スプートニクの恋人

著者 :
  • 講談社
3.46
  • (126)
  • (268)
  • (526)
  • (39)
  • (15)
本棚登録 : 2418
感想 : 253
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062096577

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私にとって初めての村上春樹。

    彼特有のくどいくらいの比喩表現は最初はすごく気になったが、すみれが“あとかたもなく消え去った”辺りはグングンと読みすすめられてとても好感がもてた。

    主要な登場人物は、
    思考するのと書くことが同義な、すみれ
    長い間自分を客観的に見ようとするせいで孤独に苛まれていた、僕(K)
    14年も前に自分が自分ともう一人の自分に乖離してしまった、ミュウ
    の三人だけ。

    だがたった三人ながら、愛と欲が絡まり合い、みんな人間味があって良かった。

    終わり方が少し納得いかないが、一度読んだだけなのでわからなかったのかもしれない。
    もう何度か読んでみようと思う。

  • 独特の世界観で描く恋愛小説。
    個人的には非常に好きな一冊。

  • 久しぶりに村上春樹に手を出しました。
    わたしにとって読むのに覚悟がいる作家さんです。

    村上春樹さん…冒頭の表現からやってくれました。
    恋に落ちるってこういうことを言うのね。

    恋愛小説なんだろうけどぜったいそれを越えていると思います。
    不思議な世界観は言うまでもなく,
    人間の孤独感とか哲学的なことだとか。

    奥が深くて1回読んだだけでは理解しきれないのに,何かを感じることができる作品です。

  • テーマは孤独なのか。読了後にいろいろと考えされられた。
    ふと、孤独だって気づいた時の孤独って思った時の喪失感。喪失感自体は人としてごく自然な感情で、長期間喪失感から立ち直れない状態を放置すると、孤独を自覚してしまうのだと思う。人によって大事な、人との別れ、物を失った等の大小さまざまな喪失感はあると思う。でもそれを受け入れ生きて行くのだなって。登場人物達も受け入れられたのだと思う。
    ともあれ、村上春樹独特のクドいくらいの比喩表現を堪能できたてよかった。

  • 恋愛を軸に、現在の自分とあったかもしれないもう一人の自分を見つめる物語。

    個人的感想としては、大人になりきれない大人に向けた現代に向けた寓話という気がした。

    人を愛することや別れを相対的に見つめることによってしか人は本当の意味で成長できないのだろうとも思った。
    愛する人間と別れることは、自分と相手とのあらゆる可能性を消し去り、太陽が昇らない暗く空虚な世界を生きていかなければならない決意をすることではないか。

    出口のない暗いトンネルをただ歩いていくような失恋後の感覚を思い出した。


    読了後は、恋愛についてタップリ考えさせられた疲労感と、もの悲しいモヤモヤがいつまでも続いた。

    村上春樹のキャラクター設定はいつもながら素晴らしく、登場人物の「すみれ」の造形だけでこの小説の魅力を70%くらいは引き出している気がした。

  • スプートニクはソ連が打ち上げた人工衛星

    すみれと
    すみれに恋した僕と
    すみれが恋したミュウの3人の話

    もちろん村上春樹
    一筋縄の恋愛小説にはならない。

    結局村上春樹の物語は一貫していると最近思う。

    物事や人間の二面性
    思うとおりにいかないもの
    心と体の齟齬

  • (※2010年手帳より)

  • 独特な世界観。
    上手く言い表せないけれども、切なさや喪失感が残る。

  • ノスタルジック(郷愁)な世界観。

    とても読みやすい。
    登場人物たちの行動や言動が明確で、文章を読むのが苦にならず進む。
    物語の伏線が無いのも、読みやすい理由の1つなのかもしれない。

    また、結末が不確定なものだと感じるがまったく嫌にはならない。
    過去と現在の登場人物が生まれ変わるような描写が一番の見所だと思うので、その描写だけで結末が不確定でも納得できる。
    むしろボヤけた感じの方が雰囲気が出るので1つの結末として納得出来た。

    最後にすみれは、゛ぼく"に電話していたが、私は夢だと思っている。
    まだすみれは向こう側の世界に居るような気がする。

    スプートニク…あの宇宙の生物研究の犠牲者になったライカ犬のように。
    タイトルと物語の内容がマッチしていて良い意味で考え深かい世界観だった。

    ミュウも素敵な女性で惹かれるものがある。
    そしてギリシャの島々の描写が美しく、読んでいてこちらも旅行をしている気分になった。

    『もし不完全な人生からすべてのむだが消えてしまったら、それは不完全でさえなくなってしまう。』

    『本の世界の方が現実よりも生き生きしている』

    上品な文章に隠れている、言葉1つ1つに新たな気付きを私は得ました。

  • 村上春樹を読むのは1Q84に引き続き2冊目。
    (正確に言うと4冊目ですね)

    面白く読ませていただきましたが、1Q84と重なる点を挙げてみます。

    ・同性愛者
    ・あちらの世界とこちらの世界
    ・主人公が人妻(年上)と不倫
    ・主人公が先生
    ・変な時間に電話をかけてくる

    他にもあったと思いますが読後1カ月ぐらいたっているので思い出せません。
    たまたま重なっているのか他の話もこう重なっているのか・・・?と疑問に思いました。

    最後にすみれが戻ってくるのも1Q84で青豆と天吾が会えたのと同じ感じがしました。

全253件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

村上春樹の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×