精神鑑定、18人の犯罪病理

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062100786

作品紹介・あらすじ

多発する異常犯罪!!いまなぜ、どうして!?精神科医として、数多くの犯罪者の精神鑑定を行なってきた著者が、現代社会の病理に迫る!!通常の感覚では理解できない事件の深層を分析。

感想・レビュー・書評

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  •  日本には最近、どうしてそういうことになるのか理解できない犯罪が多い。
    それは、いわゆる"食べるため"の犯罪ではないわけで、それだけ皆が裕福になったともいえるのかもしれない。が、反面、心のどこかに失うものがあり、それを埋めるがごとくの犯罪という行動となる。

     そういう事件を耳にしたとき、
    「どうしてそんなことをしたのか?」
    「どういう経緯でそういう風に考えるに至ったのか?」
    考えずにはおられない。
    いや、考えてもわからないので、聞いてみたいと思うのである。

     ここには、18人の経緯が"精神鑑定"を通して語られている。

     それぞれの事例を読めば読むほど、怖くなったのは、そこに語られている人たちのことではなく、自分自身のことだった。
     なにか事が起きた状況で、自分が精神鑑定を受けたとしたら、どんな判定が出るのか?その時、私の人生のストーリーを、鑑定者はどう定義づけるのか?
     
     人間は、そんなにクリーンに生きてはゆけない。
    普通に生きている(と自分は思っている)今の自分だって、精神鑑定されれば何がしかの"問題"がでてくるのでは?と、読んでいて思った。
    前提として、犯罪を犯した後か、前かという違いがあるだけで、そこから推察されるその人の人生ストーリーの作られ方がか違ういるだけなのかもしれないと。

     ある意味"鑑定"という2文字で決定的に定義づけられてしまう人生を、怖いと思った。

    *********************************************
     そんな風に思うに至ったのは、シドニーでカウンセリングのクラスを受けたときの体験からだ。カウンセラーとしてのスキルを身につけるためのクラスなのだが、そこでは、2-3人に分かれて何度もロールプレイを繰り返す。それは、単にロールプレイではなく、時に、本当にカウンセリングであったりもする。

     同じようなクラスを日本でも受けたことがあるが、日本語でさえ、思うこと、感じることを言葉にするのは難しい。どう表現すれば、正しく理解してもらえるのか苦労する。それを、少ないボキャブラリーの英語でやろうというのだから、なおさら表現力は限られる。

     そうなるとカウンセラーは、その人の置かれている状況から、その人の心を推察しようとする。気が付くと、クライエントである自分が思ってもみなかったような、お仕着せのストーリーをどんどん展開されてている場合もある。
     そんな時はもちろん、「それは違う!」と言いたい。言いたいけれど、「じゃ、どうなの?」と問われると、うまく英語で説明できないし、結局ことが面倒になるだけなのかも等と、頭の中でぐるぐる考える。

     で、結局「ま、そういうことにしておこう」と思ってしまうわけである。

     所詮それはクラスの中での出来事なので、私の人生に差し支えはない。
     が、これがもっと別の場面だったら・・・
    そのときの状況で、果たして最後まで自分の主張を、的確な言葉で言い切れるのか?日本語でも不安はあるなと思った。

     犯罪者に限らず、偉人だろうがなんだろうが、人の人生は聞いてみたい。
    けれど、人生を語るのは難しい。
    そんなことを、ふつふつと考えさせられた。

     ノーマルである・・・と人から思われている間に、精神鑑定を受けておきたいものだ。 

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著者プロフィール

1930年高知県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。1966年より1年間、南カリフォルニア大学精神科招聘教授、ロサンゼルス自殺予防センター特別招聘研究員を務める。東京慈恵会医科大学教授を経て、浜松医科大学教授、同大名誉教授となる。
森田療法の権威。

「2005年 『精神科医の綴る幸福論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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