彼方より

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  • 講談社
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感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062099042

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  • 【再読】百年戦争でジャンヌ・ダルクと共に戦った英雄ジル・ド・レ。青髭のモデルになったとも言われる彼に付き従っていた錬金術師フランソワ・プレラの物語。
    物語の前半は、子どもの頃ほんのひと夏だけ、フランソワ(フランチェスコ)と机を並べて学んだマルシリオの回想、後半はフランチェスコの手記という形で進む。

    根本のテーマは「神の不在」。こんな惨いことを神はお許しになるのか、こんな酷いことをする人間になぜ神の裁きは下らないのか。
    恵まれすぎた容姿故に自由も尊厳も奪われ生きるしかなかったフランチェスコは、神に救われなかった自分の存在意義を証明するために、悪徳に手を染めていく。
    それでも、かつて自分のことを本当に心配し、救おうとしてくれた友人マルシリオのことが忘れられず、手記の形でマルシリオに語りかける。
    無神論者の人間には、本当の意味では理解できないとは思うけれど、彼なりの答えを見つけ心穏やかな最期を迎えられたなら、それはある意味救いなのかも知れない。
    フランチェスコとマルシリオ、2人の関係に、自分にないものを持つ者に対する憧れに似た恋情を感じなくはないけれど、百年戦争、ジャンヌ・ダルク、ジル・ド・レとくれば、西洋史好きの私には十分楽しめた。

  • 神は、いるのか。
    いるのなら、なぜ応えて下さらないのか。
    否定してもそれでも神を求めることをやめられない…

    彼の想いが胸に突き刺さります。
    遠藤周作の沈黙より、名作だと個人的に思います。
    大好きな本。

  • ジル・ド・レ元元帥
    その猟奇的な行いから、誰もが眉をひそめる
    そんな彼が光り輝いていたのは、ラ・ピュセルとともに
    イングランド軍を蹴散らしていた時期

    彼に付き添っていた魔術師の告白の物語です

  • 遠藤周作の「沈黙」と同じテーマで描かれているにも拘らず、物語の最終的なものが、まったく、違う。
    「沈黙」は、結局神が、(私も苦しんでいたのだ)と語った。「彼方より」は、最後まで神は出てこない。人間達が、どうにかこうにか、物語を終わらせるのだ。そこが、限りなく愛しく、儚い。やはり無宗教者という立場が、こういう最後を作りだしたのだろうか。
    素晴らしい作品だ。

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著者プロフィール

東京都生まれ。一九九一年『琥珀の城の殺人』が第二回鮎川哲也賞の最終候補となり、翌年、東京創元社より刊行されデビュー。『未明の家』に始まる「建築探偵桜井京介の事件簿」はベストセラーに。主な著書に「龍の黙示録」「イヴルズ・ゲート」「レディ・ヴィクトリア」など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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