GO

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2330
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062100540

作品紹介・あらすじ

僕はアッケなく恋に落ちた。彼女はムチャクチャ可愛らしい日本人だった。Non‐Stop、既視感Zero、新時代の扉をケリとばす革命的"在日"ポップ・ノベルの大傑作。サビついた神話は過去のもの。瑞々しいエッジで「いま」を切り開く新鋭、爽快にデビュー!

感想・レビュー・書評

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  •  いつものように内容は一切確認しないで読み始めたが、何のきっかけで読もうと思ったのかは思い出せない。
     内容は、在日コリアンが差別と向き合いながら懸命に生きていく物語で、主人公に純粋さとヒーロー性を感じら、気持ち良く読み進められた。
     ネットに無責任に書かれた事実だけでは分からない在日コリアンの苦悩と内情が理解できた。
     ネットなどの表面的な評価だけ見れば、日本が気に入らないのなら出ていけばいいという思いに至るのかもしれないが、当事者の苦悩と実情を知った上で公平に判断すべきことだと思う。日本人の立場から見れば、現在の状況は互いが負のスパイラルが絡まり合っているように感じる。
     本書を選んだきっかけは、韓国関係の本を読んだ際に当事者の立場で書かれた本を読んでみようと思ったのだと思うが、お互いの内情に踏み込みお互いを知って柔軟に判断すべきと感じ、考えさせられる1冊であった。
     ⭐️4.5

  • 読んでよかった。
    今年のベストに入る。
    とてもとても良い小説でした。

    読み終わった時、「在日コリアンを描いていることを“抜きにしても”/”関係なく“素晴らしい青春小説」、という時折色々な作品の感想で見る定型句が自動的に頭に浮かんで、それが自分の素の感想だとは思わないし思いたくないのだけど、とにかく浮かんでしまったことにもう自分の頭を殴りたかった。
    そういうところだよって。
    まさにマジョリティの傲慢。
    杉原が叩きのめしたかったのはそういうものじゃないかって。
    本当に素晴らしかったのだけど、読んでいてとても苦しかったのは、この作品が書かれてから随分と経っているのに、まるで変わっていない、どころか悪化していることを知っているから。
    「いつか、俺が国境線を消してやるよ」
    というセリフは見事だったのだけど、そうなっていない。ごめんね杉原、ごめん。
    「ジニのパズル」(崔実)を読んでいるので余計にね…。
    昔はこんなだったんだね、と思えないことがとても悲しい。

    それとまた別の意味で、古びなさに驚いた。
    文章最高!
    全然古くさくない。
    読んでいてとっても気持ちが良かった。
    比喩の選び方もみんな素敵。
    大好き。
    あと、作者が作品を見る視野がすごく広いなと思いました。
    他の作品も読みます。

    登場人物がみんな良かったなぁ…。
    生き生きと躍動してた。
    正一大好きで、だから読み終わっても、彼のことをまだ消化できない。
    でも消化できないままでいたいと思います。
    安易に消化してはいけないのだと思います。

  • 「自分はナニモノなのか…」読んでて考えさせられました。別に日本人じゃなくてもいーじゃん!そうだ!アメリカ人になろう!ってゆー生き方…
    憧れます。
    井の中の蛙じゃだめだ!もっと広いところに目を向けて生きて行こうじゃないか!

  • 在日朝鮮人、在日韓国人の心情がわかりやすくテンポよく描かれている。人種や国籍が違うと元々のルーツは一緒なのに不当な差別を受けることの理不尽さ。男子高校生が現実に悩み苦しみ立ち向かっていく。硬派でかっこよくエンタメ要素もあるので、スタイリッシュに読めてオススメしやすい。

  • おやじが子供の頃の主人公に聞かせるボクシングの話が好きだ。

  • スカッとする青春小説が読みたくなって本棚から久しぶりに引っ張り出した。青春小説であり在日小説でもある。でも暗くはない軽くもないけど重くもない。国籍を朝鮮から韓国へ変え、朝鮮学校から日本の高校に進学した杉原の、これは青春小説である。在日韓国朝鮮民族(ここで二つに分けるのもどうかと)や朝鮮学校について知らないならおすすめ。

  • 2021.19

    これは良書。
    難しいテーマを親しみやすく扱ってるので非常に読みやすかった。
    国籍、差別、偏見など色々なことを考えるきっかけになる本。
    是非子供にも読ませたい。

  • さらっと読める青春小説だが、内容は深い。軽快な筆致が余計に心にこたえる。この国で生まれ育った子どもたち(と親)が、国籍が違うというだけで国からも社会からも差別を受ける日常がさらりと書かれている。それから在日朝鮮/韓国コミュニティ内での同調圧力も(日本の高校を受験するのを歓迎しない民族学校とか)。こちらのほうはあまり知らなかったので興味深かった。自分がもし日本社会と朝鮮韓国コミュニティ双方から互いを意識した圧力や差別意識にさらされる毎日を送らなくてはならなかったらと、考えただけでしんどくなる。

    李くんが本名で嫌な思いをすることなく暮らせる国に変えていきたい。

    最後にタイトルの意味なんだけど、これはやはり英語で「行く」を意味するGoなのかな?碁ではないですよね…

  • いい小説を読んだという読後感。一気に読めました。


    杉原の伝記だと感じました。「在日」に私は馴染みがなく、身近にいない(知らないだけかも)ので新たな知識となりました。在日に馴染みがなくても日本という場所で同じように扱われてこなかったということだけは知っていました。

    主人公はすぐ手が出ちゃう人ですが、暴力とかケンカとかの話が苦手な私も読める程度、むしろ清々しいほど主人公強いのであまりそこは気になりませんでした。

    直木賞をとったとのことで初めて金城さんの小説を読みました。直木賞に選ばれるってこういう作品なんだって直木賞とった他のも読んでみようと思ったのと、金城さんの他のも読んでみたいです。

    人にオススメしていきたい本だと思います。特に桜井にこの本読んでほしいって思います。

  • 「僕は在日朝鮮人だ」

    在日と聞いて日本人はどう意識するだろうか。
    「在日」
    この言葉が意味するものはなんであろうか。
    日本で生まれて日本で育った。
    なのにルーツは朝鮮籍。自ら望んだのではなく生まれた時からそうだった。
    なのに日本人ではなく在日という言葉を使われ、それだけでなく差別の対象となるのだ。

    私たち日本人は多様化、平和という言葉を愛するが一方で在日に対して冷ややかな視線を浴びている。
    なぜ日本で生まれたのに差別対象となるのだろうか。なぜ人は他人を差別してしまうのだろうか。

    アイデンティティとは何か。人とは何か。
    自ずと答えを導いてくれる。
    小学校の教科書で採用してほしい、そんな特別な一冊である。

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著者プロフィール

1968年埼玉生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1988年「レヴォリューションNo.3」で第66回小説現代」新人賞を受賞。2000年『GO』で第123回直木賞を受賞。

「2020年 『映画篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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