弥勒 (メフィスト・クラブ)

著者 :
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感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (555ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062092821

感想・レビュー・書評

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  • 《内容覚書》
    美術展等を手掛ける主人公が、
    パキスムという架空の国の政変に巻き込まれる。
    主人公のパキスムへの興味は、
    その国独自の発展を遂げた仏教文化から。
    彼は破壊されそうになった弥勒菩薩像を隠す。

    政変前は、国の一部のみを外国に見せる国。
    内情としては、華やかなカター(首都)以外は、
    貧しい暮らしを強いられていた。
    カースト制が変節したものが根底にある。

    政変後は、徹底した社会主義?
    食べることにかかわる仕事をしないものは、
    食べることはできない、という主義を社会主義と呼ぶなら。

    初めのころはうまくいっているように見えた政変も、
    やがて陰りを見せ始める。

    宗教観、価値観、政治、外交、倫理観。
    いろいろなものを両極端から考えさせてくれる1冊。


    《感想》
    重い1冊だった。
    ただ、久々に、思考に刺激が与えられた。
    平等とはなんなのか。
    宗教とはなんなのか。
    国の正しいあり方とはどういうものなのか。
    教育の恐ろしさ。
    人とのつながり。
    文化。衛生。昔ながらの知恵。
    とにかくいろいろな点から考えさせられる。

    多少の基礎知識と読解力がないと前半で挫折するかも。
    村での生活が始まってからは、読みやすくなる。
    そこまでの辛抱。

  • カンボジアの虐殺を思い起こさせられた。

  • パキスムという架空の国の政変を描き出し、美とは、宗教とは、文化とは国家とは政府とは、家族とは人間とは男とは女のとは愛とは死とはそして祈りとは何か、この世の全てを集約し問いかけるような物語だ。
    五感の全てが刺激され慄いた。読み応えあり。550頁超。

  • あまり宗教に偏られると正直ついていけないが、この作者の書き方は好き。
    人に勧めるのはちょっと悩んでしまう。

  • とにかく面白かった!

  • ☆2009・11・15
    相変らず体力が無いと読了キツイです。
    安易なエキゾチズムに陥りがちのスノッブ達への警鐘かと思いきや、人間の根源とは何?革命・拘束・強制労働・疫病・共食とどこまで行くのぉ〜とつらい話のてんこ盛り。行き着くトコ、宗教の有り様、是か非かじゃなくて、そこに超然とあるもの、土着的に人と結びついているものという捉え方…ちょっと難解ですが、日々、見えざる何かに悪態をつき、願い、バチを恐れる私にも判るところもありますね。

  • 骨太の大作を読みたい方にはお薦めする。<br><br>舞台はネパール辺りにある架空の小国。主人公が政変がおこった国家に潜入して取材を勧めていくところから物語が始まっていく。<br><br>架空の小国が舞台だが、カンボジアの社会主義国家を彷彿とさせるような展開で、現実とシンクロする部分が多数見受けられる。<br>自分が生きてきる資本主義社会を基準に考えると、主人公は理不尽極まりない扱いを受けていくのだか、元々その思想の中で生きてきた人たちにとっては日々の暮らしや生活習慣、美醜の基準まで我々とは違うものがある。<br>一体何が不幸で一体何が幸福なのだろうかと、読み勧めていくうちに深く考えさせられた。<br><br>骨太の大作を読みたい方にはお薦めするが、読了感は爽快とは言い難く、精神が蝕まれるような描写があるので、ネガティブモードの方にはお薦めできない。

  • 架空の国の、架空の出来事だと思いつつ、引き込まれる・・・
    読みながら、以前に読んだ彼女の著書:コンタクト・ゾーン を思い出した。
    そこで起きた出来事が、世界に報道されることもないような、世界のどこかにある小国での出来事・・
    平等とは何か・・人にとっての神仏とは何か・・
    教育と洗脳・・
    とにかく盛り沢山で、なのに薄くなく、イタリア語の勉強時間をついつい削って読んでしまった・・・

    平等で平和な国づくりを目指したクーデター。
    国王を平民に落とし、宗教をなくし、子を親から引き離して未来の国のために再教育をする。
    国民の中に上下はなく、みな同じ物を着て、同じ物を食し、労働する・・
    一見、理想のように感じる思想の落とし穴。
    子供が間違った形で教育されるとどうなるか・・
    土着の信仰を無理やり奪うとどうなるのか・・・
    人は追い込まれるとどう変化していくのか・・

    一つの架空のケースであると思いつつ怖いなって思う。

    神は、絶体絶命の時にすがるものであってもいいじゃないか・・ってくだりがほっとした。

  • この作家さんのテーマが重く厚いものは本当に力強い。今まで読んだ中では、一番よかった。

  • 2006.02. 仏教美術を守るためにヒマラヤの小国パスキム(架空の国)に潜り込んだ元学芸員の新聞記者が、壮絶な政変に巻き込まれていく・・・。重い、内容がとにかく重いんだけど、一気に読んでしまった。読後、これまた重いものが心に残り色々考えさせられる。同じようなこと、それどころかもっとひどいことが世界で繰り広げられてるんだろうなぁ、そんなことを思った自分はとてもちっぽけだと思った。祈り、というのは虚しい行為ではないと信じたい。

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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