柔らかな頬

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1153
感想 : 186
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062079198

作品紹介・あらすじ

「現代の神隠し」と言われた謎の別荘地幼児失踪事件。姦通。誰にも言えない罪が初めにあった。娘の失踪は母親への罰なのか。四年後、ガン宣告を受けた元刑事が再捜査を申し出る。三十四歳、余命半年。死ぬまでに、男の想像力は真実に到達できるか。

感想・レビュー・書評

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  • 桐野夏生さん初読み。
    かなりボリュームのある小説だけど惹き込まれて中弛みすることも無くあっという間に読んだ。終始重苦しい雰囲気。行方不明の娘が生きていると信じて探し続ける主人公と山梨のキャンプ場の事件の母親が重なった。
    罪と罰。生と死の対比。どう解釈すれば良いのか。これで終わるんかーい!とも思うけどそこがまたこの小説の仄暗さ、終わりの無い闇という世界観とマッチしている。

  • 自分が意識しなくても性的な官能をかもし出している女性‥それが主人公のカスミなんだと思います。要所要所で男性に救われ、孤独に陥っては男性の肌を求め乳房を与えていく。文中の言葉を借りれば「肝が座った異様な生気」を感じます。
    自分の娘が行方不明(あるいは殺害?)になった原因は確実にカスミのしてきた背徳にある。夫や娘の寝ている階下の部屋で情事を重ねていく行為は共感はできませんが、こういう女性は確かにいて、私も少なからず見聞きしてきた経験はあります。そしてこういう母親をもってしまった子どもが心理的な傷を抱えていくことも‥。
    作者の桐野夏生さんは、作家としての力量からして今後残っていく作家だろうなと感じましたし、直木賞にも納得ですが、本作の主人公のカスミには共感はできませんでした。
    でも、様々なタイプの女性を知るうえでは読み応えのある作品です。

  • 幼児誘拐って 残された人の全てを壊す

  • 前編を通して流れるのは、低くどんよりとした曇り空の印象。カスミが生まれた村の海辺の印象だ。
    疑わしき人物が急に浮上してきたりはするが、最後まで犯人がわからなかった。そんな場所から急浮上してくるとは!
    途中、絶妙なタイミングで過去のエピソードを挟んでくるあたり、上手いなぁと感じさせる。
    久々のミステリー、面白かった。

  • 人間は何をするかわからない。不条理、という言葉が浮かぶ。

    主人公カスミの幼い娘がある朝、どこかへ行ってしまった。
    北海道の友人の別荘から。その別荘の持ち主、夫の友人とは不倫関係。
    カスミは一人狂ったようにみつからない娘を探す。

    ミステリー風な謎が読み進まされる力とはなっているが、解明という方向ではない。
    そのことが起こった波紋を示し、関係登場人物を徹底的にあばいて描いていく。

    芥川龍之介の「藪の中」や有吉佐和子の「悪女について」のようにさまざまな語り手によって事件の様相が違うとか、人物評が違うというような生易しいものではないかった。もっと凄いのである。

    しかし、作者は「原罪」というような大げさな言葉は出さない。まして「罪と罰」もない。
    読み手は自己の内を覗き込まされ、考え込まされる。
    うなづいてしまえるのが恐ろしい。

    救いがない!かどうか...。

  • 読ませる本。上手だな。一気読みしてしまった。沢山泣いてしまった。この心理的な動きは、読んで体感してみるのが良い

  • あらすじ
    「現代の神隠し」と言われた謎の別荘地幼児失踪事件。姦通。誰にも言えない罪が初めにあった。娘の失踪は母親への罰なのか。四年後、ガン宣告を受けた元刑事が再捜査を申し出る。三十四歳、余命半年。死ぬまでに、男の想像力は真実に到達できるか。

  • 5才児失踪の記事からの書き出しで、推理小説と思いきや、失踪した子供の母親・カスミの波乱の運命に翻弄されつつ激しく求め続ける生への執念の記録であることが、本書のかなり後半になってからようやくわかる。
    物語の後半に登場するガンで余命いくばくない内海が薄れゆく意識の中でみる夢と、カスミのみる夢、そして現実がないまぜになって、リアルな生とは一体何なのかを考えさせられる。
    カスミのかつての不倫相手の石山が、全てを失った後に、風俗嬢のヒモになり下がっても、しなやかにたくましく楽しそうに生きる様に、人間が本来持ち合わせている強さを感じた。

  • 「OUT」の後で続けて読んだのですっかりミステリーだと思ったら違いました。
    ミステリー風だけど中身はある女性の生き様的な。

    純文学にありがちななんでもかんでも性的なものに結びついてる雰囲気が嫌いなのもあるけど、面白くなかったと思った理由はやっぱり最後までミステリー仕立てなのに肝心の結末は登場人物の解釈次第、想像次第(それも突飛であんまり腑に落ちない感じの)みたいになっているせいだと思う。

  • 桐野夏生は色んなタイプの小説を書くと思うが、ミステリーだと思うと、「え?事件解決してないじゃん?」っことでなんだこりゃとなるかもしれない。しかし私はこれが桐野夏生の最高傑作ではないかと思っている。何故かと自問するとなかなか答えづらいがとにかく私には深い印象を残した作品です。

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著者プロフィール

1951年金沢生まれ。成蹊大学卒。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞を受賞。99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、10年、11年に『ナニカアル』で島清恋愛文学賞と読売文学賞をダブル受賞。15年紫綬褒章を受章。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桐野夏生の作品

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