- Amazon.co.jp ・本 (538ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062095648
作品紹介・あらすじ
東京大空襲、関東大震災、南北朝時代、そして邪馬台国……
ある男の奇妙な記憶と、女の告白、ひとりの老人の不審死が
壮大な歴史の謎へと導く。
「序章を拝読したときに、どこへ連れて行かれるのだろうと驚いた」(田中芳樹)
戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と出会っていたことを。一方、史郎の祖父・祇介は旅先で遺体となって発見された。邪馬台国研究に生涯を捧げた古代史研究家の祖父は、なぜ吉野へ向かい、若狭で死んだのか? 瓜木は史郎と彼の妻・加奈子ととともに奇妙な記憶と不審な死の真相を探る旅へ。だが彼らに立ちはだかったのは、魏志倭人伝に秘められた邪馬台国の謎であった。
衝撃の展開、男女の情愛……
連城ミステリのすべてが織り込まれた傑作!
感想・レビュー・書評
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久しぶりに分厚い本を読みました。で、珍しくBOOKデータから先ず内容を紹介します。
東京大空襲、関東大震災、南北朝時代、そして邪馬台国……
ある男の奇妙な記憶と、女の告白、ひとりの老人の不審死が 、壮大な歴史の謎へと導く。
「序章を拝読したときに、どこへ連れて行かれるのだろうと驚いた」(田中芳樹)
戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と出会っていたことを。一方、史郎の祖父・祇介は旅先で遺体となって発見された。邪馬台国研究に生涯を捧げた古代史研究家の祖父は、なぜ吉野へ向かい、若狭で死んだのか? 瓜木は史郎と彼の妻・加奈子ととともに奇妙な記憶と不審な死の真相を探る旅へ。だが彼らに立ちはだかったのは、魏志倭人伝に秘められた邪馬台国の謎であった。
衝撃の展開、男女の情愛……
連城ミステリのすべてが織り込まれた傑作!
だ、そうです。
長い。総ページ534P。
昨年10月の発行だけど、その時点で既に作者は亡くなって一年が経っていた。作者の怨念が綴られたような、老考古学者とヒロインと、2人の狭間で運命に弄ばれる主人公の、時を超えた歴史サスペンスです。
途中で「時酔い」をします。ウソだと思うならば、例えばこんな文章を読んで見てください。
私の体の中で三代(か四代)の血が普通の方向に流れ、同時に逆方向へと…過去へとも流れている。それはそのまま邪馬台国への道だ。邪馬台国へと向かえば向うほど遠ざかっていき…遠ざかれば遠ざかるほど邪馬台国にもどってしまう一つの道。そしてそれはまた「私」の頬に書かれた一つの文字に似ている。月でもあり日でもある一つの文字ー。一月の時の流れが、先に進みながらも同時に逆流し、最初の一日にもどっていく。そんな意味をもった一つの文字。春生の頬に卑弥呼が書いたのは…私の頬に1人の女が書いたのは、そんな「月」と「日」とが完全に同じ意味をもってしまうという、これまでの漢字になかった文字なのだ。(379p)
私は連城三紀彦氏の作品は読んだことも興味もなく、ひたすら珍しい邪馬台国をテーマにしたらしいミステリということで手にとったのである。しかし、作者は本気で邪馬台国論争に参戦しようという気持ちはないらしい。ということが途中でわかった。ミステリの「思いつき」を歴史と恋愛の「どろどろ」に投げ込みたい。そんな作者の晩年の情念が作った大作なのだろう。はっきり言って、付き合い切れませんでした(でも最後まで読みました)。
2015年4月読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み始め、まずは久々の連城先生の文章が嬉しい。
内容も、邪馬台国ものと古代史にまつわるミステリで
ぐいぐいひきつけられる。
この作品で語られた説が、学説としてどうなのかは
私にはわからないけれど、初めて目にしたその説は、
なんだか説得力があって、(少なくとも読んでいる
間は)それこそが真実なのではと信じてしまう。
その上、さすが連城センセイのポジネガの反転が
仕掛けられていて、大満足。
新作がもう読めないのは悲しいけれど、まだ
単行本化されていない作品がいくつかあるとの
ことで、出版が待ちどおしい。 -
最後にはモヤッとするものもあったけれど、全体を通して面白かった。
長編だったが飽きることなく読めた -
今度、邪馬台国のことを調べてみよう。
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12歳以前の記憶が無いにも関わらず、自分が誕生していない頃、関東大震災 南北朝時代 邪馬台国時代、の記憶がある主人公
その謎を解き明かしていくミステリー
初めは、SFものかと思ったが、そうではなく、全てに合理的な答えが用意されていた。邪馬台国 卑弥呼についても勉強出来て良かった。 -
作者の晩年の長編小説で、死後に発売されたもの。
『変調二人羽織』に始まり、直木賞を受賞した『恋文』辺りまでは、妖しく艶めいているけれど上品な美しさにひかれ、夢中になって読んでいた。
本作は、タイトルでもある女王卑弥呼の謎が鍵となり、妄想と現実とが入り交じって話が進んでいく。率直なところ歴史的な謎解きはかなり冗長で、連城氏の作品だから読み通したと言える。
やはり、作者の魅力である陰性の美しい余韻を味わうには、短編もしくは中編がいいようだ。
ところで、読後に解説を読んで驚いた。
作者の亡くなったのが、まさに一昨年の今日だった…。図書館でたまたま借りた本を読み終えたら、その日が作家の命日だったなんて、何だか因縁めいたものを感じる。
せっかくだからレビューも今日中にと、寝る前に猛ダッシュで書いた次第。 -
このミス2015 第9位
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一体どこに向かっているのかわからない
浮遊感の中で読み進める感覚は独特のものがある一方で
何を面白いと思って読めばいいのかわからない
座りの悪さをずっと感じていました。
正直、面白さを理解しきれた感じがしない。 -
私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない
2015.7.2読了
うーん、長いですね。
2013年に亡くなられた連城先生の晩年の作品になるんですが…。
さすがに文章はお手のものですので、長くて、正直よくわからない話も独特の雰囲気に浸りながらどんどん読めてしまいます。何か茫洋とした作品の世界に入りながら、卑弥呼のいる古代まで流れ着いているような感じを受けます。
でも、その世界観は正直よく分からないし、あまり面白いわけでもない。
妄執に取り付かれた登場人物たちの不思議な意識世界を描き出そうとされているのでしょうが、特別なものだけにスッと馴染めるわけではないようです。