犬と鬼-知られざる日本の肖像-

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本棚登録 : 271
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062081016

作品紹介・あらすじ

数々の文化遺産、美しい国土、すぐれた教育制度、世界一の個人貯蓄。それらがありながら、なぜ日本は道を踏み外すのか?『美しき日本の残像』(新潮学芸賞)の著者による衝撃的日本論。

感想・レビュー・書評

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  • 「美しき日本の残像」が良かったのでこちらも読んでみた。
    日本への問題提起の本。そういうものは従来、経済や政治面での指摘が多かったが、アレックス・カー氏は文化面での造形が深いため、そちらの方からのアプローチであるのが新しい。
    「犬と鬼」は中国の古典「韓非子」の中で皇帝が宮廷画家に「描きやすいものはなんであるか。描きにくいものはなんであるか」と質問すると
    「鬼は描きやすく、犬は描きにくい」と答えたという故事による。
    日本でいえば、住宅地の電線、山々にそびえた高圧電線はかくそうともせず(犬)、奇抜なモニュメントばかりつくる(鬼)といったところだそうだ。
    この言葉には正直どきっとした。(自分の行動もそうじゃないかな)

    また「犬と鬼」のもう一つのテーマは「極端状態」の日本である。
    日本はブレーキがききにくく極端に走る社会であるという指摘である。
    日本が戦争に走ったのもそれだろうか?

    本に挙げられている大量の事例はデータの信頼性に疑問がのこるためあまり評価できない。

    海外出身の方で日本文化に造詣が深い方が日本信者にならずに新しい視点で客観的に愛情をもって日本に警鐘をならしてくれているのはありがたい。ずっと日本に育ったものには決して持てない視点だと感じた。

    メモ:犬と鬼 自分の街の風景を観察してみよう。自分の家をみてみよう。

  • 政治に関心を持たない者にはかなり衝撃的な内容でした。自国のことにもっと関心を持ち、時には声を上げる必要があると猛省。
    10年前に出版されたもののため現在は改善されているものもあり、そして旧態依然なこともあり。
    ただなぜこうなったか、全てを鵜呑みにせず詳しい背景を調べる姿勢は持った方が良さそう。本書で景観を褒めてる某国にも日本に負けず劣らずへんてこな場所があることを知ってるしなぁ。

    素直に認めたくない指摘が多いが、反発しつつ色々考えるきっかけになった。自分の住む日本という国への向き合い方が変わったのは意義あることだ。
    私のように政治に関心を持たない人、特に過去を知らない若い人に反面教師的効果を狙って一読を勧めたい。

  • 数年前に読んで感銘を受けた本を読み直した。この本の影響かどうかはわからないけど、現在の状況を見ると書かれている内容が良い方向に少し向かっている。ほんのささやかかもしれないけれど変化がある。
     今の私に何ができるのかわからないが、何かをしなければいけないことだけは間違いない。それは10年後、20年後のこの国の人達の為に。皆が半歩歩めば大きな一歩に近づく筈だ。
     このような事態を招くのは人間の欲だ。それ自体は生物として当然のことかもしれない。問題は、どこで良しとするか。まさしく「足るを知る」ことだ。

  • 日本に住み日本を愛するが故に、今の日本をこころから案じて書かれた渾身の一冊と言っていいかも。

    アメリカ人である著者:アレックス・カーが外から見える日本を日本人には書けない所まで指摘して書き上げた、日本への警告と受け止めました。

    本当に今のままでは、本来の日本文化や自然は壊し、日本経済を破綻に追い込むコンクリートの構造物や地方の隅々に立て続けられる負の遺産と言っていい箱物の施設によって地方もどんどん疲弊していく様を彼はこころから案じて書いている。

    国土を土建により壊し(整備しているという受取方もあるが)海や川をコンクリートで固め、環境は壊し、日本の文化さえも教育と共に均一化され右にならえと言えば全て右にならえという人間を作り、借金はどんどん膨らんで行っている。

    結局この国は官僚が支配して箱物や土建に使うお金はジャブジャブ垂れ流し、その使い道はその目的以外には使えないため負の遺産として増え続け、それを維持するために地方までも負債を抱え続けて行っている。

    そして、ありとあらゆる地方の果てまで使われる事も無い人も集まらないモニュメントが出来上がり、日本自体がおかしな国に邁進していると言う事を著者は警告しています。

    確かに、日本はおかしな方向に進んでいるなと、この本を読んで行くに連れつくづく思わされました。

    題名の「犬と鬼」は中国の故事で画家に犬と鬼はどちらが描きやすいかと聞いたら鬼の方が描きやすく犬は難しいと答えたという所から名付けたそうで、今の日本の官僚が描くモニュメントや箱物土建工事といった身近にない壮大なプロジェクトは鬼であり、空気のようにいつもそばにある日々の生活の保障とか町並みの整備とか本来生活に直結している易しい政策が意外と描きにくい犬だと著者は言っているようです。

    官僚にやりたい放題鬼を描かせている日本がこれからどうなるのか!?15年以上前に書かれた本ですが、今の日本がどこまでそのまま転げ落ちて鬼ばかりになっているのか?この本を読んで思い浮かべてみるといいかもしれません。

  • 内容(「MARC」データベースより)
    奇妙なモニュメントが都市の美観を破壊し、公共事業があらゆる自然を人口に変える。日本人にすら魅力的でなくなった日本を造ったのは誰か? 「美しき日本の残像」で新潮学芸賞を受賞した著者による痛烈な日本論。

  • 本当だ!「日本」ッテ救いようがない!!他の国はどうなんだろう!!!デモこんな日本でもチャンとした日本人が居ることに救われるかも!!!!私は何をしたらいい!!!!!この本の存在を広めよう・

  • これから読みます☆

  • 日本は幼稚化しているという1番刺さった。

  • 1度決めたことは、何があっても後戻りできない。一番の成功者は、たとえその成功を後押しした環境や状況が変化しても、その成功体験を捨てられず、次代における敗者となる。劇的な破滅はないだろうが、ぬるま湯の中で、静かにゆでガエルになるのを待つ状況。「実」から目をそらし続け、本質から逃れようともがく国。
    日本とは本当に、そんなに救いようのない国なのか。実感として、この社会に対する生きにくさや、文化や歴史を忘れた風景、全てを子ども扱いし、平等に情けなく扱いたがる現代の空気に絶望感を感じていた時に、叔父から借りた本。
    自分一人でこの状況を変えることなどできるわけもないが、せめて自分と周りの人たちには良い影響を与え、くだらない不幸と不満の牽制の輪から逃れることはできるのではないか?そのためには今何ができるのか?
    世界を見ること。語学を学び、日本以外の情報を得ること。社会で少しでも上に行き、負の遺産を潰すこと。とりあえず他国よりマシ、と信じられているものの真実を探り、ただすべきをただしていく一助となること。
    著者の視点はあまりにネガティブにすぎるところもあるかもしれないが、冷静に耳を傾けるべき点は多い。
    もちろん、他国も日本とは違う多くの問題を抱えてはいるだろうし、その解決に苦心しているのも同じだろうと思う。だとすると、日本人としてできることは、日本としてのオリジナルの未来を見つけること。
    あまりに色々考えさせてくれる本なので、自分で買って、再読したいと感じた。

  • うなった。

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著者プロフィール

1952年米国メリーランド生まれ。1964年に初来日し、1966年まで父の仕事の関係で横浜の米軍基地に住む。1974年エール大学日本学部卒業。日本学を専攻、学士号(最優秀)取得。1972~73年まで慶應義塾大学国際センターでロータリー奨学生として日本語研修。1974~77年、英国オックスフォード大学ベイリオル・カレッジでローズ奨学生として中国学を専攻。学士号、修士号を取得。著書に、『美しき日本の残像』(新潮社学芸賞)、『ニッポン景観論』などがある。日本の魅力を広く知らしめる活動を展開中。

「2017年 『犬と鬼 知られざる日本の肖像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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