地域国家論―新しい繁栄を求めて

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062075343

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  • (20090519〜20090530読了)
    ・実際にはどのような経済単位が自然なのか、つまり何が今の世の中で自然な組織単位なのか、ということを既成概念に捕われずに自問してみる必要がある。P19
    ・日米間の大きな統計上の違いを生み出しているものは、文化ではない。全体的に見て、行動パターンが両国の国民の間でかなり違ってくるのは、文化が違うからではなく、システムが違うからだ。税制や金融制度が違い、年金などの統計上の扱いが違うからだ。P45
    ・参考:「トライアド・パワー」「世界が見える日本が見える」「ボーダレス・ワールド」この20年の間に経済環境は根本的に変化した。P57
    ・家を買うのに使えるカネはせいぜい3500万円くらい。その値段で家を探せば、通勤が2時間以上かかるところしかない。通勤が1時間程度のところに住もうとすれば、50平方メートルくらいのマンションしかなく、ゆとりのある生活どころか、子供を育てる部屋さえない。P67
    ・世界各地の発展途上国が示しているように、一人当たりのGNPがほぼ5000ドルの水準に達すると、可処分所得が目に見えない一線を超える。5000ドルを超えると家計に余裕ができる。そして最も良くて最も安い製品やサービスを簡単に手に入れられるかどうか、自分の生活は本当に豊かなのだろうかと考え始める。政治統制をする側にとってはさらに厄介なことに、政府は本当に国民のためによい事をしてくれるのだろうかと、人人は考え始める。情報がグローバルに流れるようになると、政府は勝手なことができなくなる。市民が政府の勤務評定をつける、と言いかえてもよい。P83
    ・日本中の誰もが同じ公共サービスを受けれれるようにすることを政府は同意している。沖縄の離島に住んでいようと、東京のど真ん中に住んでいようと、この「シビル・ミニマム」が適用される。P88
    ・先進国はどのでも、トラの背中に乗りつづけるコスト、トラのご機嫌を取りつづけるコストは、膨らむ一方であり、資源配分の効率はどんどん悪くなっている。これまで、こうした補助金が競争力の水準を全体的に高めたことは一度もない。P98
    ・負担がさらに重くなっている要因。福祉、失業保険、公共教育、高齢者年金、健康保険など、さまざまな社会政策の形で、政府に要求されるシビル・ミニマムは増える一方。財源をどうするのかという問題もあるが、それ以上に国民の側のわがままである。P98
    ・各国政府はシビル・ミニマムを達成し、国益の名のもとに補助金を支給し、既得権益を守るよう、票田を背景として圧力をかけられている。こうした政府に必要があれば厳しい決断が下せる柔軟性があるだろうか。P123
    ・失業などの政治問題は、それぞれの国だけの問題ではない。各国政府が独力で解決しなければならない問題でもない。グローバル経済全体に影響を与える問題。P127
    ・国は国民の行動に広範囲にわたって画一性を求めてきた。しかし、国が近代社会で生き残り、繁栄していくには、限られた範囲での目的の共通性があればいい。自由主義は、この二つの要求の間に現実的なバランスをとる斬新な方法であった。P131
    ・「しっかりした考え方をもつ政治家が利害の衝突をうまく調整し、全員が公共の利益を優先するように導いてくれると期待しても、期待を裏切られるだけである。考え方がしっかいりした政治家がいつも梶を取っているとは限らない」。「党派対立の原因を取り除くのは不可能であり、その影響を小さくするように管理する手段に期待をかけるしかない」。P135
    ・主権国家は、産業のダイナミズム、情報の流れ、消費者の好み、資本の流れが急激に変わったことで打撃を受けた。シビル・ミニマムへの要求、国益の名のもとでの果てしない補助金が負担になっている。P139
    ・地域国家は主権国家の国境の中に収まっている場合もあるし、国境を越えて他国の一部と結びついている場合もある。P142
    ・経済成長を続けるには、外資が進出しやすい条件を整える必要がある。P147
    ・地域国家は外国からの投資を歓迎する。外資による企業所有を歓迎する。外国製品を歓迎する。生産性の高い職を生み出し、生活の質をあげ、安くてよい製品を買えるようにするものなら、世界のどの国であっても、歓迎する。P152
    ・「競争や外部の変化から企業を保護したり隔離したりする政策ではなく、企業が状況の変化をすばやく学び、対応する手助けをする政策」がかぎ。P158
    ・グローバル企業は、国連型の見方によって国別に組織を作っていき、それを遥か遠くの本社の高みから管理する形態をとる必要がなくなってくる。P185
    ・水平的なネットワーク型の組織にして、必要になる機能とサービスが絶えず変化していくなかで、それを個々ばらばらに管理していきるようにすべきである。P189
    ・国連が正式に認める政治組織は教科書どうりの主権国家だけ。P195
    ・主権国家とその政府にとって開放性の価値観を広め、守らせることが決定的に重要である。社会のまとまりを守るにはこの価値観が不可欠。P200
    ・日本は経済運営という面では11の道州に分割すべき。それぞれの同州が東京の官僚と政治家から制約やひずんだ影響をうけることなく、グローバル経済と自由に結びつけるようにすべき。P205
    ・地方自治体がここまで国に頼る事に慣れてしまえば、将来のために産業基盤を自分で作り上げようとは思わなくなる。そんなことに神経をつかる必要はないし、努力する必要もない。道転んでもカネは国から流れてくるのだ。しかし長期的にみればこうした資源の流れによって地元の経済基盤が強化されるわけがない。P206
    ・長い歴史のなかでみれば、主権国家は経済の問題を管理する組織として、過渡的なものにすぎない。主権国家の権利、つまり主権が拡大してきたのは、ひとつには軍事力を持っているからであった。P235
    ・全ての国民の経済的な利益のために作られた政治制度であっても、年数が経てば利益集団、補助金、シビル・ミニマムといったコレステロールがたまっていく。P241

  • 中央対地方の問題は古くて新しい。魅力のある地域を作らなくては世界経済は日本を見捨てるだろう。

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著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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