- Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062092739
作品紹介・あらすじ
「他力」と書いて、「タリキ」と読みます。よく「他力本願」などと容易に使われますが、じつはこの「他力」は、出口なき闇の時代にギラリと光る、日本史上もっとも深い思想であり、すさまじいパワーを秘めた「生きる力」です。もはや現在は個人の「自力」で脱出できるときではありません。法然、親鸞、蓮如などの思想の核心をなす「他力」こそ、これまでの宗教の常識を超え、私たちの乾いた心を劇的に活性化する「魂のエネルギー」です。この真の「他力」に触れたとき、人は自己と外界が一変して見えることに衝撃をうけることでしょう。大乱世を生きる100のヒント。
感想・レビュー・書評
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法然・親鸞・蓮如を経て生み出された、本来の意味での「他力本願」の思想が、混沌とした現代を生き抜く道しるべになると説いている本。著者は、「他力本願」のことを「わがはからいにあらず」と解釈し、物事がうまくいかないときは「他力の風が吹かない」と首をすくめ、物事が順調なときは「他力が自分の実力以上の力を運んできた」と謙虚に感謝すべきである、と述べる。阪神淡路大震災、オウム真理教による一連のテロ、酒鬼薔薇聖斗による連続児童殺傷事件などを踏まえ、1998年に書かれた本であるが、現代(2014年)に読んでも内容はまったく色あせないどころか、むしろ社会の混沌は深まっているように見えるし、今後20年~30年くらいは、このような思想がますます必要とされる時代になっていくのかな、と思う。
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自力を尽くして他力を待つ。
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親鸞が余りに面白いから、五木寛之さんという作者が同じなのを見て、実家からなんとなくとってきた本。そして、数ページを読んだ。言葉がスラスラ入ってくる。そう、分かる、って!頭の中にある色んなカケラがくっついていくように!この本との出会いも、他力によるものか?
1998年に書かれたエッセイで、当時は、酒鬼薔薇、阪神大震災、サリン事件、バタフライナイフなどが話題になっていた。あぁ、こんな事もあったなぁ、と一昔前を振り返るような感覚になる一方で、この頃と根本的な問題、システムが変わってなくて、むしろ悪化しているように感じる。魂のないシステムは崩壊する。もう、限界じゃあないだろうか、と不安になる。しかし、不安でいいのだ。暗闇の中にいるから、一筋の光を感じ取る事ができる。ミラーボールに照らされてダンスしてる人に、柔らかな光が感じられるか?でも、その方が幸せかもしれない。
要は、どちらでもいい、ってこと。私は、ミラーボールの世界には馴染めない。不器用だけど、暗いドロドロとした闇の中にも優しい光を感じられる事に、感謝して生きていく。それでもいいんだ、という気持ちにさせてくれた本だった。 -
「他力」といえば「他力本願」かと。
あまり良くない意味にとられがちだけれど、ほんとうはそうじゃない。
単なる無責任とか人まかせってことじゃないんだ。
『仕事がうまくいかないときがある。
どれほど努力しても
失敗ばかりする時期もある。
そういうときは、
「うーん、どうも他力の風が
吹いてないようだな」と、
自分を責めたりせずに
首をすくめていればよい。
反対に、思った以上に物事が
うまくいくことがある。
人からもほめられ、
自信もますますついてくる。
そういうときは、むしろ立ちどまって、
じっくり考えてみるべきでしょう。
「わがはからいにあらず」
そうつぶやいてみるのです。
目に見えない大きな順風が吹いて、
その〈他力〉が物事を自分の実力以上に
うまく運んでくれたのだ、と。
そういうときは、謙虚に〈他力〉に
感謝すべきでしょう。
決して得意になるべきではありません。』
五木さんの教えてくれることは。無理がなく自然体だから実行しやすい困難に立ちふさがれても、なるようにしかならないなーなんてふうにも思えてくる。
でも文章内容自体はちょっと難しいかな -
10年前のエッセイです。世紀末の日本をというか、一人ひとりの生き難さ、自己の認識の軽さなどを憂いている五木さんの想いがひしひしと伝わってきます。勢いで書かれたようで、重複して同じような話が何度も出てくるので、正直辟易する部分もありましたが、現在の混沌とした世界のあり方が既に始まっていた時代の声だと思いました。
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目次より・・・
・「できないものは、できない」と思う・生きている人間はすべて病人である・本物のプラス思考は、究極のマイナス思考から・あるがままの自分を信じるために・・・
私はこの本を7年前鬱病を発症し、状態が少し安定した頃に贈ってもらいました。
何度も読み返しました。
何度も、何度も・・・
私に力を与えてくれる不思議な本です。