硫黄谷心中

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062084109

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  • 村田さんの小説は大した起伏のない話でも、その語りに手を引かれて先へ先へと読み進んでしまう。
    一頃は登山と湯治の客で賑わったものの、今はすっかり寂れてしまった古宿。その近辺は心中の名所でもあり、宿には戦前、戦後の一時期、登山や湯治客に紛れるように心中する男女の客も多く泊まったのだという。
    不思議な情感と哀感が漂う。
    一章ごとに宿に働く人間、泊客と視点が移っていく中で、母を亡くし父を慕いながらもうらぶれた宿に縛られた女主人の語りが孤独と哀切を忍ばせる。
    また終盤に幻視のように現れる情死行は得も言われぬ甘美さを湛えている。

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著者プロフィール

1945(昭和20)年、福岡県北九州市八幡生まれ。1987年「鍋の中」で芥川賞を受賞。1990年『白い山』で女流文学賞、1992年『真夜中の自転車』で平林たい子文学賞、1997年『蟹女』で紫式部文学賞、1998年「望潮」で川端康成文学賞、1999年『龍秘御天歌』で芸術選奨文部大臣賞、2010年『故郷のわが家』で野間文芸賞、2014年『ゆうじょこう』で読売文学賞、2019年『飛族』で谷崎潤一郎賞、2021年『姉の島』で泉鏡花文学賞をそれぞれ受賞。ほかに『蕨野行』『光線』『八幡炎炎記』『屋根屋』『火環』『エリザベスの友達』『偏愛ムラタ美術館 発掘篇』など著書多数。

「2022年 『耳の叔母』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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