電脳版 文章読本

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本棚登録 : 12
感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062072625

感想・レビュー・書評

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  • 2013/11/21読了。
    今から20年近く前、文章を手書きではなくワープロやパソコンなどの機械で書くことが一般化し始めた頃に書かれた、文章についてのエッセイである。
    学生の頃にはこうした話を友人たちとよくしたものだが、社会に出たらまったくしなくなった。相手がいなかったのである。文章の書き方、というテーマがこの世に存在することすら認識しない人が世間の大部分を占めていると分かった。だから本書は懐かしい友達と話をしているような気分で読んだ。
    ワープロが普及したら文章が変わるか、というのは当時よく議論されたテーマだ。本書の著者のように、文章を書くことを仕事にしている人たちが盛んに発言していたように記憶している。僕の実感する結論としては、ワープロでは変わらなかった。少なくとも、当時ワープロを使っていたような人々の文章は変わらなかった。文章の書き方というテーマについて自分で考えるからだ。彼らの文章は、ワープロを辞書や原稿用紙や鋏や糊と同じただの道具として使いこなす程度には強靭だった。本書にもそういうスタンスが見て取れる。彼らは心配ないのだ。
    世の中の文章を変えるのは、ワープロではなく、実質0円で手に入る安価で高機能なインターネット端末なのではないだろうか。文章の書き方について考えたこともない人たちの文章が溢れ、人目に触れるようになり、そういう文章しか読まずに大人になる人が現れ、そういう人たちの文章がまた次の世代のそういう人たちの手本になり……といったループが始まって、日本語の文章が変質していくような気がする。書く作業の変化ではなく、書いたものを人目に晒す手段の変化の方が実はずっと重要だった。
    著者は巻末で「文章の曲がり角の時代」と言っているが、それは本書の刊行年である1995年にはまだ始まっていなかった、まさに今始まっているのだ、と言えるのではないだろうか。
    ……というような話を、誰かとしたいなあ。

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著者プロフィール

美術批評家、解剖学者。東京藝術大学大学院美術研究科博士課程を修了(学術博士)。
東京大学医学部助手(解剖学)を経て、現在は東京藝術大学美術学部教授(美術解剖学)。著書および監修書多数。
近著に『ダ・ヴィンチ、501年目の旅』『ヌードがわかれば美術がわかる』(ともに集英社インターナショナル)など。

「2022年 『動物をリアルに描く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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