マオ―誰も知らなかった毛沢東 上

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本棚登録 : 412
感想 : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062068468

感想・レビュー・書評

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  • 上下巻で1000Pを越えるボリュームながら、非常に読みやすくさらっと。
    訳もよいのでしょうが、時系列でわかりやすく、上質のノンフィクションです。

    そして史料を丁寧に読み込み、“事実”を“真実”として昇華しているのが見てとれ、
    とても説得力のある真に迫ってくる内容でした、歴史学の在り様の一つとも感じます。

    それだけに、、読み進めていくうちに、冗談ではなく、、
    “吐き気”をもよおした場面が数多くありました、コレは一体「人」なのか、と。

     “(吊るされた)彼女はブラウスを脱がされました。
      赤ちゃんを産んだばかりで、彼女の胸からは母乳がぽたぽた落ちてました。
      赤ちゃんは泣きながら地面を這い回り、母乳をなめようとしました。”

    共産主義とか帝国主義とか、独裁とかファシズムとか、民主主義とか、、
    “人”の生みだしたイデオロギーの衝突云々、それ以前の問題である。

    どこまで「残酷」になれるのか、ここまで「心」を捨て去ることができるのか。
    生命だけではなく、尊厳も文化も、自我さえも、全てを侵しつくせるものなのか。

    その“全てを奪った”対象は“27年間で7,000万人”にも及んだと、言われています。

    イギリスで出版されたとのことですが、世界に衝撃を与えるわけです。
    ソ連崩壊後に流出した資料をベースにしているだけあって、事実性も高そうで。

    よくもここまで、拷問の方法を思いつくと、
    よくもここまで、人の生命を尊厳を踏みにじれるものだと、、

    これを読んでもなお、「毛沢東」に心酔するのであれば、もはやそれは人ではない。
    言葉すら通じるとはおもえない、、文字通りのケダモノだろうと、怒りと共に。

    そして今、共産中国ではこの毛沢東のあり様が再評価されているとのことです。
    事実だとしたら恐ろしい、チベットやウイグルはどうなっているのか、と痛感します。

    ソ連崩壊から20年が過ぎ、、ヴェノナ文書などによる赤化具合も明らかになりつつ、
    戦後の国際政治史の流れに一石を投じてた一冊に数えられるかと。

    今後10年ほどで、戦後レジームの歴史への転化が始まるのではないか、とも期待を込めて。

    本書は2005年の本とのことですが、文庫にも落ちずに絶版となってしまっているとのこと。
    私は図書館で借りて読みましたが、古本で見つけたら買っておきたいですね。

    それにしても、恐怖による支配、洗脳による白痴化、人間性・教育の否定、、
    アサヒに代表される日本のアレなマスメディアにも共通しますね、なるほど。

  • 上下とも一気に読了した。迫力があり、毛沢東の知られざる側面が暴かれており、衝撃的だった。この本を読むまで漠然と中国で共産主義革命を成し遂げた偉人と思っていた。長征で延安にたどりつくまで、四川省の山奥を逃げ回り大変な苦労をしたと思っていたが、毛沢東やその仲間達、更にはその情婦まで含めて共産党の幹部連中は、大変な山道をハンモックに担がれて読書しながら優雅に進んでいた事を知り驚いた。その後も、人民虐殺を繰り返し、平然と繰り返しており、毛沢東というのは人格異常者であると思った。スターリンの数千万人の虐殺やポルポトなど数百万の虐殺、これに毛沢東の7000万人虐殺を考えると、読了後の感想は、共産主義の本質は国民の虐殺にあると思った。一旦共産党独裁になってしまうと、反対者を虐殺しまくる以外に方法がなくなる。このことは、北朝鮮のキム一族の独裁の凄まじさも考えると日本共産党は存続させるべきではないと思う。オーム真理教と同様に徹底的に解体すべき。見かけのソフト路線にだまされてはいけない。山本太郎の様なアジテータにだまされてはいけないと思う。この本は共産党独裁の恐ろしさを具体的に示してくれた。高く評価する。

  • 「ワイルド・スワン」の著者ユン・チアンによる毛沢東の伝記。上巻だけで562ページの大作。メモを取りながらゆっくり読んでいたら2年かかった。

    10数年にわたって行われた数百人の関係者へのインタビューと、多くの原資料をもとに構成されている。

    上巻は、他に類をみない残虐で無慈悲なエゴイストである毛沢東が、いかにして中国共産党を確立し、国共内戦に勝利し、中華人民共和国を建国していくかまでをカバー。

    人心を恐怖で掌握する手法は、こんなおぞましい人間がいるのかと思うぐらい気持ち悪い。

    国民党との内戦に勝利し、蒋介石一派が台湾に移った1949年の時点で中国共産党の支配地域の人口は1.6億人だったらしいが、人口の10%を「地主」と想定し、人民相互間のリンチや公開処刑を奨励したという。首都北京だけで公開処刑が3万回以上実施。このあとの下巻で大躍進政策や文化大革命が出てくるわけだが、当時に比べれば現代中国の人々の生活は天国のようなものだろうということがよく分かる。

  • #3077ー134ー46ー371

  • 7000万の中国人を死に追いやった最悪の人物としての毛沢東。

    何でこの男一人にこの大国が振り回されてしまったのか。得てして徳のない人物が歴史の勝者になってしまうのはなぜか。ひどく単純にしか思えない横暴に中国3000年の歴史が無力だったのはなぜか。あるいはこういった極悪非道がこの時代の中国には必要だったのか。今の中国政府は毛沢東の体制を基本的に引き継いでいるのか。とてつもない恐怖が加わると政治力学はどういう振舞いをするのか。

    考えてみなければならないことがたくさん。

    作者のユン・チアンは「ワイルドスワン」を読む限り毛沢東には「恨み骨髄」であることは確かだと思うが、それにしてもこの著書はすごい爆発力だ。

  • 毛沢東の真の姿をかいた本。よくぞ書いてくれた。 
    上巻は国家主席になるまでの のしあがりの履歴。

    この本を読むと、中国共産党はなにからなにまでソ連(スターリン)に頼っていたことがよくわかる。
    ソ連の属国だったといっても過言でないくらい。

    毛沢東ー権力欲ばかりで、人としての心はみじんももたない。恐怖で人民をしばる残虐な支配者。スターリンを崇拝し、こびへつらい、かけひきし、人民をいたぶった男。

    こんなヤツを中国人民はあがめたてまつったのか。いや今も尊敬しているというのか。
    せめて海外に出た中国人はこの本を読んだ方がいい。

  • 毛沢東が如何にして共産党内での権力を掌握していったか、人民共和国を建国していったか、関係者の証言をもとにまとめられた本。
    人徳というよりはレッテル張り、そこからの拷問にみられるような恐怖による支配により、共産党TOPに登り詰めたというのがよくわかった。
    ライバルを蹴落とし自身が権力を掌握するためには何百、何千の仲間を殺すことも厭わないというその残虐性には嫌悪を通り越してある意味尊敬を覚える。
    長征中であっても自らは人民から取り上げた住居や食料により贅沢な生活を享受し、国民党との闘いに勝利するために日中開戦を望むなど、中国人民を自らのための駒としか思っていなかったのではないか。
    競争相手の弱点を突き、蹴落とすといった能力はソ連-アメリカなどの各国情勢を読み、自らと共産党の覇権をとるための戦略作りにも生かされているはずで、その能力は言葉通りすごいと思う。

  • 毛沢東のように冷酷無常な人間になりたい。

  • CJ1a

  • こんな犯罪が何年も…

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著者プロフィール

1952年、中華人民共和国四川省生まれ。文化大革命が吹き荒れた1960年代、14歳で紅衛兵を経験後、農村に下放されて農民として働く。以後は「はだしの医者」、鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、苦学ののちに講師となる。1978年にイギリスへ留学、ヨーク大学から奨学金を経て勉強を続け、1982年に言語学の博士号を取得。一族の人生を克明に描くことで激動期の中国を活写した『ワイルド・スワン』『真説 毛沢東』(ともに講談社)など、彼女の著書は世界40ヵ国に翻訳され、累計1500万部の大ベストセラーになっている。なお、上記の2作はいずれも中国国内では出版が禁止されている。

「2018年 『西太后秘録 下 近代中国の創始者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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