男ともだち

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062095013

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  • 仏師の名人は木を彫って形をつくるのでなく、
    あらかじめ定められた形を浮かび上がらせると聞く。
    迷いなく軽々淡々とやってのける。

    海老沢泰久の文章を読んでいると、それを思い出す。
    厖大な言葉、無数にある言葉の組み合わせの中から、
    あるべき言葉が選びとられる。
    難しい言葉はない。
    しゃれた言い回しがあるわけでもない。
    短く、端的で、平易な言葉が用いられる。

    時に挟まれる会話がまたいい。
    登場人物たちの言葉も無駄は無い。
    それでいて艶がある。
    語られないたくさんの言葉や想いを、
    その背後に感じさせる。

    かしこばったり、声高に正しさを主張しない。
    教訓や物語の意味も関係ない。
    ただその瞬間瞬間の感情を静かにとらえる。
    男女の関係性で生まれる、
    感情の機微や揺れ動きの刹那を言葉とする。
    男同士のちょっとした意地の張り合いや虚栄心を、
    見逃さない。

    1990年代に書かれた10篇の作品。
    30年近い時間が経っても色褪せない。
    男と女、人と人の間に交わされる無数の関係の、
    面白さと移ろいと愛しさが詰まっている。
    彼のように文章が書けたら素敵だなと思う。

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