人事部はもういらない

  • 講談社 (1998年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (244ページ) / ISBN・EAN: 9784062081627

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  • 1998年の発行。バブル経済崩壊後、まだ10年にならない時点での発行であるが、当時から、日本経済が回復しないことへの問題意識はあり、また、その大きな要因として、「新しい競争環境に適合しなくなった日本的人事システム」という論調があったようであり、本書は、その代表的な一冊になるだろう。
    「日本的人事システム」に対しての本書の主な批判内容は、
    ■終身雇用に代表される雇用安定と引き換えに、個人はキャリアの自主性を失った
    ■「日本的人事システム」の恩恵にあずかっているのは、大企業・男性・正社員のみであり、その他の人たちは差別を受けている
    ■企業内でジェネラリストキャリアを歩むことになり、専門性が育たない
    ■今後は個人主体で仕事をしていくことになるので、「集団主義的」な「日本型人事システム」は時代遅れである
    といったところであろうか。
    これらが、日本経済の競争力を損ねているばかりではなく、「ワークライフバランスの問題(長時間労働など)→ひいては、少子化問題」「不平等問題・格差問題」「学歴社会を構成」等の社会問題を引き起こしているとしている。
    そして、対策としては、「新卒一括採用をやめ、各部署で採用を行うこと」「人事は社内の職業斡旋業に徹すること」「雇用契約から請負契約への変更」「引退時期を自分で決める」「副業解禁」等をあげている。
    そして、そのような「日本的人事システム」の運用を行っている「人事部」は「もういらない」から解体すべきと主張する。

    今となっては、「本気ですか?」と思えるような内容である。個々の内容は置いておくとしても、世の中に対しての前提が私が考えていることとは全く違うことを記しておきたい。
    ■筆者は、企業の人事慣行を変えることは簡単であると仮定し、かつ、それを変えさえすれば、社会問題が解決すると主張している
    ■しかしながら、「人事慣行」「雇用システム」は、優れて社会的なシステムである。それは、社会保険制度・学校教育制度・職業教育制度等と、密接に絡み合いながら、歴史的な経緯を経て培われてきたものである
    ■本書の主張は、最近の「ジョブ型雇用」「メンバーシップ型雇用」の議論と似ている。「人事慣行」「雇用システム」を「ジョブ型雇用」に変更することは簡単な話であり、それさえ行えば社会問題も解決するとの主張を行っている。しかし、各国の「人事慣行」「雇用システム」は一長一短のある「社会システム」「エコシステム」であり、筆者の主張するようなことは、決して実現可能ではない

    ということであり、あまりまともに論じる気にならない

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著者プロフィール

昭和女子大学副学長,特命教授

「2022年 『日本経済論・入門〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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