踊る日本大使館

著者 :
  • 講談社
3.25
  • (1)
  • (1)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 17
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062100038

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 面白かった。専門職(通訳官)として外交官を務め、とくにフィンランドをはじめとする北欧での経験が豊か。
    そして、在外や本省や研修での日々が、とても具体的に語られている(心配になるくらい!)。
    よくある役人批判や暴露本といった風ではなく、仕事の喜びについての記述にも満ちているし、批判する箇所もユーモア交えて描いているから、イヤな感じがしない。

    仕事の喜びについていえば、通訳という立場で、ひと工夫するだけで、要人たちの関係、ひいても両国関係をよくも悪くもできるという意義を感じた。
    また、植物についての細かい通訳をやりきったという達成感の話はエキサイティング。その土地に暮らし、まさに丸ごとの生活を送ったからこそ身に沁みついた能力が、奏功したという風にもよめた。

    序盤にでてくるエピソードだが、研修中にヘルシンキ大学で、語学を身につけるにあたり、「言語はその人々の文化」「公式の通訳官がどれだけ正確で流暢にその言語をみにつけているかを、ひとびとは自国への敬意の現れとみるのですよ」といったことを説かれたという話も本質的でよかった。

    人脈で仕事をしていくという雰囲気とか、本省との関係含め、外交官の仕事の何たるかをだいぶん感得できたし、在外公館での職務を志望するかどうかのベースには、こういう情報に触れてこそだ、などとも痛感した。

    いずれにせよ本書は、文章も上手で惹きこんでくるし、仕事の光(魅力的な部分)と影を存分に伝えてくれている。
    ついでにいえば、フィンランドという国の性格について、シラカバの風景が北海道ににているとか、シベリウスや哲学について街行く人々が話しているような国、といった表現も心に残るものだった。

  • 誰も書かなかった日本外交の真実を、元外交官が一挙公開。皇室外交の舞台裏、歴代総理の行状、便宜供与の実態、エリート官僚たちの品行・・・。(2000年刊)
    ・まえがき
    ・第一章 いやな感じ
    ・第二章 不協和音
    ・第三章 踊る日本大使館
    ・第四章 要人たち
    ・第五章 最後の花火
    ・第六章 辞職
    ・あとがき

    帯の文句は、煽っているが、内容はそれほど過激なものではない。脱藩官僚は古巣に対して、過激になるものだが、本書は赤裸々ではあるものの理性的な記述で好感が持てる。著者は、外務省語学研修員(中堅専門職員)として採用され、フィンランド語をマスターし、北欧諸国(特にフィンランド)の専門家として、18年間勤務してきたという。
    自己分析によると、氏は組織になじめなかったらしい。キャリアとノンキャリアの問題など、いくつかのエピソードや行間からにじみ出てくるが、専門家としてやり切った事は、職業人として、しあわせなことだと思う。(そのような専門家を満足に生かしきれなかったことは、組織として問題であるとは思うが)
    外交官の貴重な証言として、面白く読める。

  • 北欧関連の資料を読み漁っているときに読んだ一冊。
    外務省、そして日本大使館の業務の一端がうかがえます。けっこう面白いです。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

外交評論家、専攻は国際人道法。1977年外務省入省、主にフィンランド、北欧を担当し、94年に退職。日本赤十字看護大学教授、聖路加看護大学客員教授、青山学院大学法科大学院客員教授などを歴任。

「2022年 『戦争と人間と魂 寂聴文学の原体験を聴く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小池政行の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×