藤田嗣治 異邦人の生涯

著者 : 近藤史人
  • 講談社 (2002年11月13日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062101431

作品紹介

華麗な伝説に彩られたエコール・ド・パリの寵児は、帰国後なぜ「戦争画のスター」となったのか?戦後フランスに帰化し、二度と日本に帰らなかったのはなぜか?独創的芸術の変遷、苛酷な運命、そして魂の彷徨。未公開資料を駆使して「巨匠の真実」に迫る。

藤田嗣治 異邦人の生涯の感想・レビュー・書評

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  • 少し前ですがNHKスペシャルの最後の方を見て興味を持ち、図書館で借りて読みました。私は藤田画伯のことは良い事も悪いことも知らず、かろうじて猫の絵とあの人形のような少女の絵を知っているぐらいでしたので全て新鮮に読み終わりました。何とも時代に翻弄された方なのだなあとさみしくなりました。

    第一次世界大戦前のパリ。藤田氏やその画家仲間を見るとそうそうたるメンバーが名を連ねていてびっくりします。芸術は花開く時期や場所と言うものがあるのだなあとしみじみ思いました。そんな時期にパリで暮らすことが出来、さらに絵が売れた。今でも海外に出るにはお金と労力がかかりますが昔の日本ではその苦労と財力は並ではなかったはず。そんなやっかみもあって彼の成功は日本の画壇に伝えられなかったのかなあ…実に恐ろしいのは男の嫉妬か…などとうがって読みました。

    この間近代美術館の常設を久しぶりに見て、そう言えば口絵にあるアッツ島の絵を見たなあとぼんやり思い出しました。戦争絵画の存在を私は知りませんでしたが実際そのような作品が軍の要請で作成され、その責任を取らされる形で藤田氏が日本に居られなくなったと初めて知りました。経緯を読むとけして米軍が責任追及をしたわけではなく、周囲の日本人が噂や憶測で恐れをなし、先回りしてスケープゴートを探していたということだと思いました。そして臭いものに蓋、と言うように責任を押し付け何もなかった事にしてしまう。この精神こそ、いまだに海外の人が日本に対して持っている不信感そのものなのではないか、と思うのです。良い時だけはその風に乗り、悪くなると途端に誰かの所為にして責任逃れをする。先の戦争も軍が悪い、一部の暴走した国家権力が悪いと騒いでいるばかりでその風潮に乗った自らを反省する意識の少なさに空恐ろしくなります。日本人が流行りものに弱いのは昔からですがそれをあおるようなマスコミの報道にも首をかしげたくなります。今も昔も変わらないのでしょうか。

    フランス国籍を取り、夫人と二人静かな日々を送っていらしたと言う藤田氏の孤独を思うと何ともやりきれないさみしさがこみ上げてきました。勿論、他の見解もあるかとは思いますがこの本を読んで良かったな、と思いました。

  • 一番好きな画家です。
    とくに戦争画は東京へ行くたび,近代美術館に見に行きますがいつも1点ずつほどしか展示してません。一堂に会して全部を展示してほしいものです。

  • ボーダーの服といったらこの人。乳白色を実際に見てみたい。

  • 作家の生涯をこれほど真剣に、心を震わせながら読んだ記憶がない。絵画に対する見る目が変わり、値段や技術や時代性より、制作の意味を鑑賞したいと思うようになった。藤田は自ら根無し草と思っていたのかもしれないが、どの国にも属さないという意味で、より崇高な意味を絵画に見出していたのではないかと思う。そして、それに憧れと共感を覚える。また、くる者拒まず、去る者追わずのスタイルを貫き通すのは凄い。百人の0より一人の1が勝るとは名言だ。一つのことを極めるまで頑張り続ける姿勢は見習わなければならない。乳白色の肌は、キャンバスに第一層・膠、第二層・硫酸バリウム、大三層・鉛白1:炭酸カルシウム3の技術。

  • 天才は一日にして成らず。

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