- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062081580
感想・レビュー・書評
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病気、とくにこれ以上の回復が望めず障害を抱えていきていくとき、治癒の見込めない末期のガン、救急救命でもはや命を救えない局面など、医療で人が助けられないときこそ、医療はその場でこれ以上なすすべがありませんと手を引くのではなく、おかれた状況からその人や周囲の残された人が成熟していくことを手助けしていく必要が医療関係者には求められる(医療関係者自身も成長・成熟していく必要がある)。クオリティ・オブ・ライフという言葉が浸透して、医療の世界でもいかにして生活水準を向上させるかということが注目されて取り組みがなされていて痛みの緩和などの取り組みが進んできているけども、究極のクオリティ・オブ・ライフは死に向かって人生を完成させていくことである。クオリティ・オブ・ライフ、そして、クオリティ・オブ・デス(死が避けられないとわかった時点で本人と周囲の家族がいかにして有意義となるような時間を過ごせるようにして死を受け入れて死を活かしていくか)という視点について、医療界全体が取り組んでいく必要がある。
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柳田邦男氏が8人の医師と、終末期医療に関して対談している。
疾患を治すことだけに熱心で、肝心の患者が置いてけぼりになっているのではないか。患者がよりよい死を作ろうとすることに対し、医療者が支援の手を差し伸べること、患者の価値観や人生を知り、その人の人生の文脈の中での死の位置づけをしっかりと把握する。このこともまた、大切なのではないかという、柳田氏の主張に私は大いに同意する。父の死を通して、私はこのことを本当に実感している。
「この世に生まれた人間は、例外なくいつかは死を迎える。医学にとって死は敗北ではない。死を真正面から受け止め、死と共存する道を探ることが大事であろう。より良い死の看取りあるいは支援に失敗したときこそ、その医療は敗北というべきであろう。」
「障害を持っていたり、死が避けられない、という状況の中で、症状を抑えながら、その患者がどういう生き方をしたいのか、何が患者にとって一番大事なのかを考え、支援していくことだと思うのです。」
「医療者は患者の「クオリティ・オブ・デス」について真剣に考えるべきだと思います。そうすることで医師の視野は大きく広がり心の意味で、人間の死生に関わる医療ができるのではないでしょうか。」
「もう一つ大切なのは、死にゆく人が「生きた」ということに対して敬意を払うことなのではないでしょうか。二十年であれ、八十年であれ、また職業が何であれ、一人の人間がこの世に「生きた」ということは、大変なことだと思うのです。」 -
この本に登場する8人の医師は、いのちに関する多くのメッセージを発信している。各自の著書には書かれていない医師としての想い、病を通して生きる大切さが、柳田の深い見識から生まれる対話を通じて実感できる。柳田の『犠牲』と合わせて読みたい。
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対話形式の本。
内定者の課題図書。
日常的に当たり前とされていることに対して疑問を呈し、新たな見解を展開していく。
医療現場にはそんなニーズがたくさんありそう、というのが所感。 -
ちょっと古い本だけど、医療の問題がいろいろわかって面白かった。
ムンテラって、医師の思う通りに誘導して説明することをいうらしいよ。
闘病記とかいろいろ読んでみたら勉強になるかもと思った。 -
2001年7月 図書館で借りた