旅路の果て―モンゴメリーの庭で

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感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062104456

感想・レビュー・書評

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  • 2014.7.30市立図書館
    『赤毛のアン』シリーズでおなじみの作家ルーシー・モード・モンゴメリの生涯に材をとったノン・フィクション的な小説。
    ときは1942年春、第二次世界大戦で慌ただしさを増しつつあるカナダのロッキーフォールズから、両親の事情でひとりトロントの祖父のもとに滞在することになった12歳のローラ。おむかいの家のちょっと変わり者のミセス・マクドナルドが実は自分の愛読する作品を生み出したモンゴメリ女史と知ります。モンゴメリと幼なじみだった祖父から聞かされる昔話、モンゴメリの庭仕事を手伝うようになりつれづれに少しずつ聞き出す彼女の人生を彩る出会いや出来事、晩年の作家の口から語られる来し方への感傷と苦い気持ち、これからの女性の生きかた、物語や想像力とは。そして突然やってきた別れのときを少女の目と心を通して描き出す佳編。
    モンゴメリの仕事と生涯への敬意にあふれていて、某朝ドラ(そのおかげでこの本を手にとったのだけど)にわたしが期待していたのはこういう世界だったんだな、と思った。

  • 主人公ローラのおじいちゃんの家の隣に住んでいたのは、あの『赤毛のアン』の作者モンゴメリーだった! この物語はフィクションですが、モンゴメリー自身が語る過去は事実を元にしているそうです。作品に登場する明るく元気な少女たちとは対照的にモンゴメリーの人生は激動の時代の中で過ごし、苦悩が多くありました。そんなモンゴメリーが小さな友と出会う晩年の物語です。

  • 人気作家・完璧な牧師夫人・優しい母親という役割をすべて果たし、人々に崇拝された「赤毛のアン」の作者モンゴメリー。しかしその人生の内側には、肉親の温もりに欠けた少女時代、愛情薄い結婚生活と夫の病気、愛する者との別れ、そして「アン」を超える作品を生み出せない作家としての苦悩など、希望に満ちた作品世界とは裏腹な深い「闇」が隠されていた……。自立した女性として激動の時代を生き抜いたモンゴメリーの晩年を、ある少女の目から描く、モンゴメリーへの鎮魂歌。

  • 洪水で町に避難勧告が出たため、ローラは一人でトロントのおじいちゃんの家に行くことになる。
    その家の隣に住む年配の女性は、「赤毛のアン」作者だった。

    ローラと一緒にモンゴメリの生涯を垣間見ることができます。
    心の病の夫を支える重責、「アン」を超える作品を書けなかったことの苦悩。

  • またしても出会ってしまった。

    そうとは知らず、死をメインテーマとする本に。

    モンゴメリー作品を愛していたから、フィクションでありながら、
    モンゴメリーの描写についてはノンフィクション的要素を持つという
    この本の表現形式に惹かれて手に取ったのだけど、

    ルーシー・モードと彼女の回想を引き出していく役割を果たすローラとを
    「あいよぶ魂」として結びつけたテーマのひとつが、
    まさしく「死」だったとは・・・。

    舞台は、第二次世界大戦中のトロント。

    ローラは、住んでいる町で洪水警報が出て学校が休校になったため、
    おじいちゃんのいるトロントにやってきた。

    移動中の汽車の中で読んでいたのは『ストーリーガール』。

    おじいちゃんの家の道のむこうがわにある家には、
    マクドナルド夫妻が住んでいた。

    モード・マクドナルドは、ローラが読んでいた本の作者で、
    おじいちゃんの幼馴染。

    でも、彼女は、人付き合いを好まず、体調も思わしくなく、
    神経を病んでいたのだった。

    おじいちゃんによって明かされていく若き日のモード。

    ローラは、自分が読んでいた本のイメージと
    現在のミセス・マクドナルドのイメージがなかなか重ねられなかったが、
    庭仕事をしていてたおれそうになっているところを助けたところから
    彼女と会話をするようになっていく。

    ローラと話をすると、若々しい表情に戻り、
    自分のことを、自分が生きてきた軌跡を、
    どんどん語っていくミセス・マクドナルド。

    ミセス・マクドナルドは言う。

    「つまり、あなたは-あなたのよく知っていることばを使えば-
     <あいよぶ魂>だという気がしているの」。

    話をしていくうちに、お互いに、
    大切な人を亡くした経験があることを知っていく。

    語られるエピソードは、他にもあるのだけれど、
    私には、どうしてもこのテーマがなによりも大きく見えたのだった。

    『アンの娘リラ』の中でウォルターが亡くなってしまうことについて、
    ローラは、すじを変えなかったのかと尋ねる。

    なぜ、マシューは死んでしまったのかと食い下がる。

    それに対して、そんなことはできない、
    それが想像力というものだと答えるモード。

    「死というものはね、人生の一部なの。
     登場人物を死なせないとすれば、それは本物の人生ではなくなるわ。」。

    また、『ストーリーガール』の中で、一番好きなのは、
    ヒロインのセアラよりも、セシリーだと語るローラに、
    『黄金の道』を読めばわかると、セシリーのその後を示唆するモード。

    セシリーが死んでしまうならば読みたくないと言うローラに、
    モードは語る。

    「ねえ、きいて。それは文学を味わううえでとてもせまい見方だし、
     人生に対してもにげているわ!
     さいわい、人生には美しく友好的な面もまたあるのよ」。

    一瞬でも「あいよぶ魂」に出会えたことは、
    双方にとって最高の幸せだったに違いない。

    それがたとえたった一週間であったとしても。

  • 私が海外文学にはまるきっかけの一つともいえるモンゴメリの晩年が題材のフィクションです。
    この話の中にもでてくる「ストーリーガール」(日本では「アボンリーへの道」シリーズとして出版されています)は私も大好きですし、「赤毛のアン」シリーズ(そう、“シリーズ”です!)は言わずともがなです。ただし最終巻の「アンの娘リラ」を未読の方はネタバレがあるので、モンゴメリ作品を殆ど読破した方にお勧めです(笑)。

  • 中学2年の時に中学の図書室で借りました。
    読んだ後良い本だなって思って図書の先生と話してたら、課題図書だったって言ってたような気がする。

  • すごく好きな話でした。

  • 最後は泣ける。少女とお婆さんの心温まる物語。

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