貨幣が発生したからこそ、ヒトとモノの媒介者が生まれ、商品交換が発生した。

    そのため、資本主義には恐慌以上の危機があり、それはハイパー・インフレである。なぜなら、資本主義の存続構造である貨幣が無意味化してしまうから。

    アダム・スミスからの経済学は「見えざる手」というロジックが成り立つと考えられているからこそ、科学としてとらえられている。貨幣の話については、すでに所与の条件としてあり、その後を考えていくことが経済学。

    このあたりまでは理解できたが、法人が法人を支配するという日本的な法人資本主義がなぜ資本主義の純粋構造なのかなどは理解が及ばなかった。
    というか、そういった発想で考えたことがなく、どちらかというと変な形態の一つとしてとらえていた。このあたりの理解を深めたい。

    その他、文学論や学問の世界での立ち居振る舞いなど、興味深い話も多かった。

  • 前半は「会社はだれのものか」などとダブります。
    だけど、この本は、後半の対談集が面白い!
    今村仁司氏、柄谷行人氏、網野善彦氏、水村美苗さん(岩井氏の奥さん?)たちとの対談で、とくに網野氏との対談が面白い!

    この網野氏、私のこれまでの読書の中で何度その名前が出てきたことでしょう?
    なので、いずれ読まなくては!!っていう焦りみたいなものを持ってるのですが、ここでトドめを刺されたような「なるほど!」感を持ちました。
    なんでみんなが網野氏の名前を出すのかがよーーっくわかりましたよ。
    岩井氏の視点がなぜ気に入ったかというと、この視点に他ならないのです。引用しますね。

    『わたしは、貨幣とは何か、貨幣がどうやって資本に転化するのかといった問いをめぐってずっと考えてきたわけですが、じつは、通常の意味での経済学では、これらの問いはけっして問いかけられることのない問いなんですね。なぜなら、経済学という学問は、貨幣が貨幣として成立するというドラマ、そしてその貨幣が資本に転化するというドラマがまさに終わったあとの世界について、あれやこれや気むずかしく論ずる学問なんですよ。その意味で、経済学者であることは、この問題を考えるのにちっとも有利じゃない。』

    こういうところから論じられた説明がほしかったんですよ。資本主義に対して。
    ツボでした。まさに私のツボの1冊です。

    そして、この網野氏の学説が、経済学にもパラダイムシフトを起こさせていて、今の経済学部の学生に至っても、かつての生産力史観による歴史など誰も読まず、網野史学を前提にしたマルクスの読み直しを基礎にしてるらしいです。(松岡正剛氏の本にもこの方の名前がよく出てくるんです!そういうことか!なのです。(=^_^;=)ゞ)

    坊主丸儲けという言葉が揶揄するように、坊主というのは案外金儲けがうまいじゃないですか?俗に「宗教法人」には税金がかからないというだけのことではなくてね?
    「貨幣」というものの発生源に、「無縁」と「聖性」いうゾーンが深くかかわってるんですよ。
    ほんとに、なるほどぉぉ~~~~!!!ってどれだけ唸ったか。(=^▽^;=)ゞ

    「無縁」と「聖性」のパラドクスから資本主義が発生したんですねぇ~。
    哲学的というか、私のようにより「根っこ」が知りたいという好奇心を持つ人間にとっては、経済学における要チェックの学者さんです。
    奥さんとの対談では、無償に夏目漱石が読みたくなります。
    こういう経済学書は、とても楽しいですわ。

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著者プロフィール

国際基督教大学客員教授、東京財団上席研究員
東京大学卒業、マサチューセッツ工科大学経済学博士(Ph.d.)。イェール大学経済学部助教授、プリンストン大学客員準教授、ペンシルバニア大学客員教授、東京大学経済学部教授など歴任。2007年4月紫綬褒章を受章。

「2021年 『経済学の宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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