- Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062101264
感想・レビュー・書評
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過去から脈々と受け継がれる「男らしさ」のイメージ。それが実際にあるべき姿なのかどうか問うている本書。
幼き頃から、周囲に『男らしさ』を求められながら育照られることの弊害を説く。
『男の平均余命(寿命)が女より十年短い都いう明らさまな事実…家族という他者とのコミュニケーションを故意に切断し、その”正当な”理由として、仕事と業績を掲げ、自己との対話さえ回避する自己破壊的生き方(仕事嗜癖)の必然的な帰結である。』序にかえて、より
『他人に対して優位にふるまうことでつながりを持とうとするとは、実に奇妙な戦略である。しかし男たちは社交の場でも常にこうして地位を争っている。』
『競争すること自体は悪ではなく、よく学びよく遊ぶのは美徳である。スポーツに汗を流し、技を競うのは爽快なことである。健全なスポーツマンシップと不健全な競争心の違いは、楽しんで飲む酒と苦痛から逃れるために飲む酒の違いに似ている。楽しむためにする競争は、すでに十分持ち合わせている健全な自尊心に色を添えてくれる。競争に勝つことに自分の全価値を賭けているのではないから、負けたからといって絶望することもない。すぐれた能力を示すだけでは自尊心を培うことはできないし、人の心を勝ち取ることもできない。』能力主義の悲劇、より詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本はアメリカ発だけど、よくある研究を重ねた結果だけの心理学本ではなく、ひとつの元素として心をとらえていく粒度がある点で、東洋的な要素も多いです。 ずっしりくるのは「セラピーの実録部分」。日本にもこういうのが必要だと思うけど、アメリカとはまた別の恥の概念を持つ国なので、方法はむずかしいだろうなと思います。 でもこのむずかしさを知ったうえで生きていくのとそうでないのとでは、だいぶん違う気がします。
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これは一見「これだから男は」に見えるんだけどそうではなく、そうあらねばならない「男」(社会人や大人と言い換えてもいいかもしれない)の状況を書いて、そんなんじゃなくていいのだと書いている。
だから「男」的な苦しさを抱えている人が読むべきものだ。
まあ、自助努力なんだけど。
タイトルで損してるよなぁ・・・ -
大学時代のジェンダー論の教科書。たまに引っぱる。