月神の統べる森で

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 769
感想 : 110
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062094481

作品紹介・あらすじ

はるか太古の昔。山も、川も、木々も、獣も…みな、心をもった存在だった。人もまた、月神の統べる森の恵みを受け取って生きていた。ある時、海からきたヒメカの民は、土地をかこってクニとし、敵意をむき出してムラに襲いかかった。そして、ムラの若き長アテルイと、美貌の巫者シクイルケは、流亡の旅の途中、翡翠色の目をもつ少年ポイシュマと運命的な出会いをするのだった…。かつて語られることがなかった神秘の縄文時代に光をあて、人々の愛と闘争を描く、たつみやファンタジー待望の新作。

感想・レビュー・書評

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  • 古代の日本を舞台とする作品は読んだことあるけど、
    縄文から弥生への過渡期を舞台とするファンタジーというのは珍しい。

    すべての自然には神(カムイ)が宿り、その恵みによって生かされていることに感謝しながら、命を敬い平和に暮らしていた縄文の「ムラ」のひとびと。
    あるときやってきた弥生(ヒメカ)の民は、稲を育て、不作のときは森で乱獲して祈りを捧げない傍若無人な振る舞いを繰り返した。
    ムラから、ヒメカに話し合いのために訪れた長のアルテイと月の神の息子であるシルクイケは、長老たちとともにとらえられ、傷つけられる。
    月への祈りによって何とか逃れたアルテイらだったが、身体が弱り切っていたため、カムイたちの助けを借りて洞穴に身を隠していた。
    一方で、少年ポイシュマは、マムシに噛まれて動けなくなったところを、アルテイらに助けられる。
    ポイシュマは、動物のカムイらに育てられ、元服後はムラの救い主となることを宿命づけられていた。

    まだ第1巻なので、世界観に浸るのに少し時間がかかった。
    最近読んだヤノマミの世界と少しかぶった。
    自然からの育みを受け、自然に感謝し、自然とともに暮らす人々。
    木や草や鳥や獣の体をもらって、その命を食べることで生き、いずれ自分の命が終わったときは、その体をほかの命が生きるために捧げ、魂はカムイの世界に帰る。そして魂はまた体をもった命としてこの世に戻ってくる…

    4巻まで借りてきたから、次々と読む予定!

  • これは珍しい縄文時代が舞台の児童書ファンタジー。期待以上に良かったです。縄文から弥生への過渡期、自然を敬い神の恩恵を受け生きるムラの人々と、自然を征服して戦うクニの人々との価値観の違い・軋轢を描きます。食物連鎖での自然との関わり方、相手を信じる心、疑う心、無償の愛、とても大事な事が書かれてます。挿絵も芸大卒の方だそうで美しくて好み。これからムラとクニとはどのように接していく事になるのでしょうか。続巻が気になります。

    ところで、たつみや章=秋月こお さん、だそうですね。知人に教えてもらいました。

  • 子供が学校の図書室から借りてきた本だったが、ちらっと読んだら面白そうだったので図書館で借りてきて読んだ。

    縄文~弥生あたりの時代設定で、自然に感謝し共存するというところが感慨深かった。続きもあるのでまた借りてきて読もうと思う。
    表紙も挿絵も内容と合っていてとても素敵なところも良い。

  • 人間は、自然界の中のただの一部であることを思い知らされる。経済的観念ばかりに走っている現代の人間のありようは、どうしたらいのだろう。

  • 小学生の時に図書室の先生に薦められて読んだところ、
    見事にとりこになりました。神様と人間の在り方みたいなものが、小学生の自分にも分かって、今読んでもすごく綺麗な作品だなと思います。

  • はるか太古の昔。
    山も、川も、木々も、獣も…みな、心を持った存在だった。
    人もまた、月神の統べる森の恵みを受け取って生きていた。

  • 図書館の児童書のコーナーで何気なく目に入った背表紙に惹かれて借りてみた1冊。
    舞台は、縄文から弥生へと移り変わろうとする古代日本。
    命は神々からの文字通り賜物であり、
    それらへの感謝を捧げ、祈って暮らす人々が暮らすムラ。
    そこへ、己の存在がまるで神そのものでもあるかのように傍若無人に振る舞う、クニに住む人々がやってきて、豊かな自然を踏みにじる。
    クニに住まう人々の姿は、現代に暮らす私たちの姿にそのまま重なるようで、胸が痛む。
    主人公のポイシュマは、勇気のある男の子。
    無知ゆえの浅はかさもあるけれど、それだけにこれからどう成長するのか楽しみでもある。

    児童書ではあるものの、大人も読むべきだと思う。
    東逸子さんの美麗な扉絵・挿絵も一見の価値あり。

  • 古代の日本を舞台にしたファンタジー。非常に繊細な表現が美しい。 シクルイケとアテルイが迎えた結末に胸を打たれた。

  • 東逸子さんの絵も世界観を広げてくれる。
    アテルイとポイシュマの変化して行く間柄も好ましく。
    アテルイが理想とされる人間像を持ち得ているかのように見えながらも、それはシクイルケと言う一点によって危うく均衡を保っていた完全さである事を描く一場面が流石にたつみや章だなと思う。

    不完全さ未熟さを露わにして閉じるアテルイの世界を開く契機が、未成熟なポイシュマの感情の発露。

    そのポイシュマの感情を引き摺り出したのは、ワカヒコの受けとめる心であると言う点であるのが上手い。
    ポイシュマは自責から逃れる為にワカヒコを憎もうとしていた自分自身に気付き、そのなすりつけの憎悪だと分かった上でポイシュマの感情を引き受け死のうとするワカヒコの意志を知り、本当に自分が抱いていた感情は憎しみでは無く不甲斐なさ、そしてさらにその奥には悲しみがあったのだと言う事を掻き分け捜し出した場面はまさにポイシュマ自身を見つけ出し自分と他者との存在の中でこそ成長して行ける可能性を見せてくれている。

    人との間でひとつ乗り越えたポイシュマが本当にしたかった事。
    悲しみを悲しみとして受け止める事を認めた時に、それを見たアテルイまでもが自身の殻に閉じこもっていた事に気づき、ポイシュマに対して世界を開く。

    お互いに補完し成長して行く数珠つなぎのような人々の関係性が、まさにこのあと数冊続いて行く縄文と弥生と言う、この物語の中では相入れないものとして描かれて行く人々の対立を融和させてゆく可能性を見せていると感じる。


    縄文と弥生の端境期を描く新たな神話。

    たつみや章、おすすめすぎる…!!!

    たつみや章 1998 『月神の統べる森で 』 講談社

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