天地のはざま

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 363
感想 : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062106733

作品紹介・あらすじ

『月神の統べる森で』(野間児童文芸賞受賞)『地の掟月のまなざし』に続くシリーズ、第3弾
神と人間とが織りなす愛と闘争。ファンタジー連作、佳境へ!

悠久の昔。国土は月神の統べる深い森におおわれ、ムラびとたちは自然の恵みに感謝してくらしていた。あるとき、海の向こうから日の神を奉じる民がやってきてクニをたて、数千年の平和が破られた。戦乱の予兆のなか、いにしえの予言どおりふたりの少年が、それぞれの宿命の道を歩み始める。「星の子」であるしるしの翡翠色(ひすいいろ)の目をしたポイシュマと、高貴な血を引きながらクニを逐われたワカヒコ。敵味方をこえ友情を結んだふたりだったが、交易の旅に出かけた塩のムラで、アヤのクニで、また絶体絶命の危機におちて――。

感想・レビュー・書評

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  • ワカヒコらはムラの言葉を覚え、ムラでの生活に馴染んでいく。
    しかしホムラは、クニに戻って自分が第一人者になる野望を捨てていない。
    雪がまだ残っている春先、交易のために、アテルイのムラの人たちは、塩のムラに行くことになる。
    そのメンバーに選ばれたポイシュマ、ワカヒコら。
    交易は互いの「信頼」を第一に、無事に終了するも、ホムタがもっと取引を有利に進めるように談判すべきだと主張し、ムラの皆から白い目でみられる。
    そんな中、山を焼き、ムラの者を奴隷として使役する、アヤの民が塩のムラに攻めてきて…

    あらー、ホムター!
    何か、いい死に方しないだろうと思ってはいたけど、半端で無念な死に方でした。。
    彼なりに、自分の進むべき道を模索して歩んでいたのだと思うけど。
    ある意味、人間らしい。というか自分に近いものを感じた人物だけに残念。

    他方、ポイシュマは、激しい怒りと憎しみから巨大なおろちを出現させるのだけど、何がどうなったのかよくわからなかった(笑)
    ポイシュマ、そっちか!

    作者の主義らしきものの主張がどんどん明確になってきたなと思う。
    完全なる「悪」の登場です、アヤのタジシヒコ。
    自然とともに平和に暮らしてきた人々が、武力によって完全に支配され、築いてきた生活も受け継いできた伝統も、踏みにじられ失われていく。
    でもこれは、本の中の出来事ではなくて、全世界で実際に起こってきたことなんだけれども。

    さて、次巻は最終巻だ。

  • ワカヒコは、汚れた部分を持たなければ生きて行けない運命だね。でも、その覚悟は出来てる。ポイシュマは、清い魂を失わずにいられるのか?
    ムラの人々の生きざまが考えさせられる。

  • シリーズ第3弾。
    オロチ登場。

  • ますます面白くなってきた。

    この巻は、人が抱える業を描いている。
    一度持ってしまうと、人は、もう戻れないということだ。
    ホムタの行く道は、これしかなかったのだろうけど、それでも悲しい。もっと別の道もあっただろうに。
    でも、いい役どころだ。
    戻れない側のワカヒコが、ヒコとして、どう立っていくのか。楽しみだ。
    一方で、オオモノヌシになったポイシュマの運命も気になる。人が抱える業と、どう向き合っていくのか。
    最終巻が楽しみだ。

  • おやホムタ!
    腹黒いまま成功して欲しかったなぁ
    そしてもっと悪い人キター
    アヤのタヂシヒコ、ギラギラの悪役です。
    人間味あふれる部分も描いてくれると面白いんだけど、ヒメカのときもそういうのはなかったのでないかな。
    なんかヒメカもロマンス的なアレコレがあったりしたら面白かったんだけど。
    あと、ヤタカは使える男。笑

  • ヤタカがいいですねー。
    これは私が30代だからでしょうか?
    守るべきもののある人間の強さを感じます。

  • いやだホムタ!!
    人間味のあるホムタは嫌いだけど好きだったよ
    タヂシヒコは真っ黒い、分かりやすい悪だった
    若者の心が腐らないように、お導きを疑うことのないように、真っ直ぐのままでいられますように
    願わずにはいられない

  • タイトル「天地のはざま」とは、争いを好まぬ清らかな心と、恨み憎しみを抱いてしまう心とのせめぎ合いを表してるように思われます。物語りも今までの危うい関係が崩れ、幾つものムラ・クニが戦いに突入してしまいますが、根本的に考え方がこうも違うと相容れない物なのでしょうか。ヤタカをはじめ何気に脇役の者達がしたたかです。それにしてもポイシュマの正体には驚きました。

  • 基本的にはだんだん面白くなってきているこのシリーズですが、やっぱりストーリー・テリングの面で弱いなぁと感じるのは善 vs. 悪の対立軸にこだわり過ぎている感がある点じゃないかなぁ?  悪役の「クニの民(≒ 弥生人 ≒ 日の神の民)中にワカヒコという純粋な心を持ちつつ、賢くも勇敢なキャラ(但しこの時点では単なるクニを追われた放浪者に過ぎないけれど)を持ってきて、弥生人は悪い奴ばかりじゃないとでも言いたげな展開なんだけど、ワカヒコを追い詰める人間たちが揃いも揃って碌なヤツじゃないような描き方になっているのでどうしても、縄文人≒善 vs. 弥生人≒悪 というシンプルな構図に落ち着きがちだと思うんですよね~。

    今、KiKi は最終作「月冠の巫王」を読み始めようとしているわけだけど、そのまえがきを読んでみて思ったんですよ。  ああ、ここに書かれているこの言葉の背景が語られていないから、善 vs. 悪に向かいがちなんだなぁ・・・・と。  そのまえがきっていうのはこんな感じです。

    すべての自然には神が宿り、人はその恵みによって生かされている、と信じる「月の神の民」と、巫女ヒメカに率いられ、自然を征服すべき対象と考える「日の神の民」-。 (以下略)
    そうなんですよ。  この物語で描かれている弥生の権力者たちは、ただただ非道、残虐、狡猾、強欲なんじゃなくて、農耕民族の性として「自然を征服すべき対象と考えている」ことがポイントで、その延長線上で自然から与えられるものを分かち合いながら生きているムラの人々(≒縄文人)を「遅れた野人」と考え、そんなムラの人たちのその日暮らしの生き様を「現状に甘んじ進歩を求めようとしない怠惰の人々と侮蔑し、進歩を求めないような動物的な生き方をする輩であれば支配されて当然と考える思想に行きついている・・・・・と KiKi は思うんですよね。  同時に、彼らは後からこの大地へ乗り込んできた「新参者」なわけで、逃れてきた彼らの故郷には帰れないし、ここで定着できなければ「居場所のない人々」となってしまうんだと思うんです。  そんな彼らの「後には引けない」という意識が彼らの残虐性・攻撃性に拍車をかけていると思うんですよ。  そのあたりを感じさせる記述が全くと言っていいほどない。  

    一方、ムラの人々の生き様の厳しい面(飢え、狩猟中の事故等々)の記述が甘いのであたかも縄文人の生きていた世界が桃源郷みたいなホンワカムードを醸し出しているのも、綺麗ごとすぎてリアリティがない・・・・・。  

    まあ、ここまでの感想からすると著者は日本人が忘れ去ってしまった(≒ 思想的に滅びてしまった)、人は自然と共に生きているという感覚、そんな中で育まれたアニミズム的な宗教観に基づく風習といったものを賛美し再認識したいという思い入れと、言葉も考え方も価値観も異なる2つの文明がぶつかったときに争い以外の解決策は本当にないのか?という命題を問いかけたいがためにこの物語を書いているんだろうなぁと感じられるんだけど、もしもそうであるならば尚更もうひとひねりが欲しい所だと思わずにはいられません。  現代はそんな時「誰にも理解されやすい正義を振りかざした力の強いもの」が支配していくという帰結しか持っていない時代なのですから・・・・・・。

    (全文はブログにて)

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