- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062100083
作品紹介・あらすじ
難病と闘い、死を見つめ、名人の夢ひとすじに生きぬいた。家族の絆、友情、そして心にしみる師弟愛-。鬼才・村山聖、29年の魂の軌跡!小学校高学年から読めます。
感想・レビュー・書評
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実在した天才棋士 村山聖(サトシ)が駆け抜けたまさに将棋人生の物語。先日読んだばかりの「将棋の子」も面白かったけど、こちらも将棋に明るくなくてもぐいぐい読ませてくれるので一気読みした 笑。幼児期に罹患した病の所為で常に病に悩み続けながらも将棋の申し子の如くに天賦を遺憾なく発揮して、名人になることだけを目標 生き甲斐に闘い続ける。癇持ちだが憎めない自然児のような言動が反って好かれる面もあり、彼にしか歩めなかった人生を駆け抜けた物語。
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常に生と死に向き合って生きることは大変だと感じる。一時的なら、嵐が過ぎれば風化する。
死の影が薄くなり、忘れかけたものを思い出した。
同じ時代を生きていたものとして、とても印象に残っている。私の心の片隅に存在している。 -
実話の持つ重み。結末に向けての緊迫感。人間味にあふれたすごい棋士がいたことを知ることができてよかった。
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「赦す人」を読んだら大崎作品を読み返したくなり再読。わかっているのに、またさめざめと泣く。どうしたってこれは泣けて仕方がない。
村山聖さんその人の生き生きとした魅力や、師匠である森さんとの一風変わった強い絆にあらためてうたれる。こんな人がいて、こんな関係があるんだと思うと、胸が広がる気がする。運命は残酷だが、人間は捨てたもんじゃない、生きていることは何にもかえがたい素晴らしいことだと思わせてくれる。村山さんはその才能を嘱望されながらわずか29歳で亡くなってしまう。その悲しみ、悔しさは尽きることがないが、それでも、多くの人の心に生きる確かな「生」を全うしたのだと思う。
以前読んだときより強く印象に残ったのは、彼のお母さんだ。その心中を思うと、胸が痛くてたまらない気が何度もした。三歳のかわいい盛りでのネフローゼ発病。やがて入院した病院では週に一度しか面会できない。その子が中学生の時、将棋の修行のため手元を離れていく。体調が極度に悪いとき以外の世話は、自立心の強い我が子から拒否され、最期となる入院でもいよいよというときまで病室に入れてもらえない。それでも病身を押してただただ子供のためにと献身する姿には、もう言葉もない。でも、これは確かに多くの「母」の姿に違いない。そう思うから、深く深く心に残る。
それにしても、将棋の世界というのはどうしてこうドラマティックなのか。駒の動かし方くらいしか知らない私にも、その奥深さはたいそう魅力的に感じられる。 -
将棋には疎いので、ウィキペディアをこまめに開きながらページを追った。村山聖が関わった棋士たちのことを中心に調べれば調べるほど、彼が存在した、という当たり前の事実のリアルさが増していく。一人の棋士が、短い生涯の中で闘い続けた原動力。彼の思いの真っ直ぐさ。純粋さ。誰かの「短くもド濃厚」な生涯があったとして、別の人間が「長くも薄ーーーい」生をのうのうと甘んじていていいんだろうか。別に許される・許されないの問題でもなく、自由なんだろうけど。そして、長いかどうかはまだわからないんだけど。打ちひしがれそう。
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全力で人生を駆けたくなった。
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2016年10月12日読了。
図書館で借りたけれど、自分でも買おうと決めた。
とても、良かった……。
村山聖は人格者じゃなかったかもしれないけど一流だったし努力家だった。
長寿ではなかったけれど、不幸ではなかった。 -
広島にこんなすごい人がいたとは知らなかった。重い病気と闘いながら、棋士として名人に肉薄し、29歳で早世した。周囲の人に甘えながら、その人たちに愛され、短いながら壮絶な人生を突っ走った。悔やまれるのは、女性と縁が無かったこと。幸せとは、人生とは、何なのだろう。第2回広島本屋大賞受賞作品
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将棋には全く興味ないし、こんなわがままで不潔で頑固な人間大嫌いなんだけど、最後まで読んでしまった。私からみたら迷惑以外の何物でもない行動の数々をみんなが不思議と受け止めていたように、この棋士の生き方にそれだけ魅力があったんだろうか。褒められたものではないと思う、私が親ならひっぱたいてでも言うこときかせてた。でもそうしたらこんな子は育たなかったんだろうなぁ。巡り合わせってすごいなぁと思えた作品。
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自分の人生を本気で生きるってこういうことなんだと思った。純粋で潔くて、眩しい。他人の目なんか気にしている時間がないからこそ自分の心に正直でいられたのかな。
最期をわかっていながらも、まだ、生きていて欲しいという思いで読み終えた。
森先生の人への関わり方も素敵だった。正しいことではなくその人に寄り添うこと。短くても気持ちが伝わる言葉だった。