マーシャとダーシャ―世界でいちばん孤独な姉妹

制作 : ジュリエットバトラー 
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感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062098748

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  • 待ち望んだ我が子の誕生。だが、母が我が子を腕に抱いたのはたった
    1回だけ。そうして、我が子は死んだと聞かされる。

    第2次世界大戦後の1950年代。ソビエト連邦で女の子の一卵性双生児
    が誕生した。勝気でわがままだけれど好奇心旺盛なマーシャ、内気で
    泣き虫だけれど勉強好きなダーシャ。

    ふたりの誕生は歓迎されるはずだった。だが、ふたりには大きな障害が
    あった。坐骨部位で結合したシャム双生児だったのだ。

    本書はふたりから聞いた話を、イギリス人ジャーナリストがまとめた
    ものだ。

    人間扱いはされなかった。実験動物と同様の扱いを受け、学者たちは
    彼女たちに様々な実験を行う。体をメスで突くなんて日常茶飯事。

    ひとりにだけミルクを与え、もうひとりは腹を空かせたままにして反応を
    見る。放射性同位体元素を注入し、甲状腺への影響を調べる。一方の
    皮膚を氷で冷やし、他方の反応を見る。

    彼女たちには痛みも怖さも分からないだろうという扱いだ。ありとあら
    ゆる実験を行い、すべてが済むと彼女たちは小児病院から障害者
    の為の施設に移される。食事の仕方も、歩き方も教わらないままに。

    完全無欠のソビエト連邦。障害者の存在は国の威信を傷つけるものだ。
    だから、マーシャとダーシャだけではなくすべての障害者は社会から
    隔離されて暮らすしかなかった。

    「どうして手が二本で、脚も二本なの?ダーシャたちは脚は二本だけど、
    手は四本だよ」

    3歳の頃、彼女たちは看護婦に聞いたという。だが、誰もそれには答えて
    くれない。

    異形の姿の彼女たちを実際に目にしたら、私もきっと驚愕の表情を
    浮かべるだろう。だが、彼女たちはモンスターなんかじゃない。人格
    を備えたれっきとした人間なんだ。

    もし、彼女たちが他の国で生まれていたのならもう少し違った人生が
    あったのかもしれない。結合双生児という十字架に加えて、ソビエト
    連邦に生まれたことが最大の悲劇だったのかもしれない。

    彼女たちは分離手術を頑なに拒み、本書が出版された後の2003年にこ
    の世を去ったという。お互いを唯一の家族として。

  • 彼女たちが持つ精神の強さは 今時の日本人には まったく無いもの。
    敬服いたしました。

  • 結合双生児の姉妹が、共産主義時代のロシアで生きる話。
    ひとつの下半身を共有するふたりの少女、でも、恋をし、年をとることのリアルさを感じます。時代もあいまっておそろしくドラマティックな人生にならざるを得なかったようです。

    追記:
    久々に読み返したくなったので取り寄せてみた。
    ソ連に生まれた結合双生児の自伝。この手の本にありがちな、泣けるとか絆とか感謝とかの話でないところが良い。
    かつてありがたかった保護者がいつまでも自分達を自立した個人として扱わないことに怒ったり、会いたいと憧れていた母親が同情ばかりしていることに失望したり、程度はともかく方向性としてはかなりあるあるな話なのですいすい読めるし面白い。
    障害は社会との間にあるものだという話があるけれど、本当にそれな。という気分になる。
    ソ連の人権意識のアレさがものすごくよく現れていて、「ソ連やべえ」という気持ちになりつつも、「あ、でも現代の日本にもこういうやつ全然いるわ」と思い直すの連続です。普遍的なやつです。

  • 衝撃でした。彼女たちの力強さに感動です。

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