氷の海のガレオン

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 114
感想 : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062070348

感想・レビュー・書評

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  • 呼吸するように本を読んで、細胞のすみずみにまで
    本から得た叡智や感動が行き渡っているような人には、うっとりしてしまいます。

    でも、本から得た知識だけで自分が完全に作り上げられたと信じて
    私はみんなとは違う! 稀有な存在だ!と
    こどものうちから強烈な自意識に凝り固まってしまう子は、痛々しい。

    今まで読んだ本の中では、辻村深月さんの『凍りのくじら』の理帆子が
    その筆頭だったのだけれど、彼女が高校生だったのにくらべて
    この本のヒロイン杉子は、なんと11歳の小学生!
    もう、「痛々しさゲージ」が振りきれて吹っ飛んでいってしまいそう。

    詩人のママと自由人のパパ、優秀な兄弟に囲まれ、家には図書室があって、
    両親の本も自由に読んで育ってきた杉子。
    語彙が豊富で、大人の文法で話す彼女を変人扱いして囃し立てるクラスメイトや
    グループから弾かれて、とりあえずひとりぼっちを避けるために
    すり寄ってくるいじめられっ子から距離をとり、
    孤高の存在でいたい気持ちはわかるのだけれど。。。

    クラスメイトを「体だけ同い年のばかども」と言って憚らない彼女の態度は
    「戦える魂だけここにおいで。なまっちょろい子供なんかいらない。
    そんなのは厚化粧した女の腹にでも宿るがいい」と宣言する母に
    本人も気づかないうちに洗脳されているようで、辛くなってしまって。
    あなたのママが、「厚化粧した女」と切り捨てるような人にも
    誰にもわからない事情や、大切にしたいものがあるんだよ、と
    ぎゅっと抱きしめて、囁いてあげたくなる。

    割り切れない思いで読み終えたあとに読んだ、3篇目の『薬草使い』。

    同じように本を栄養に育ち、学校では孤高を保っている高校生のトリコが
    「みんなと同じ」であることに汲々としている隣席の女子の悩みに
    そっけなくも優しく手を差し伸べている姿を見て、
    杉子の未来にも、こんな可能性が開けているといいなぁ、と
    思いながら本を閉じました。

    本を読むことが、本を読まない人、自分の言葉が通じない人を見下すことではなく
    世界を伸びやかに拡げて、自分とは違う見方や感じ方を
    柔らかく受け入れることにつながるよう、祈りたくなる1冊です。

    • 円軌道の外さん

      おお〜っ
      皆さんお揃いで(笑)(^O^)


      何の本を読んだかは
      どう生きたかの証明でもあるし、

      読書は感性を豊かにした...

      おお〜っ
      皆さんお揃いで(笑)(^O^)


      何の本を読んだかは
      どう生きたかの証明でもあるし、

      読書は感性を豊かにしたり
      想像力を養うには
      ホンマもってこいですよね。


      だけど知識を頭に
      ただ入れるだけでは
      人間は絶対に変わらないし、成長しない。


      知った気になる
      自分を戒めるためにも、

      人間が変われるのは
      『立って、何かをした時だけ』だって
      自分自身
      いつも自分に言い聞かせてます(^_^;)


      知識はただの知識に過ぎないし、
      それを生かすも殺すも
      人間性にあるんですよね(^_^)v


      あと自分を大きく見せようと
      誰かの借り物で武装してる人は、
      借り物のものしか作れないですよね。

      やっぱ自分をダメだと認められる人でなきゃ、
      オリジナリティって
      生まれてこないと思うし。



      いやぁ〜
      スゴく考えさせられたレビューでした(汗)

      本の方もスゴく気になります!


      2013/02/06
    • まろんさん
      kwosaさん☆

      kwosaさんのレビューは、数行読んだだけで感動が波のように押し寄せてくるような
      ★のいっぱいついた本は、もう、絶対読む...
      kwosaさん☆

      kwosaさんのレビューは、数行読んだだけで感動が波のように押し寄せてくるような
      ★のいっぱいついた本は、もう、絶対読む!と決めているのですが、
      ★が少なくても、今回のように何か引っかかってる感じが伝わってくると
      それもまた読みたくなってしまって、読書の幅がぐんぐん拡がりそうです。

      それにしても、タモリがそんな素晴らしい言葉を語っていたとは知りませんでした!
      私の中のタモリへの尊敬度が一気に高まりました。

      娘に、「ねえねえ、ブクログの中限定で、キミはものすごくいい娘さんってことになってるよ?!」
      と言ったら、うれしくなったらしく、隠し持っていたチョコレートを分けてくれました♪
      うれしいコメントを、ありがとうございます(*'-')フフ♪
      2013/02/06
    • まろんさん
      円軌道の外さん☆

      人間が変われるのは、『立って、何かをした時だけ』という言葉、
      こどもたちに読み聞かせをしたり、サンタさんに変身したりして...
      円軌道の外さん☆

      人間が変われるのは、『立って、何かをした時だけ』という言葉、
      こどもたちに読み聞かせをしたり、サンタさんに変身したりしてあげている
      円軌道の外さんだからこその重みがあって、
      この本のヒロインの杉子に聞かせてあげたいと思いました。

      そして、円軌道の外さんが心をこめて読み聞かせをしてあげたこどもたちは
      本によって見知らぬ世界を知り、
      惜しみなく体を動かして人と接する円軌道の外さんという最高のお手本を見て育つのだから
      杉子のようには絶対にならないなぁ、幸せだなぁ、とうれしくなってしまいました。

      ほんとにいろいろ考えさせられる本で、今まで知らなかったけれど
      木地さん、とても気になる作家さんです!
      2013/02/06
  • こういう良いものを今まで読んでなかったかと思うと辛

  • 奥歯さんがさ
    すきだったらしいので読みたくて探してたんだけど

    独特ですね、この木地さんも
    暫く活動している様子無かったみたいだったけど、改めて調べたらちゃんと本出してて活動されているようで何でか安心しました

  • 軽く読めた。主人公の、大人になる葛藤についていけない。

  • 「薬草使い」いいな♪

  • 「氷の海のガレオン」木地雅映子◆普通って何?変人扱いされいじめられる杉子は、周囲とのズレを認識しつつも卑屈にならず、その視界はいつもクリア(表題作)。真っ直ぐな視線で周囲を射抜く少女にとって小学校は生きづらいけれど、歯を食いしばる彼女は誰よりも強い。良かった。YAと括るのは惜しい

  • 10代のうちに読みたかった。

  • 大好きな本。
    私も周囲の常識に馴染むことが出来なかったので、作家さんの書こうとしている内容に、すんなりと入り込めました。

  • 【収録作品】氷の海のガレオン/天上の大陸/薬草使い

  • 表題作は文庫で読んだので、それ以外の短編2編を読了。これらもこの人のいつものパターンなので好きな人にはお勧め。

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著者プロフィール

木地雅映子
1971年生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。93年「氷の海のガレオン」が第36回群像新人文学賞優秀作となる。94年、同作のほかに2編を収録した単行本『氷の海のガレオン』を刊行しデビュー。同書で坪田譲治文学賞にノミネートされる。2006年、「氷の海のガレオン」に書き下ろし「オルタ」を加えた文庫『氷の海のガレオン/オルタ』が刊行され、「この文庫がすごい! 2007年版」などで話題となる。2007年、初の長編となる単行本『悦楽の園』を上梓。2019年、絵本『ねこの小児科医ローベルト』(絵・五十嵐大介)を刊行。他の著書に「マイナークラブハウス」シリーズ、『あたたかい水の出るところ』がある。

「2022年 『ぼくらは、まだ少し期待している』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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