- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062102070
感想・レビュー・書評
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「実朝私記抄」岡松和夫著、講談社、2000.05.15
298p ¥2,100 C0093 (2022.06.20読了)(2022.06.12借入)
栄西に始まり、道元を終わりに登場させています。
「源実朝」大佛次郎著とは、だいぶ違った物語になっています。
いずれも、『吾妻鏡』『愚管抄』がネタ元になっているわけですが、作家の想像力でいろんな形の物語になりますね。
この時代は、まさに血を血で洗う権力争いの時代なんですね。NHK大河ドラマから今後も目が離せませんね。
【目次】(なし)
1~70
☆関連図書(既読)
「源実朝」大佛次郎著、六興出版、1978.12.20
「炎環」永井路子著、文春文庫、1978.10.25
「絵巻」永井路子著、角川文庫、2000.08.25
「源頼朝の世界」永井路子著、中公文庫、1982.11.10
「北条政子」永井路子著、角川文庫、1974.04.15
「尼将軍 北条政子」童門冬二著、PHP文庫、2008.11.19
「マンガ日本の歴史(16) 朝幕の確執、承久の乱へ」石ノ森章太郎著、中央公論社、1991.02.20
「大系日本の歴史(5) 鎌倉と京」五味 文彦、小学館ライブラリー、1992.12.20
「定家明月記私抄」堀田善衛著、新潮社、1986.02.20
「定家明月記私抄続篇」堀田善衛著、新潮社、1988.03.10
「藤原定家 愁艶」田中阿里子著、徳間文庫、1989.12.15
「新古今和歌集」小林大輔編、角川ソフィア文庫、2007.10.25
「新古今和歌集・山家集・金槐和歌集」佐藤恒雄・馬場あき子著、新潮社、1990.09.10
「吾妻鏡」上・中・下、竹宮 惠子著、中央公論社、1994.12.20-1996.02.25
(「MARC」データベースより)amazon
栄西に仏道を学び、前生は中国の僧であったと信じる実朝は、将軍の身で中国に渡るべく、船の建造を命じた。どんどん自由を失い、内面だけを変化させていく実朝が短歌に託した思いを描き、転機に立つ者を捉える歴史小説。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私が住んでいる鎌倉の小邑には二人の有名人が住んでいた。一人は日本画家の小泉淳作氏、もう一人は芥川賞作家の岡松和夫氏であったが残念ながらお二人とも本年一月に相次いで逝去された。本書はその岡松氏が綴られた鎌倉幕府の第三代将軍右大臣実朝の悲劇的な物語である。
鎌倉は中世の武家の都であるが、そこは殺戮と阿鼻叫喚の死都でもある。源氏ゆかりの将軍のみならず頼朝の御家人の代表的存在である畠山氏も和田氏も三浦氏も、ことごとく北条時政とその子孫たちが謀略と武力で屠ったのだった。
頼朝を殺したのも北条氏であるという説もあるが、その後継者の頼家を伊豆の隠れ里で謀殺し、三大将軍の実朝も頼家の甥公暁を指嗾して八幡宮階段下で暗殺せしめ、あわせて公暁も亡き者にすることによって源氏の直系を根絶やしにしたのは、他ならぬこの伊豆の成り上がり者一族である。下賤の北条が高貴な源氏を打倒したのがけしからんという気はさらさらないが、聞いてあまり愉快な話ではない。
この小説の中で著者は実朝の暗殺者は公暁であると断定されているが、その前後の義時の挙動不審を考えに入れると、政子を蚊帳の外に置いた執権が黒幕であることに疑いを挟む余地はなさそうだ。
実朝はみずから行政者と風雅の人と仏教者の三つの役割を担っていたが、著者は栄西や行勇、陳和卿などとの交友を詳しく辿ることを通じて、彼が由比ヶ浜での(義時の妨害による!)宋船建造失敗の後も宋への渡航を具体的に計画していたことをあからめ、もし彼が非業の死に斃れなかったとしたら前代未聞の将軍僧として本邦の歴史を変えていた可能性に触れている。
尼将軍とは子に先立たれた北条政子の別称であるが、みずからが宋の高貴な僧の生まれ変わりであると半ば信じていた実朝の二七歳以降の「もしも」は、甚だ興味深いものがある。夫を喪った妻の西八条禅尼は京に戻って八二歳の長命を全うしたそうだが、著者の繊細にして旺盛な想像は彼女の行状にまで及んでいるのである。
北条勢に睾丸を切り取られて絶命し給ひし二大将軍頼家哀れ 蝶人 -
宋に渡ることを夢見て、和歌や蹴鞠と言った貴族的なことを愛して、栄西に深く影響され…およそ将軍らしからぬ鎌倉三代将軍源実朝は武家に生まれてしまったのがそもそもの不幸の始まりに思える。
母である政子尼御台所、妻、執権、栄西と言った周囲の人物からの実朝と本人の思い、著者の考えが入り混じって書かれており、後出しじゃんけん的な歴史を知った上での著者の考えが読んでいてやや鬱陶しかった。
鎌倉時代の物語なら鎌倉時代の登場人物だけで話を進め、著者の考えは後書きとか最後のあたりにまとめて書いて欲しかったと思う。 -
筆者はあまりでてこないでほしい。
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