火怨―北の燿星アテルイ〈上〉

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062098489

作品紹介・あらすじ

八世紀、黄金を求めて押し寄せる朝廷の大軍を相手に、蝦夷の若きリーダー・阿弖流為は遊撃戦を展開した。古代の英雄の生涯を描く渾身の歴史巨編。

感想・レビュー・書評

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  • 2021/4/18
    懐かしい面々がこの中にいる。

  •  相場英雄の『共震』の中で紹介されていて興味を持った。
    近年古代史が歴史小説の中でブームとのことだが、それより先、20世紀末に地方紙の連載が初出、上梓されている。

     蝦夷の視点からの、東北地方の歴史だ。陸奥のヒーローの存在は初めて知った。なにしろ歴史に残っていない、つまり日本の政権に討たれた側の歴史だ。
     東洋経済新報社の『いっきに学び直す日本史』【教養編】には僅か数行でこう書かれている部分だ。

    ”桓武天皇が直面していた問題には、律令政治の刷新とともに蝦夷平定があった。奈良時代には俘囚と言って蝦夷を軍事的に組織し、令制に組み込む政策をとっていたが、780年(宝亀11)年に俘囚の長であった蝦夷豪族の伊治砦麻呂が反乱を起こし、多賀城もおとしいれた。この乱に胆沢(岩手県)の反乱が続き、数度の敗戦のあとで、坂上田村麻呂(758~811)が801(延暦20)年に征夷大将軍として派遣され、翌年、胆沢城を築いて鎮守府を多賀城からここに移し、さらに北上して803年には志和城(岩手県)を築いた。”

     これだけの内容を、単行本上下巻1000ページにも及び記した力作だ。

     上巻は上記の『・・・日本史』の文章の前半、坂上田村麻呂の名前が出るまでの「数度の敗戦のあとで」までが描かれる。

     が、視点は蝦夷からなので「数度の勝利のあと」だ。こうした歴史に蹂躙された側の本来残っていない歴史を、その視点から見ることで見えてくるものが面白い。

     蝦夷を人とも思わず、侮ってかかる朝廷軍を、陸奥の大自然を存分に活かし、勇猛果敢、縦横無尽に駆け巡る蝦夷たちの姿がまぶしい。
     結末を知るだけに、この鮮やかな戦勝続きの上巻が、下巻にどう転じていくか、読みたいような読みたくないような。

     行けー!阿弖流為!

  • 東北“えみし(蝦夷)”
    昔の日本のお話。
    700年代の天皇の朝廷と蝦夷が争う。

    こんな昔の話は、全く知らなかったです
    驚きもありましたが、興味が沸き立つ!

  • NHK-BSプレミアムでこの1月から大沢たかおの主演でドラマが始まったので読んだのですが、こう云う歴史、全く知らなかったことで、大変感銘を受けました。ここ数年北方さんの三国志や水滸伝を読んでましたが、それに匹敵する面白さでした。

    伊治公呰麻呂の乱から、多賀城を焼き討ち、朝廷軍2万5千を退けた伊治城北方の戦い、そして5万の朝廷軍をたたきのめした巣伏の戦いまで、息も付かせず戦い振りを描きます。母礼の軍師もすごいけど、その母礼を時には上回る戦略を思い付き、さらにみんなに実行させる阿弖流為がとにかくすごい!

    後半はいよいよ坂上田村麻呂が本格的に登場します。

  • 初めて読んだのは、もう十年以上前のことだ。それから何度読み返したことだろう。
    時は平安時代初期、桓武天皇の時代だ。理不尽に朝廷から「蝦夷(えみし)」と呼ばれ、一方的に征伐される東北の人々の物語。
    朝廷には「征夷大将軍」という官職が生まれた。干渉さえされなければ平和に暮らしていたものを、都の鬼門、東北にあるというだけの理由で攻め込まれる。蝦夷には朝廷に降伏するか、朝廷が諦めるまで戦い続けるか二つに一つの道しかない。
    決して暗い物語ではなく、東北の視点から日本を見直した痛快な小説である。

  • 物語は780年、鮮麻呂の乱から始まる.それまでばらばらだった蝦夷を阿弖流為たちが軍隊にまとめあげて行く.蝦夷群がゲームを楽しむように朝廷の大群を翻弄するのが小気味よい.戦術、戦争の様子が細かく描かれており物語に入り込みやすい.

  • 【火怨】 高橋克彦さん

    奈良時代、大和朝廷は陸奥に住む民を蝦夷(エミシ)と呼び蔑んでいた。
    そして陸奥との境界線に多賀城を築き蝦夷の居留地を定めたのだった。

    朝廷は辺境の陸奥には関心を示さず、蝦夷の民も居留地を定められたものの
    豊かな自然の恵みを享受し平穏に暮らしていた。

    その陸奥から大量の黄金が産出した。朝廷は狂喜乱舞し武力によって陸奥の
    黄金を求めた。まとまった軍隊を持つ朝廷軍に対し、蝦夷の民は各村々に
    自警団ほどの集団があるだけであった。

    その蝦夷を一つに纏めたのが胆沢の蝦夷・阿弖流為であった。
    無尽蔵の朝廷軍に対し、阿弖流為の軍には限りがある。
    敗けても、体勢を整えて再び攻めて来るコトが出来る朝廷軍と違い
    阿弖流為の軍は負ければ、即 陸奥が支配されるコトを意味する。

    圧倒的な勢力を誇る朝廷軍を相手に1度の敗けも許されない厳しい戦い
    に阿弖流為は挑む。



    新聞のレビューを読み借りてきました。高橋克彦さんの本は初めてです。
    歴史小説ですが、学生の頃は歴史にとんと興味がなく、勉強をしていても
    テストの為の一夜漬けばかりだったので、この時代の歴史は全然覚えていません。
    かすかに「坂上田村麻呂」や「大伴家持」「桓武天皇」などの名前は
    聞いた事があるという程度で、どういうコトを行った人なのかも覚えていませんでした。
    学校で習う歴史の本は勝者(朝廷)の側から書かれていると思うのですが、
    この本は逆で朝廷を簒奪者として書かれています。
    圧倒的な戦力差を策と地の利で戦う様を読み、きっとベトナム戦争も
    こんな感じだったのかなぁと思いました。
     

  • 歴史小説に不慣れでも、登場人物の魅力と構成のおもしろさにのめり込んで読むことができました。

  • 東北、東北地方、岩手などを舞台とした作品です。

  • 泣いた。

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著者プロフィール

1947年、岩手県生まれ。早稲田大学卒。83年に『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞、86年に『総門谷』で吉川英治文学新人賞、87年に『北斎殺人事件』で日本推理作家協会賞、92年に『緋い記憶』で直木賞、2000年に『火怨』で吉川英治文学賞を受賞。
本作『水壁 アテルイを継ぐ男』は、著者のライフワークである東北を舞台とした歴史大河小説シリーズの一作で、時代の順では『風の陣』(全五巻)、『火怨 北の燿星アテルイ』(上下巻)に次ぐ作品となる。以降、『炎立つ』(全五巻)、『天を衝く』(全三巻)と続く。

「2020年 『水壁 アテルイを継ぐ男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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