隣人

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 148
感想 : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062101400

作品紹介・あらすじ

バスジャック、通り魔、てるくはのる、ニュータウン…。ぼくたちの夢と狂気を追った異色のルポルタージュ作品、誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 今まで、「殺人」や「自殺」といった事件に関してまるで他人事のように感じて生きてきたと思う。

    昔から犯罪心理には興味がある方ではあったのに、いざ自分と重ねてもまるでリアリティは無かった。だから凄惨な事件でも興味本位で調べては他人事として「怖いな、なんでこんな事をするのだろう」と上辺で見てきていたと思う。

    しかしこの隣人を読む事で明らかに見方が変わったと自分では思う。

    ニュースでは視聴者に面白く興味を持たせるような報道しかないような気がするが、この本には犯人の内面、生い立ち、知らなかった面が詳しく記されている。そこに可哀想だと感想を持つと同時に妙にリアルに犯人を身近に感じた。

    「誰か」は、どこにでもいる。

    自殺の件も取り扱われており、三浦春馬くんの自殺が過ぎった。いくら有名な人気者でさえ相談できる人が居ない、孤独なんだ。

    死ぬほど思い詰めている人が、どこにでも居る。表面では窺い知れない。親、友人、恋人、自分を含め、すぐ隣に居るかもしれない。

    読み終えた感想は第一に、人間が1番怖い。
    そう思ったら人が急に怖くなり、今までに感じた事ない怖さを夜の道に感じるようになってしまった…。

    ほんと、「誰か」は、どこにでもいるんだもんな…。



  • 事件の前=そこまでの道のり
    事件の後=加害者の、被害者の
    が気になるので読んでみた。

    記憶にある事件の、その報道の見えない部分、それからも続く日々。

    残念ながら短い文章で、作者も書いてるけと、読み物作家視点なので、知りたがりには物足りない。

  • SPA!連載の神足の事件モノなんかよりははるかに読ませる。読者に媚びて一緒になって怒ってみせるなんてのは最低だな、やっぱし。

  • 世紀末という不吉な言葉で括られるあの頃。

    キレる17歳、池袋の通り魔殺人事件、てるくはのる、
    新潟少女監禁事件、毒入りカレー事件のその後、
    文京区幼女殺人事件、ロボット犬・AIBO……。

    1999年から2000年。
    いまから少し前、いまと同じように悲惨な殺人事件も起きていたし、
    いまと変わらず、新しい発想の玩具が売り出されるたびに話題になっていた。
    事件が起きればワイドショーは被害者の心の闇を暴こうと躍起になる。

    あの頃よりも電気製品が発展したくらいで、10年ちょっとじゃ何も変わらない。
    重松さんの描く、あの頃の日本の時事ネタ。

    ---------------------------------------

    あの頃、爆笑問題の『日本原論2000』を憑りつかれたように読んでいたことを思い出した。ニュースのコメンテーターとは違う視点で、時事ネタを繰り広げていく太田さんがかっこよかった。辛口で事件を切っていく姿にしびれたし、憧れた。

    時事ネタで戦うのが太田さんなら、時事ネタのなかに寂しさみたいなものを見つけてあげるのが重松さんだと思う。

    心の闇、とかそういう安易な言葉で括れる寂しさじゃなくて、思い通りにならない人間関係へのくやしさ、社会と上手に付き合えない自分に対する苛立ちのような、そんな寂しさを重松さんはいつも表現してる。

    辛口もかっこいい。寂しさを見つけてあげられるのもかっこいい。

  • 巷で起きた事件や事象について、作家重松清さんが自らの足で現場に赴き、独自の見解を書いたもの。
    これは1999年から2000年に渡り、月刊総合誌「現代」に「世紀末の十二人の隣人」というタイトルで載せられたものだそうです。
    取り上げられているのは誰もが知っている衝撃的な事件、又は事件とは呼べない世の中の事象となど様々。
    ちょっと前・・・というか10年以上前の事柄ばかりなので、「あ~、こんな事あったっけ・・・」と忘れている事も多々ありました。

    例えば最初に取り上げられた事件、1999年9月に東京池袋で起きた通り魔殺人事件だとか、次のフジテレビ系列の番組「愛する二人別れる二人」のヤラセ問題なんて、もう番組名すらすっかり忘れてた。
    かと思えば誰もが知っているような新潟の少女監禁事件だとか、和歌山のヒ素カレー事件だとかも取り上げられています。

    1冊に12もの事件や事柄を取り上げている訳で、どうしてもそれぞれの事柄を詳細にルポした内容とまではなってません。
    その事件を通して作者が個人的に気になったことを一つ取り上げてそれについて文学的に書いた形式の本となっています。
    だから純然たるノンフィクションでもなければ、もちろん小説でもない。
    事件を詳しく知りたい、と思う者には完璧に物足りない内容となっています。
    ・・・が、これは作家ならではの目線で書かれたものだ、という特徴としてとらえることもできます。
    こういう考え方や感じ方もあるんだな~、こういう目線でとらえる事もできるんだな~、という内容となっています。

    例えば、最初の池袋で起きた通り魔殺人事件では、中山健次の「十九歳の地図」という小説を取り上げ、それと事件とを重ねあわせて文学的に仕上げているし、2000年5月に起きたバスジャック事件では「17歳」という年齢をクローズアップして取り上げている。

    こういう趣向も面白いかな~と思って最初は読んでいましたが、読んでいる内にどんどん取り上げているテーマだとか、内容だとか失速感を感じました。

  • 2000年前後の重大事件だったり、著者が気になった話題について、思うことを書いた作品。

     サブタイトルに自ら「寄り道・無駄足ノンフィクション」と銘打っているものの自らの足で取材したことはほとんどない著者。なんとも肩の力が抜けた作品だった。偶然にも最近、田口ランディで似たようなテーマの作品を読んでおり、一つの事件にも色々な見方があるもんだと思った。

     行き場のないエロスがタナトスに転換した。

  • 椎茸農家の話が一番凹んだ。

    いくつかの事件が重松清流に掘り下げられていくんですが、なんでもかんでも感傷的に書けばいいってもんじゃないなぁと感じた。
    この本の性質や作者が書きたかったことなんかを考えると、まぁ自然な流れではあるけど、物事の捉え方が独特で面白かった。

    人生って儚い。
    昨日まではできると思ってた事が急に怖くなって前に進めなくなり、それが原因で引きこもり、結果悪い事をしてしまうなんて事は、もしかしたら隣人、こうして電車に乗っている時に隣にいる人が体験する未来なのかもしれない。
    もちろん自分もそうだけど。
    なんて事ない、幸せに見える家族も未来は案外暗かったり、するのかもねと考えた時、自分の生活ってこのままでいいのかなとか、ちょっと真剣に考えてしまった。

  • 図書館で借りました。
    色々なニュースを重松さんの目線でたどっている随筆ですがやはり人とは感じることが違うのだなあと思うことが多かったです。
    そして結構世代や人物層をステレオタイプで捉えすぎていないか?と疑問に思いました。そんな紋切り型のアプローチでいいのかな?と思ったので評価が下がってます。

    凶悪犯罪の報道を耳にし、その犯罪者を知ったとき彼らがなぜそのような犯罪を犯したのかと言う経緯を知ることにより、ああ、あの人はこんなに自分と違うのだから自分の近隣は、自分の家族は大丈夫、と自己暗示をかけているような気がしてなりません。もしかしたら…と考えることはとても恐ろしいです。

    後、個人的に重松さん、新潟の少女監禁事件の犯人には結構筆が甘くないか?と思いました…。

  • 実際にあった事件やブームを作者自身が調べて
    自分なりの見解を書いている珍しい作品。

    事件に関してはママ友の娘さんを殺めてしまった
    女性の話など、読むことでまた思い出し
    作者と一緒に深く考えた感じの読後感。

  • その時々の新聞を賑わせた事件を重松清本人がルポタージュ風に後追い取材したものを「読み物」として昇華させた作品。

    てるくはのるや砒素カレー等2011年の今となれば一昔前新聞雑誌ワイドショーで散々お茶の間を賑わせた事件が取り扱われています。
    重松らしい切り口やアクセスの仕方にほうほうと思いながら読みましたが、私にはちょっと合わなかった感じです。
    ほぼ面白くなかったw

    普段の作品とは全く毛色の違う作品ですので、タイトルだけで手にとってしまうと良くも悪くも裏切られます。

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著者プロフィール

1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て、執筆活動に入る。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年に『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。小説作品に『流星ワゴン』『愛妻日記』『カシオペアの丘で』『赤ヘル1975』など多数。

「2022年 『旧友再会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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