歌う石

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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062079334

感想・レビュー・書評

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  • 謎を解く鍵は、いにしえの四つの宝、「剣」「槍」「大釜」「石」。神話や伝説にいろどられた、古代のアイルランドにくり広げられる壮大なファンタジー。

  • 一人ぼっちのケイは多くの里親のもとで過ごしたが、いまは自分一人で生きている。そんなケイの所に誰からともなく18冊の本が送られてきた。英語の本以外に古いアイルランド語の本もあり。大学の先生に助けられながら独学で読めるようになった。そして、本が呼んでいるアイルランドに行くことになった。

  • <トーストかりかりシーン>


    『妖精王の月』『ドルイドの歌』『夏の王』――この作家によるアイルランド発本格ファンタジーを読みつないでいた時期があり、なかでもお気に入りが『歌う石』、断トツでした☆
     興味深いことに、インターネットで調べてみたところ、日本人読者の多くが『歌う石』をフェイバリット・メリングに挙げていました。この作品には、特別私たちに好かれる魔法の力があるようですね。

     ケルトの神話を扱った本格ファンタジーでありながら、不思議と親近感を抱かせてくれるメリングファンタジー。殊に『歌う石』は、ファンタジーと現実の間に断層が生じない作品だと思います。
     主人公のケイは、アメリカのどこかによくいそうな大学生の女の子なのです。ただ、幻視や奇妙な夢がたびたび訪れるという彼女。そこで「歌う石」をヒントに旅立った先が、アイルランドでした。
     巨石のアーチをくぐったら、そこは古代の世界。記憶をなくした謎の少女アエーンと出会い、賢者トゥアンの言葉によって宝を探すことに……

     と、何だかどんどん神秘の世界に引きこまれていくことにはなるけれど、すっと入りこんでいけたなぁ★ ケイが自分のルーツを探してここに来た、という前置きが利いているのか、紀元前にをさまよっても全く違和感をおぼえなかったのです。

     ケルトの神話には、血で血を争うような野蛮なイメージもあるけれど、いつだってメリングの筆致は、一族の存亡をかけた戦いまで夢み心地で読ませてくれます。井辻訳も流麗☆ 幾多の事件や争いをこえ、古代と現代が結びついてゆく過程に陶然としました。ついに判明するアエーンの正体やケイのルーツに、驚いたなぁ……。

     と言いつつも、私が勝手に決めたこの物語の見どころが別にあるのです。男の子と女の子が、お部屋でトーストを食べながら(かりかりかり)おしゃべりしているシーンこそ、ファンタジーと呼びたい。だって、すごく可愛い!
     すみません★

  • 後半、指輪物語のエルフが旅立った、っていう話に似てるなーって思ったら解説も「指輪物語に近い」的なことを言っててやっぱり。と同意。

    さっくさっく進むストーリ。たくましい女性2人が3つの宝を集め、歌う石を呼び出す。ちょっとラブロマンスあったり。ファンタジーが読みたいときにオススメの一冊。

  • 物語の流れが速くなったり分岐したり
    いくつかのテーマがあって
    一冊の本でいろいろ楽しめました

    歴史に関するところは
    ××族?○○族?カタカナが多くて悩みましたが
    後半はまずまずの理解で進めました(;^^)ゞ

    やっぱり後半のアエーンの変身振りが
    いっきに物語をまとめて行きましたね!
    明らかになる謎が解けていって
    すっきり、の読後感です(^_^)

    装画は、こみねゆらさん
    日本で描かれたとは思えないクオリティ!

  • アイルランドの歴史をもっと知りたいと思いました。
    おもしろかったです。
    ファンタジーとしてもよかった。
    もうすこし訳が読みやすいとよかったんだけどね。

  • 小学生の夏休みに図書館で読んで強烈な印象をどかーんと受けたのですが題名思い出せず。ネット検索ですぐ出てきました、時代って凄い…

  • 主人公ケイが自分のルーツを探すうちに古代アイルランドに迷い込み、記憶喪失の少女アエーンとともにダナーン族の4つの宝を探し出す旅をする話。
    たぶんストーリーはシンプルだけど、自分探しと神話とラブロマンスがすごいバランスで調和しています。

    井辻さんの訳なのがまたよかったんだと思います。小学生だった自分が生まれて初めて情景をくっきり想像できる文章だったので、ますます夢中になって読みました。
    ケイの聡明さに憧れたなぁ。登場人物のキャラクターがすごく生き生きしてて、神話に埋もれないとこが好き。

    もともとファンタジーやケルトが好きだったけど、この一冊でますますそっちに偏っていきました。
    私にとって、特別な本です。自分のルーツになったかもしれない(笑)。

  • これは Hit! です。  「妖精月の王」も「ドルイドの歌」もよかったけれど、乙女チックなきらいがあるところがちょっとビミョーだったのに比べると、この物語にはさほどそれを感じません。  他の2作同様プチ・ハーレクイン的な要素もなくはないんですけど、それ以上に叙事詩的な物語進行のパワーのほうが強くて、どちらかというと「歴史大河小説」を読んでいるような気分でした。  と、同時に過去につまみ食いをして記憶の欠片になってしまっている「侵略の書」のそこかしこが想い出され、読み進めながら空想の世界をあっちへ行ったりこっちへ行ったりすることができたという点も、KiKi にとっては嬉しいことでした。  他の2作よりもどことなく地味目な表紙も、この物語の世界観にはピッタリだなぁ・・・・と(笑)。    

    読み進めているうちに感じたことの1つに、KiKi の大好きな梨木香歩さんの紡ぐ世界観と、この物語の紡ぐ世界観が微妙に似ているなぁ・・・・ということがあります。  それは梨木さんが英国留学していたから・・・・とか、彼女の描く世界にどことなくちょっと古めかしいイギリスっぽさがあったりするから・・・といったような表層的なことではなく、「この世のありようと、そこでの人間というある種しょうもない生き物の存在の対比」とか、「自然から受け取るある種のメッセージに対する感性」とか、そういう点がものすごく近しいような、そんな気がするんですよね~。

    (全文はブログにて)

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