夏の約束

著者 :
  • 講談社
3.11
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本棚登録 : 128
感想 : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062100809

作品紹介・あらすじ

八月になったらキャンプに行こうって、みんなで約束したのだった。芥川賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 気になって早速読んだ かつて芥川賞の「夏の約束」152頁の小品で明るく軽いけど実はとても重い本だった。恥ずかしながら てっきり女性だと思っていたけど、外見は違っていて中身は女性の福岡出の作者さんだった。そしてこの本を芥川賞に推した人たちの識見と言うか時代と言うか多分 昔だったら無かっただろうな と感じながら読了した。それでも今でも住み難いのでしょうねぇ!とりわけ偏見の強い国だからなぁ。

  • 恋人同士のマモルとヒカル。二人のやさしく流れていく日常を綴っている。二人はゲイのカップル。普通と“違う”関係を嘆いたり、隠すこともなく、ふわっとした文体で包み込んだその空気感がいい。終盤に込められたさりげない主張。まだまだ人から気持ち悪いといわれるホモセクシャルな関係を作者の感性で透明感を持たせた点が上手いと思う。
    私の間違いでなければ作者は男性だと聞いている。なるほど頷ける。第122回芥川賞作品。

  • 2000年に芥川賞ってもう22年も前のことなのね。そう考えるとまだLBGTって言葉も世間にはなかった時代にこの人たちへの温かいまなざしで書かれた文章には意味があると思えてきました。
     書き過ぎないって難しいことなんでしょうね。

  • あっという間に読めたんですが、何かテーマがよく分からない読後感です。芥川賞作品だから、読解力不足でしょうね。ゲイのカップルとその仲間達、という、身近に存在しない人達の日常が描かれた作品でした。

  • 特別なことって特に大きくなくてもいいんやなって思った。人間関係って案外狭くて、息がしやすい関係ならきっとずっと続けても良いかもって思えるし、意識なんてしないかもしれないけど、それはまた違うかも。意識しないように意識してる関係がいい。マルオたちはキャンプに行けたのかなーそれだけが知りたい。

  • 175cm95kgのマルオは彼氏のペコちゃん似のヒカルから夏のキャンプについて聞かれ、覚えていないことをとがめられる。
    近所の美容師たま代(TS)からお花見の時その場限りのような約束ながら誘われていたのだ。案外たま代は本気で、小説家の菊ちゃんやその友人のぞみにも声をかけている。

    何が起きるでもないんだけど、ちょっとマイノリティにいるような人と、普通に付き合う人もいれば、マルオを会社内でもいじめ紛いのことをするような奴もいる。
    マルオが学生時代と変わらないことに驚くのもむべなるかな。マルオはすべて面白がるでもなく飲み込んでしまうけれど、普通はカチンとくるだろう。人と違うなんて、当たり前のことなのに、どうして性のことだと過剰に異常視する人がいるのか。フラットに広い見識を持ちたい。

  • 人と違うことって全然何も問題ないんだけど、「人と違ったっていい」価値観がすっかり浸透したら「人と違うこと」に意味とかアイデンティティを見出すことはできなくなるんだな。凡人には辛い。

  • 各お話の最後の方に大きめの出来事が起こるだけなので感想の言いようがないのだけれど、何となく和むような、でも根っこの方はちょっと寂しいような雰囲気が好きです。自分の欠点や世間からの批判対象となる部分を受け入れられてはいる。友達や恋人、家族に全部認めてもらおうとは思っていないけれど、すれ違うと孤独も感じる。そのリアルな距離感を、温かく描いた作品だと思います。
    読み終わってから気付きましたが、表題作で芥川賞をとってたんですね。

  • 途中、男二人の会話にちょっぴり涙しそうになったけれども、終始よくわからない空気。いわゆる複雑で繊細なのでわからないということよりも、記述の量と描写が薄すぎて、想像が膨らまずに、よくわからないという感想。なーんかこの惜しい感じ、ちょっぴりもったいない。
    でも2000年にゲイカップルの小説を書くってセンセーショナルなことだったんだろうか?とかそっちのことを考えてしまった。

  • 第122回芥川賞。

    やれ密室殺人だ不可能犯罪だアリバイ崩しだロジカルだ、そんなミステリばかり読んでいると、こういった本を読んだときにあまりの「何も起こらなさ」にびっくりする。悪い意味では無く。
    2000年の作品だから、もう13年も前である。いわゆるオネエが(この言い方好きじゃない)テレビで引っ張りだこの今と違って、当時はまだこういった人たちは比較的表に出て来なかったんじゃないか、と思うのだけれどどうだろう。
    まあ今だって、相変わらず「ちょっとヘンな人たち」という消費のされ方しかしていなくて(芸能界でオネエ以外にセクシャルマイノリティを告白している人間は極僅かである)、だからこの作品の、当たり前の日常というものがそういった人たちにも存在している、というメッセージは、今でも十分に通用するものではないか。
    それは勿論、歓迎するべきことではないのかもしれない。

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著者プロフィール

1962年福岡県生まれ。千葉大学教育学部卒。95年「午後の時間割」で第14回海燕新人文学賞、98年『おしゃべり怪談』で第20回野間文芸新人賞、2000年『夏の約束』で第122回芥川賞を受賞。その他の著書に『ルート225』『中等部超能力戦争』『D菩薩峠漫研夏合宿』『編集ども集まれ!』などがある。家族をテーマにした直近刊『じい散歩』は各所で話題になった。

「2022年 『団地のふたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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