ステルス戦闘機―スカンク・ワークスの秘密

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  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062085441

作品紹介・あらすじ

数々の最新鋭軍用機を開発した知られざる〔創造型組織〕の全て!!スカンク・ワークス(ロッキード先進開発計画)はF‐104・U‐2・SR‐71・F‐117Aなどのハイテク機を短期間・低コストで開発!!「少数精鋭・独立・秘密」を第一義にした例のない組織の責任者がその全貌を明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 2021年8月15日読了。

    U-2、SR-71、F-117ステルス戦闘爆撃機などを開発したロッキード社スカンクワークスの2代目責任者が著者。

    どれも革新的な技術を用い、SR-71ブラックバードに至っては、これを凌駕する性能の飛行機はいまだ存在しない。

    スカンクワークスにおいて、これらの飛行機をいかに開発していったかが、詳しく書かれている。

    期間と費用を抑えるため、試作品には既製品を多く用いること、試作品の大切さ、軍や政府を相手にする不条理さ、軍や政府とロッキードのような民間企業のコスト意識のズレなど、うなずく部分、参考になる部分が多い。

    日経新聞でどちらかの社長の愛読書として紹介されていたのがきっかけだが、Amazonで本書を検索してびっくりした。

    古書で1万円近く出さないと手に入らない様子。
    図書館で借りれて良かったと心から思う。

    ブックオフに並んでいたら秒で買うべき本(笑)

  • 20200420_スカンクワークス

    「俺の猿真似はするな。俺の飛行機を信じては駄目だ。お前自身の飛行機をつくるんだ。お前自身が惚れることのできないような飛行機はつくるな。お前とスカンクワークスの評判を汚すことのないようにな。自分が正しいと信ずるものにしたがえば大丈夫だ」

    われわれの信条は、四十年前のある晩、ケリーが酔っ払って書いたとされる次の十四の基本原則にあらわされていた。ケリーのあとを継いだ私の時代にも、これは有効だった。
    1 スカンクワークスのプログラム・マネージャーは、そのプログラムを代表し、あらゆる事項を掌握するとともに、技術、予算、生産の諸問題に関して即決の権限を有する。
    2 管理機能は、軍、民、ともに協力で小さなものとする。
    3 プロジェクトに関与する人員をできるだけ少なくし、有能な人材をあてる。
    4 図面管理は変更が容易な単純で融通のきくシステムとし、失敗した際の回復がすばやく行えるようにする。
    5 報告書の数は最小限とするが、主要な結果は必ず記録を残す。
    6 実際に使った費用のみならず、プロジェクト終了までの見込み額も毎月見なおす。
    7 下請けやベンダー(部品供給業者)は、われわれが自由に選択できる。
    8 目下、空、海軍に認められているスカンクワークスの検査システムは、軍の規格に合致し、新しいプロジェクトにも適応される。なるべく下請けやベンダーに検査をまかせ、二重の検査は避ける。
    9 われわれに最終製品の飛行試験を行なう責任があり、かつ最初にこれを行なう。
    10 部品に適用される基準は、すべて事前に合意されたものとする。
    11 政府の予算執行は時機にかなっていること。この遅れのため、われわれが銀行に走らなければならないなどということのないように。
    12 われわれと軍の計画担当者は深い信頼関係を保ち、誤解や不要な文書のやり取りを極力抑えるため、日々の連絡調整を緊密に行なう。
    13 外部からの干渉を排除する。
    14 少数精鋭でいくためには、評価は、部下の数でなく、成果で行なう。

    ベンはこうした問題に常に注意を払っていたが、決して傍観者的ではなかった。彼のリーダーシップの特徴は、直接技術者を取り仕切ったケリー・ジョンソンとは対照的に、外部からの干渉を避けるというやり方だった。ケリーは気に入らなければ自分の思うとおりになるまで設計をやりなおさせたが、彼はわれわれがやりやすいように、空軍やロッキード社の上層武と話をつけてくるといったふうだった。それでいて、F−117Aはすみからすみかでベン・リッチのものだった。
    最初から彼の方向づけがなければ、ステルス機開発競争には決して勝てなかっただろう。彼は完璧な管理者であり、困難な時期や緊急時には必ずそこにいた。われわれがへまをやらかしたときは弁護してくれた。新しいプロジェクトの確保に奔走し、必要な資金を引き出すため、ステルス技術の重要性を議会や政府高官に説いてまわった。彼は先見性と鋭敏な勘によって、期待に見事に応えたのだった。

    これが、扱うプロジェクトは高度に秘密で、優先度が高く、時間が勝負という、のちのスカンクワークスの基準となった。
    航空隊はできるだけケリーの要求にかなうよう努力し、彼の好きなようにやらせた。ケリーのテントをのぞくことができるのは、二人の士官だけだった。ロッキード社の経営陣は、ケリーが大した金もかけず、本業であるチーフエンジニアの活動に支障のない限り、彼の研究開発部門の維持に同意していた。航空業界では例のないことだった。

    仕事に取りかかる前に、ベーメがケリーの“騒乱取締令”と称する10の基本ルールを書いた謄写版刷の紙を渡してくれた。そのいくつかを紹介しよう。
    「目的は一つ、よい飛行機を予定どおりつくること」
    「技術者は飛行機から石を投げたら届く範囲で仕事をすること」
    「いかなる予定の遅れも、ただちに担当者がジョンソンに書面で報告すること」
    「可能な限り、特別な部品、材料は使用しない。たとえ重量が増えても、既存部品を私用すること。これがスケジュールに遅れない秘訣である」
    「時間を節約するための最大限の努力をすること」
    ディックは言った。
    「ここで働く限り、これが君のバイブルってわけさ」

    家族との生活という側面からスカンクワークスを見ると、多くの時間を取られるなど、さまざまな問題はあったが、私には決して悲惨なものではなく、むしろ楽しい経験といえた。同僚たちと歩調を合わせるため、私はいつも背伸びしていた。彼らと働くことは楽しみであり、刺激であった。
    仲のよい友人で油圧の大家デイブ・ロバートソンは、暇なときにはミニチュアの大砲と砲弾をつくっていた。ある日曜日、彼の家を訪ねると、芝生の上でその大砲を試射するところだった。砲弾はボンという音をたてて道路を飛び越え、隣家の二階の窓をぶち破った。デイブはにっこりしながら言った。「おーっ、こんな小さなやつでも、ちゃんと働くよ」

    「会社の運営の仕方なんて、俺が半日ぐらい話してやるだけで十分さ。そのあとで一杯飲みにも行ける。ハーバードで教わることなんてなにもないよ。あそこは、ただ聞くだけだろう。お前なら教授陣から全部Aをもらえるだろうよ。
    でも、経営で本当に大切なのは、決断することなんだ。間違った決断だって、必要なときになにも決めないよりましな場合がある。大切なことは、中途半端に問題を放置しないことだ。それをやると、すべてが駄目になっちまうことがあるからな。
    まあ、大体そんなところさ。これでもう君はここを運営することができる。帰って一杯やろうじゃないか」

    「うちの上層部にだって、俺やここの独自性をおもしろく思っていないやつがいるんだ。そのことは、お前にだってわかっているだろう。
    われわれのやり方を評価する連中だって、このプロジェクトで働く人は少なく、契約のわりに利益が小さく、ときに開発費の超過があることを知っているから、なるべく昇進や昇給は小さくしたがっている。本工場の連中は、部下が何人いるかで昇給額が極まる。ここでは、部下が少ないほど給与が高い。だって、それだけ仕事をし、考え、責任もあるということだからな。だが、たいていの重役たちは、そんなふうには考えない。ノースロップの重役だって同じようなものだ。連中は帝国の支配者として、そういうふうに訓練され、条件づけられているんだ。
    次になにをすべきかを投票で決めるような連中にとっては、周囲から完全に切り離された秘密のプロジェクトなんて、許しがたいに違いない。やつらにしてみれば、コントロールこそ命。スカンクワークスが正しく運営されているとしたら、それはもっともあってはならないことなのさ」

    「お前に教訓を授けるには、いまほどいい機会はない。いいか、よく聞け。自分が惚れることのできないような飛行機などつくるな。金のために身を売るようなまねだけは絶対にするな」

    「あなたの考えていることはわかりますよ。でも、時代が変わったんです。顧客に押しつけるのではなく、これは自分が思いついたんだと思わせるように仕向けていかなければ駄目なんですよ。仕事を進める上では、それが一番いいやり方なんです。あなたには一番苦手なことかもしれないけど」

    ロッキード社のスカンクワークスが成功例の見本なら、どうしてこれが100社以上にならないのだろうか。その理由の一つは、彼らが真にスカンクワークスの概念、適用範囲と限界を理解していないことだ。
    スカンクワークスにとって欠かせないのは、管理主義からの独立と自由であるが、多くの場合、これが嫌われているようだ。

    会長が年に何千万ドルもの給与を受け取り、社長が数千万ドルに相当する自社のオプション株を受け取るという状況で、重役たちが亀の甲羅から首を伸ばすような冒険をしようとするだろうか。航空宇宙産業のみならず、次の四半期目の株主報告より先の未来を心配する者は、ほとんどいないのが現状である。

    スカンク的であるということは、リスクを冒すことを意味し、その技術が成功した暁には大きな利益が見込まれるとみんなが認めたとき、これと引き替えに自由な運用が保証されるのである。会社の上層部は、低い管理費、適度な投資により、スカンクワークスの失敗は許容可能な範囲だと見なしていた。

  • ふむ

  • 副題のスカンク・ワークスの秘密(学研みたいだ)が内容を表している。2代目のベン・リッチによる解説。F-117Aステルス戦闘機、U-2偵察機、SR-71偵察機の話がメイン。U-2とSR-71は初代ケリー・ジョンソンの時代に開発された。内容は内側から見た開発記録だが、そこには、時代を超えて革新的なものを生み出す考え方、組織、ヒトが描かれていて、飛行機マニア以外が読んでも興味深い内容になっている。官僚主義の徹底排除、少数精鋭主義でモチベーションと給与で報いる、設計と工程の隣接、夢を持てる仕事をする、開発は重点ポイントに絞りそれ以外は流用してコストと時間を節約する。

  • 前代未聞の技術開発と、それを超短期間で実現することで、国家戦略上のミッションをクリアしてきた集団の素晴しさには驚愕した。
    単に各領域の優秀なメンバーを集めただけではなく、その思想には一貫したものがある。

    軍事上、秘密裏に進められた計画であったとはいえ、マッハ3以上で大陸を横断する偵察機や、レーダーで補足できない爆撃機など、それが1960年代に存在していたことなど、我々の直感に反する事実ではないだろうか。
    CIA/軍事関係者/政治家など、多数の関係者の発言を交えて、冷戦中のエピソードが記されている。読み物として臨場感を味わうことができたが、どれもボリュームが大きく読み終えるまでには時間がかかってしまった。

  • 先進的な開発を行うための少数精鋭メンバでの効率的開発方法論は参考になる。

  • ロッキード社の秘密機関も実はコストカットやリストラで頭を悩ませてる。著者の語り口が親近感を覚える。

  • かの有名なケリー・ジョンソンのお話とベン・リッチのお話.U-2からブラックバードやらナイトホークなどなど有名な機体の開発秘話が読める一冊.BGMにはもちろん夜鷹の夢.

  • 驚くほどよかった

  • きっかけ: 後輩から薦められて。
    目的: スカンクワークスに関する一般的な知識の入手

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