世紀末の予言者・夏目漱石

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 13
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062087674

作品紹介・あらすじ

秀れた社会観察者でもある漱石は二十世紀をどう捉えていたか。文豪が見抜いていた近代文明の行方と個人の運命を、その日記や作品などから読みとり、この世紀とは何かを考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 2017/05/08

  • 漱石が小説家というより思想家だったと知る
    確かに人間と社会つまりは人間の内と外を理解することで
    21世紀に至るまでに起るヒズミを見通していたに違いない
    漱石は物質に依存する視野の狭い文明と
    それに関わる精神を搾取する文化によって
    民衆を支配する社会組織の成り行きを細かく噛み砕いた結果
    部分性にとらわれて全体性を無視した時代に嫌気が差していたようだ

    先を見据える透視力を得たのはひとえに深い全体観をとらえる
    視野の広さを身に付けていたからだといえる
    漱石の物欲から解放され自分の意識の有り様に気付いていたという
    資質もさることながらしがらみから離れる英国への留学が
    益々視野を広げ意識を解放することに
    大きく関わっていたことも確かなことだろう

    長い歴史を費やしてきた物質文明への依存を卒業して
    自律した意識の時代へと舵を切るタイムシフトの波を
    近い内に迎えることになるのだろうと思う
    それにしても私達が21世紀の後半を見ぬくために
    重要な手掛かりとなる内容を持った本であることに間違いない

    物質文明の最後の砦となるだろう金融システムが持つ魔性が
    NWOとなって地球の全てを食い尽くした時侵略先を見失い
    自ら作る津波の反作用に飲み込まれ自滅を迎えることになるだろう

    悪魔と神の違いは今という単純明快な自律を目指すことで創造するか
    過去という複雑怪奇な依存に逃げ込んで今を破壊するかの
    紙一重の選択の違いであるらしい

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著者プロフィール

1953年生まれ。東京大学名誉教授。日本近代文学専攻。『漱石を読みなおす』『漱石論』『天皇の玉音放送』『小森陽一、ニホン語に出会う』『文体としての物語』『構造としての語り』など。

「2022年 『なぜ漱石は終わらないのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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