麦の海に沈む果実 (メフィスト・クラブ)

著者 :
  • 講談社
3.91
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本棚登録 : 1427
感想 : 257
  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062101691

作品紹介・あらすじ

「ここに三月以外に入ってくる者があれば、そいつがこの学校を破滅に導くだろう」-湿原の真中に建つ全寮制の学園に、二月の終わりの日に転入してきた水野理瀬。彼女を迎えたのは、様々なしきたりや、奇妙な風習が存在する不思議な学校だった。彼女と学校生活を共にする仲間、「ファミリー」もそれぞれに謎を抱えていた。功は、閉ざされたコンサート会場の中から失踪し、麗子は、湿原に囲まれて外に逃げ出せないはずの学園から消えうせていた。残りのメンバーは、麗子はすでに死んでいるのではないか、と校長につめよる。それに対し、校長が提案したのは、麗子の霊を呼び出す交霊会の実施だった。その場で理瀬に奇怪な現象が襲う。「三月の学園」での奇妙な学園生活を送る理瀬の隠された秘密とは。

感想・レビュー・書評

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  •  先に「三月は深き紅の淵」を読んでいたことと、序章とあわせて混乱もありましたが、1日で一気読みしました。途中で止められず、読んだ後はグッタリでした。
    閉じられた学校の中で非現実を感じさせる世界観は、本当にアリスの世界みたい。
    主人公である理瀨も今までにない主人公てすね。
    もう一度読みたい作品です。

  • 北国の湿原に囲まれた全寮制の学校。主人公理瀬は2月にこの学校にやってきたのだが、この季節での転校は極めてまれなのだという…

    最初から不気味で、こんな学校に閉じ込められたらやってられない、と思っていたら案の定次々と事件が起こり、心もざわざわしてきた。主人公のいきさつが曖昧なので余計に不安になる。著者はそうした読者の心の隙がよくわかっている。

    しかしそんな中で図書館や蔵書、さらに中庭の描写には心が躍った。高級感漂う建物と充実した書架が目に浮かぶ。

    ラストはまさかの流れとなった。生まれながらに特異な人生を歩まざるを得ない人々の集団に恐れおののいている。

  • 『麦の海に沈む果実』
    わたしが少女であったころ、
    わたしたちは灰色の海に浮かぶ果実だった。

    わたしが少年であったころ、
    わたしたちは幕間のような暗い波間に声もなく漂っていた。

    開かれた窓には、雲と地平線のあいだのはしごを登っていくわたしたちが見える。
    麦の海に溺れるわたしたちの魂が。

    海より帰りて船人は、
    再び陸で時の花びらに沈む。

    海より帰りて船人は、
    再び宙で時の花びらを散らす。


    三月から始まる三月の王国へ、二月の終わりに転校生がやってきた。
    破滅をもたらす「二月の転校生の伝説」に戸惑う彼女の名前は、理瀬。
    「この三月の国の趣旨に添わない生徒は、いつのまにかいなくなる」
    王国の王である校長の「お茶会」に、ファミリーの憂理、黎二、聖と共に招かれた理瀬は
    かつてのファミリー・麗子の生死を確かめるため降霊術を行う。
    学園の諸所に現れる麗子の影。そして次々と起きる"不慮の死亡事故"に、
    天使のような容貌を持つヨハンとファミリー達は校長への不信感を募らせる。
    王国での様々な出来事に心を塞ぎこんだ理瀬は、ハロウィンパーティの最中
    校長から「黒い紅茶」を受け取る。

    はあ。早くも終わってしまった!
    レビューを残すにあたり何もかもを省きたくない、エレガントな小説でした。
    幻想的な世界を脳内に描画させてくれる点において、恩田陸は
    稀代の作家なのではないかと思わせてくれる作品。
    既視感の描写ってあまり好きじゃないんだけど
    (ほらほら気になるだろ?伏線ですよー☆彡って感じがして)
    これは気にならなかった。鮮やかに締めてくれた。
    理瀬も、脇を固めるファミリー達もそれぞれいい味を出していて
    みんな愛おしい。
    学園のイメージもモンサンミッシェルを想起させるようで好き。
    ネクロポリスといい恩田さんはモンサンミッシェルの雰囲気好きなんじゃないか。
    結論として、当然のように長くなるブックレビュー。名作です。
    師走に良い本に出会えて良かった。

    「『三月は深き紅の淵を』というのよ。赤い表紙で、ちょっと小さめのサイズ。作者名は書かれていないわ」

    「―思い出したんだね?」
    「ええ、パパ。何もかも」


    指の隙間から、灰色の湿原に、水色の花吹雪が散ってゆく。

  • 設定に無理が・・・
    お話もイマイチ
    乗り切らないまま終わってしまった

  • SL 2022.6.10-2022.6.13
    現実離れした少女趣味のようなお話。
    この世界観にどっぷりはまれたならもっと楽しかったのにと思う。

  • これは、めちゃくちゃ面白かった!!!
    引き込まれる文体とストーリーの結末が凄く良い!

  • りせ!
    良いわあ!

  • とにかく、今年中に読んでおきたかった1冊。
    「三月は深き紅の淵を」にもチラリと載っててとても気になってたし。

    北の果ての大湿原の中にひっそりとたたずむ
    全寮制の学園。
    二月の終わりにやってきた転入生は学園を破滅に導く。

    すごく非現実的な学園と
    優秀で美男美女揃いの生徒達。
    男でも女でもどちらも完璧な校長。

    ほんと、昔の少女漫画のようなありえない設定は大好き。
    でも、それだけじゃなくて
    なんていったらいいのか、そういう設定の中で
    次々に人が死んで、謎があって。
    そういう、ミステリーの部分がまた、たまらなく面白い。

    あたしはきっと、こういう小出しにされた謎解きが大好きなんだと思う。

    あー、この本、夢中で読んでしまった。
    これから「黄昏の百合の骨」読みます。

  • 全寮制の学校に転校してきた理瀬の物語。
    学校では不可解な事件が起こったり不気味な雰囲気が漂っており、ハラハラしながら読みました。
    特に事件を調べてる聖はやばい真実を見つけて殺されてしまうんじゃないかと…。
    プロローグで哀愁漂う感じがあり、ただ過去を思い出してノスタルジーになってるのかなと思ったらそういう結末かあ…と少し寂しくなりました。
    キャラそれぞれの想いや思惑の絡み合いが種明かしされていく最後の場面は、描写されている状況にドキドキしながら、一気に読んでしまいました。

  • 北国の中高一貫の全寮制の学園で次々と起こる不可解な事件。周りを湿原に囲まれ外界とは隔絶した陸の孤島、湿原の海に浮かぶ三角形の青い丘にある元修道院だった学園はフランスの海辺の修道院を思い起こさせる。
    この学園では「三月以外に入ってくるものがあれば、そいつがこの学校を破滅に導く」と言う伝説がある。主人公の理瀬は何故か「二月の最後の日」に転入してきた。何故理瀬だけが·····、深まる学園の謎、疑心暗鬼な少年少女、その理由が徐々に解かれていく。
    ミステリアスな学園での生活は「ハリーポッター」の「ホグワーツ」を思わせる。華やかで楽しげな宴、そして一変するダークな雰囲気、常にモヤモヤが付きまとったまま進むストーリー。
    理瀬をはじめ魅力的な登場人物と世界観にいつのまにかグイグイと引き込まれてしまった。
    予想もしない結末、理瀬はどうなってしまうのか?不思議でダークな学園ミステリー。
    ✩✩✩✩✩ 5.0

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著者プロフィール

1964年、宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞を受賞。06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞を受賞。07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞する。

「2022年 『本からはじまる物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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