熊の敷石

著者 :
  • 講談社
3.35
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本棚登録 : 210
感想 : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062106351

作品紹介・あらすじ

いくつもの物語に出会う旅は、フランス人なら誰でも知っているという寓話に辿り着いた。芥川賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 芥川賞受賞とあるが、それ程のものではないように感じる。

  • 表題作「熊の敷石」(芥川賞)のほか、「砂売りが通る」「城址にて」の計3本。

    「熊の敷石」
    ノルマンディーに旧友を訪ねる話。その旧友がユダヤ人で、ナチスによる迫害にまつわる記憶が小説の後景となっている。モン・サン・ミシェル、仏語辞典を作ったリトレ、盲目の子供をもつ大家さん。
    同じように旅をするのでも、漂白と往還の違い。ボスニアにとどまる人の言葉「ここがあたしたちの家だからだ」。
    食い物の描写がうまそう。

    「砂売りが通る」
    3編の中でいちばん読みやすくて馴染んだ。砂の城と少女と。フランスは出てこない。

    「城址にて」
    これまた舞台はノルマンディーで旧友を訪ねる話。

  • 熊の敷石

  • かなり期待して読んだのだが……これがちょっと……なんというか……そうでもなかったような。

  • いつも本を読む早さで読むと頭に入らない。堀江氏の音楽のように流れてくる文章をゆっくりと噛みしめながら読まないと。 劇的な起承転結がなくても読後はさわやかです。

  • この本が出た時に読んで以来の再読。
    中身を全然覚えてなかったことにショック!

  • 仲良しの老人の鼻さきにとまった蠅を追い払うために敷石を掴んで投げつけた熊。このフランスの寓話は無知なお節介は危険という教訓として使われるという。ここでちょっと考えてみた。法律用語で「善意」は「知らなかった」を意味する。「熊の敷石」の話は善意有過失?それとも善意無過失?

  • 堀江敏幸の本を手にするのは、ひそやかな愉楽である。誰かの家を訪ねるとき、列車を下りたときから、その人の住む世界に入っていくような心の高ぶりを感じるものだが、ちょうどそれに似た静かな興奮の予感のようなものが、本を手にしたときから胸の奥に立ち上がってくるのを覚える。久しぶりに会う友人が話す言葉の一言も聞き漏らさないよう、私は部屋の窓を閉め、外の音が入ってこないようにして、彼の口が開くのを待つのだ。

    書名にもなっている「熊の敷石」は、著者自身を思わせる日本人青年が、しばらく会ってなかった友人のヤンを訪ねてノルマンディーの小村を訪れるところから始まる。内省的な主人公にとって、自分の考えを人との会話の中に出すことは限られる。ましてや外国語を使ってというハンディがあってはなおさらのこと。しかし、ヤンとの間には「なんとなく」心を許せる関係が続いている。それが、互いの間にある距離感を読み誤らせるのか、ユダヤ人であるヤンの記憶の中に「私」は踏み込んでしまう。友達面をして、語りたくないことまで語らせ、かえって相手の傷を深くさせている自分を、ラ・フォンテーヌの『寓話』の中にある、顔に止まった蠅をつぶすために重い敷石を投げて、かえって友人を殺してしまう熊の中に発見する自己省察の目は鋭い。

    「エセ-」とは、「試考」「試論」の意味である。モンテーニュに始まるこのジャンルは、自分の身のまわりの小さなことから、自分では何も見つけられない事がらにまで判断力を適用する試みのためにある。堀江氏は、自分の作品がエッセイと小説の中間のようなものと解されていると、別のところで述べているが、彼の作品は、この国では随筆のようにとらえられがちな「エッセイ」より、語の本来の意味である「エセー」そのものではないのだろうか。

    ただ、その文体は、かつてはあったようでいて、本当はどこにもなかった種類の小説の文体を持つ。選り抜かれた言葉が、それでいて彫琢されたというでもなく、自然な息づかいで、できる限り嘘を言わないように注意深く語りかけてくる。現今、「小説」という名で売られている数多の作品を読んでも、このリアリティーに比肩するものに出会うことはない。

    著者自らの手になる装幀はエルヴェ・ギベール撮影の写真を無地の白い表紙にのせたもの。翻訳書を思わせる瀟洒な趣が本を手にとるときの歓びを倍加させる。他に、「砂売りが通る」「城址にて」の二篇を含む。

  • 2012.11.23

  • 白黒で、もの静かで、穏やか。
    最初は流し読みをしてしまっていまいち良さがわからなかったが、一行一行を丁寧に読むと、深みがあって、なんだか幸せ。

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著者プロフィール

作家・フランス文学者・早稲田大学文学学術院教授

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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