- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062106245
感想・レビュー・書評
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「全国ビブリオバトル2015~首都決戦~四国Aブロック地区予選会」
(2015年10月25日/図書館1階視聴覚コーナー)
http://opac.lib.tokushima-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?materialid=215004062詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
-2018/09/02
浅田次郎本人の自衛隊経験をもとに書いたであろう作品。軍隊を引きずってきた自衛隊アンソロジー。浅田愛は不滅です。 -
自衛隊市ヶ谷駐屯地内での日々の出来事。
「若鷲の歌」
戦中、予科練におり、特攻出撃を基地で待っていた川原准尉。戦後も自衛隊に残り、終戦日に死亡と書かれた自分の名の位牌を持ち、夜の営庭で若鷲の歌を歌う…。
戦争を生きてきた人の悲壮感の伝わる話。
「小村二等兵の憂鬱」
補給品の点検を明日に控え、小村二等兵は半長靴を無くしたことに気づく。相談した森部屋長に無下にあしらわれ、夜に半長靴を盗みにいった先でも挫折し、当日を迎える。しかし、実は…なコミカルな話。
部屋長の森士長が実はいい人。
「門前金融」
薄給のため、自衛隊専用の高利貸で3万の借金をする赤間一士。同じ班内には、多額の借金のために25歳で入隊した石川二士がいた。妻子がおり、子供は小学生に上がる年齢。ある月、上官はに石川二士以外の月給から500円を徴収し、あるものを買ってくる…。
それを渡したときの石川二士の反応と、他の隊員の対応にほっこり。
「入営」
ビフテキにつられ、いつの間にか自衛隊に入隊することになった19歳の青年の話。
「…軍隊っていうのはどこの国でもそうだけど、優秀な兵隊を作るんじゃなくて、クズのいない部隊をつくろうとするんだ…日本中どこを探したって、そんな学校も職場もあるわけはない…」
「越年歩哨」
軍隊には2種類の階級がある。階級章の星の数と、飯の数(在籍年数)。
「軍人は星の数で部下に命令を下し、飯の数で目下を思いやるのだ」
「歩兵の本領」
自衛隊を除隊する一隊員(これだけ名前が書かれていなかった)と、隊員を引き止めようとする坂崎先任陸曹。
「尺余の銃は 武器ならず
寸余の剣 何かせん
知らずやここに二千年
鍛え鍛えし 大和魂」
最後のこの短編の主人公に名前がないのは、「鍛え鍛えし 大和魂」が、「自衛隊員」の本領だから。
第二次世界大戦ものは読んだが、自衛隊に関する話は初。
階級出てくるけど、難しい。 -
軍隊の話かと思ったら、軍隊のような自衛隊の話だった。
浅田さんの本を読むといつも、なんだかんだ人間っていいよなって思う。 -
1970年代の自衛隊にまつわる短編集です。
この時代は高度経済成長期なので、職にも困らないはずの若い人達が、自衛隊に入り、軍隊のような中で成長していく話です。
短編集なので、読みやすく、この時代にはこのようなことも許されたのか。と思いました。
最近自衛隊の話をよく読み、以前よりより一層自衛隊の方への尊敬、感謝の気持ちでいっぱいです。 -
災害が続く最近、身近だけど、よく分からない自衛隊を身近に感じさせてくる短編集。
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1970年代の自衛隊を舞台にした九つの短編集。
一作目を読み終えたときは、ふーん?外れかなーなんて思っていたけど、三作目あたりから浅田ワールド炸裂でした。
鬱憤とか苛立ちとかどうしようもない理不尽さとか。そういったものの後ろに隠れているどっしりとしたあたたかさがちらっと垣間見えるところに、いつも救われる気がします。
バトル・ラインと脱柵者が特に良かった。 -
戦後の高度成長期の自衛隊員達の異質な生活ぶりを幾つの短編にしてまとめた本。世間は景気絶頂期の最中。様々な事情を抱えて自衛隊に入った人々が理不尽と思われるシゴキ、体罰が飛び交う日々の中でも大事な何かを守って生きている男達。浅田節炸裂!
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入隊したばかりのひよっこが、個性豊かな先輩隊員たちにしごかれて、立派な?自衛隊員になっていく話。不器用だけどまっすぐに生きている彼らの青春には胸をうたれた。
戦後産まれがほとんどの登場人物のなかで、ときたま登場する戦争を生き残った兵士が物語をしめている
とは言え私の一番のお気に入りは、何と言っても和田士長!「ごめんですんだら、俺はいらねぇ」は名言だと思う。