雪が降る

著者 :
  • 講談社
3.47
  • (10)
  • (17)
  • (34)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 125
感想 : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062092036

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 一昔前の、男達の孤独が静かに紡がれた短編6作品。
    特に『台風』『雪が降る』が印象的だった。
    「こういう台風みたいな大風のなかにいたって、いつも胸をはってる。頭をあげて歩いていける。そういうのが、強い人間だってことさ。きみはそのひとりだ」
    子供の頃親しくしていたお兄さんの言葉は、大人になっても忘れることはない。

    どの短編も読み終えた後の余韻が穏やかに続く。
    女性より男性の方がロマンチストが多いように思う。

  • 藤原伊織ワールドです。儚い人生が詰まった
    切ないけど温もりを感じる6編の短編集


    (台風)
    吉井は会社でパワハワが原因で上司を刺してしまった社員の
    事件から自分が少年時代に出会った青年の事を思い出す。


    (雪が降る)
    食品企業の販促課の課長志村は同期で本部長の高橋の
    息子、道夫から「母を殺したのはあなたですね」という
    一通のメールを受け取り彼と会う約束をする


    志村が決めたこと、それは彼にだけは嘘はつかないでおこうという事
    道夫の母親陽子と志村の関係が語られる
    そして高橋と志村の友情。この話が1番すきでした
    短い中に凝縮された男同志の友情が胸にきました
    ちょっとロマンチックで大人の恋。


    (銀の塩)
    ここで「テロリストのパラソル」の主人公の島村に
    会えると思ってみなかったのでちょっとうれしかったです
    逃亡生活時代の話です。
    島村のアパートの隣人、バングラデッシュ出身のショヘルと
    会話をするようになり彼の誘いでお盆休みを避暑地で
    過ごす事になりますが、ただの休暇ではありませんでした。


    (トマト)
    バーのカウンターで自分は人魚だという女性と男性の
    やりとりが綴られています。何故トマトだったんだろう
    不思議な作品です。


    (紅の樹)
    堀江徹は父親が一代で起こした堀江組の跡目を継ぐはずだったが
    父親が病死した後、父親が五分の縁を交わしていた秦野会の
    預りになり不自由ない生活を送っていたがある事をきっかけに
    組から追われる立場となる


    ひっそり生活する堀江の隣の部屋に母と娘が引っ越してきます
    次第に話をするようになり、平穏な日々とそんな暮らしが
    自分にもやってくるかもしれないと思い始めた頃
    堀江の生きてきた世界が彼を放っておいてくれませんでした。


    (ダリアの夏)
    デパートの配達員の孝と大きな家屋に住む元女優、篠崎由利の
    不思議なひと夏。


    藤原氏が描く主人公には何故かとても惹かれる
    自分が今いる場所に何の未練も興味もない主人公達
    何気ない言葉にインテリを感じ、心の奥にある痛みが
    見え隠れするところ・・やっぱり好きだなぁ〜。

  • 短編

  • (収録作品)ダリアの夏/紅の樹/トマト/銀の塩/雪が降る/台風

  • 何かのお勧めで読んでみた初の作家さん。テロリストのパラソルの人とは知らなかった。短編でどれもよくできていた。ハードボイルドもよし、ファンタジーもよし。昭和のイメージで読んでたけど携帯やメールが出てくるからそうでもなかったらしい。

  • 藤原 伊織による短編小説集。

    収録されている小説はどれも、”もっと読みたい!”
    と思うような秀逸作品ぞろい。

    続きが読みたいと言うよりは、もっと話を深くして、
    幅を広げた形で読みたいと思う作品ばかり。

    でも決して、内容が薄いとかではありません。

    お薦めです。

  • 骨太な長編を期待していたので、物足りず。

  • 2001年1月9日読了。

  • 短編集。


    短編でもこの人らしい世界観がじんわり出てる。

  • 藤原伊織「雪が降る」

    ミステリーでない短編集。

    藤原伊織の暗くてニヒルな世界が大好きで、時々無性に読みたくなる。全タイトルを読み切るのがもったいなくて、これは大事に取っておいた一冊。

    一編一編それぞれ孤独な男が主人公。希望に燃えているわけでもなく、どちらかといえばちょっぴり不幸。そのことを甘んじて受け入れていて、淡々と生きているところに小さな事件が起こる。
    感情を表に出さないけれど、内に秘めた熱さというのか優しさみたいなものが、読んでいるこちらの胸を疼かせる。このちょっとした「疼き」をかき立たせるのが本当に上手い。
    とくに「紅樹」は、その「疼き」をうまくハードボイルドに昇華させていて、短編なのにすごく深い読み応えだった。

    かえすがえすも、こんな素晴らしい作家が夭折したことを、心から惜しいと思う。

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2021年 『雪が降る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤原伊織の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×