少年トレチア

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 96
感想 : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062108096

感想・レビュー・書評

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  • 2010/11/26

    一言で表すなら、すごく気味の悪い、気持ちの悪い話でした。
    本の装丁が少年の顔半分のバージョンの奴だったんだけど、
    初め手に取った時はなんとも思わなかったのに、物語を進めるにつれて
    トレチアに見られているようで気持ち悪いったらなかったです。
    ふと表紙を返した時に目があってどきっとしてしまった。

    それぐらい久しぶりに吸い込まれる本をひいたなと思いました。
    子供の純粋たる天使性を全否定していて、小動物殺しやいじめや人殺しとか、全体的に眉をひそめてしまうエピソードばかりで、
    そういえば昔はこういうのを読むと、がっくり世の中が嫌らしく思えて数日気が塞いだものでしたが、最近はそうでもなくて、うーん世の中斜め読みだよね、とか区別がつくようになったのかな、鈍くなったのか、昔が繊細過ぎた(笑)のか。

    トレチアの存在が不気味です。
    果たしてそれは子供の方便?それとも嘘からでた真?全く違う幻?夢?
    トレチアっていうのが、結局子供にしか見えない・感じないものであるのは間違いないようですね。最後に、あかねの目から求心力が失われた、という描写があったので、きっとあかねはもうトレチアじゃないんだろう。でもそれまではトレチアだったんだろう。
    トレチアに実体はなくて、しいて言うなら意識、なのかな。
    大人になると忘れる、でも傍にいた。いつのまにか記憶がすり替えられて、それは自分ではない誰かになる。トレチアが生まれる。
    その時すでにトレチアは誰にとっても”嘘”になるけど、その時までは実体だった。それは自分の声であって、誰かの声であって、トレチアというモノだった。トレチアは罪をなすりつける罪悪感そのものかも。誰かが言った罪、をすべて背負う存在がトレチアっていうのかな。
    大人にはルールがある、社会がある。
    そこにトレチアがいる隙はない。

    正直最後のほうのマカラは、よくわからなかったんだけど…
    あらゆる意味を込めて、すべて悪い夢、っていうことで。







    2011/7
    えええええ!気付かなかった、津原やすみさんなんだ!
    さっき別の調べ事してて気づいたよーわー。
    小~中まで御多分に漏れず少女小説にどっぷりはまっていました。津原やすみさんの本はすこし難しくて手を出さなかったのですが、ふと読んだエイリアンシリーズの番外編?みたいななにかの離れ離れになる二人が悲しくて悲しくて今でも印象に残っています。ヒロインとヒーローはあらゆる障害を越えて必ずハッピーエンドなんだ!と強く信じていた子供としては、そんなのってありなの?と衝撃を受けて、きっとこの裏にハッピーエンドがあるんだ、と何度もそこだけ読み返した記憶があります。なんていう本だったかな…。今ならあのエンドの意味がわかりそうな気がするんだけど…。

    昔も今も私を鬱々とした気持ちにしてくれるなあ。すごいなあ。笑

  • 久し振りの長編。
    最初は「えっ…こう云う(日本的な)ホラー…?」とか思ったんだけど、読み進めて行くとどうも違うっぽい。僕はリングとかそう云う系の日本ホラーは好みません…
    てか、読んでてちょっと疲れたかな´`
    特に、サテライト崩壊ら辺から。
    読む気が無くなった訳ではないんだけど、なかなか読み進まなかった´`
    結構時間がかかってしまった。
    でも、読み応えは有り!
    しかし、相変わらず理解力の無いわたくし\(^o^)/
    結局トレチアって?←根本的

    てかこの人!
    ホシオの人!!!?
    あー…著者紹介のとこにも書いてるわ。
    「津原やすみ名義で少女小説を」って。
    うちのねぇちゃんがエイリアンシリーズ超好きだったから、全巻有るんだよね(゚∀゚)
    昔は名前って全く気にして無かったから、当時読んでた漫画家さん作家さんの名前って全然覚えて無いんだよね。
    でも昨日、偶然にエイリアンシリーズを目にして、
    あれ?津原やす…名前同じじゃね?同じ人?…いやまさか。
    とか思ってたんだよね(゚д゚)
    もう一回エイリアン読もうかなぁ、とか思ったりw
    へ〜こんな文章も書ける人だったんだ!
    何か衝撃で感動した。
    綺譚集凄かったもんな。

  • 一九九九年。バブル期に建設された巨大な衛生住宅団地、緋沼サテライトに住む子どもたちのあいだでは、少年殺人鬼〈トレチア〉の噂がまことしやかに囁かれていた。大学生の崇は、幼馴染がサテライト内で何者かに襲われ、彼を見舞いに行く道中ではぐれた恋人の有希が死体となって発見されたことをきっかけに、無意識に目を背けていた己の少年時代の記憶と向き合うこととなる。インスリン依存型糖尿病を患う小学生の晟、崇の妹・あかね、あかねを被写体に8ミリ映画を撮る七与、水晶ペンデュラムでサテライト内をダウジングする落ち目の漫画家・蠣崎らを道連れにして、やがてサテライトは破局へと向かう。


    一九九九年の日本を舞台にして、二〇〇二年に出版された小説、と聞いたときに期待される要素がすべて盛り込まれた、「〈メタ〉世紀末」な小説。津原さんで世紀末というと、本書に先駆けて最近ハヤカワ文庫で復刊したばかりの『妖都』を思い出すが、『妖都』は世紀末の陶酔の只中にいるような感覚がするのに比べ、『少年トレチア』はもっとシニカルというかなんというか、「狂騒は終わった」という目線がはじめからある。
    「崇の幼馴染を襲い、恋人を殺したのは誰か」という犯人探しは中盤で解決し、サテライトの中心部にある人工池に棲むという伝説の巨大魚〈魔加羅〉と、沼地を埋め立てて作られた衛星団地が生み出す歪みについての物語へと移っていく。都市伝説、人口密集地の地盤沈下、少年犯罪、いじめの被害者による復讐劇、セックス依存症の人妻など、悪趣味なくらいゴシップ的な〈世紀末〉要素が次から次へと繋ぎ合わされ、「緋沼サテライト」という場所が世紀末日本のグロテスクな戯画となっていくのだが、その耽美的な文体と激しい暴力描写は、ちょうど劇中と同時期に放送されていたドラマ『ケイゾク』のような脳内映像を作り出す。
    良かったのは、崇と晟、この二人は殺人者であり、物語の終わりに亡くなるのだが、魔加羅とトレチアというオリジナルなオカルト要素を組み込んだことで、そこに因果応報的な説教臭さが発生していないこと。特に晟が死を予感しながらハーモニカを吹き、はじめての自作曲を完成させる場面では、とても複雑だが深い感動があった。こんな奴に救済が訪れていいのか?と思う反面、彼の元に最期に訪れた救済に、読者である私も救われてしまうような。これぞフィクションの醍醐味だなぁ。七与の同居人である麗玲と家主の老女が、終盤のカタルシスを迎えてから急に行動的で魅力的なキャラクターになるのも面白かった。
    九十年代という夢(悪夢かも)を、ひとつの街として小説のなかに閉じこめたタイムカプセルのような一冊。

  • おおおおおう…。読んだ後あのシーンを思い出しては思わず胸を押さえてしまう。

  • 不快ではあるけれど、力強くて読むのをやめられない。好きにはなれない気がするけれど、さすがだなぁとは思う。

  • 津原泰水さんの長編。
    「妖都」っぽい陰鬱さと美しさが堪能できます。
    ホラーと云うかミステリと云うか。
    「で、何だったの?」って云う感想に
    陥ると全く面白くない小説ですが、
    鏤められたエピソードを一つ一つ
    味わいながら楽しめる
    美しい小説だと私は思いました。

  • 装丁はこれじゃないんだけど
    どっちにしても気味悪いのが気になって
    買おうか買うまいか考えていたら図書館にアッター

    「悪いのはトレチア」って帯に書いていたと思うんだけど
    そういう思念みたいなものに操られて悪いことしちゃう
    たぶんそんな話だろうと思っていたら
    ずいぶんとっちらかったお話だった・・・

    作中で登場人物が小説を書いているんだけど
    ネタをいっぱい詰め込むだけじゃだめみたいなことを
    その登場人物が言っていたはずで
    それ、そのままこの小説に当てはまるなーとオモッタ
    あれもこれも詰め込んで
    何が言いたいのかちっとも伝わってこなかったな
    後半、地球外生命体みたいなの出てくるし
    なんじゃこりゃ???と首をかしげてしまった

    好感を持てるキャラクターもまったくいないし
    小説としての体裁も落ち着かないし
    内容も気持ち悪かったです

    図書館の本でよかったなーとオモイマシタ

  • この作者は初対面。面白かった。けど、つながりが難しく、ちょくちょく戻りながら読み進めた。
    この味わいは癖になるかも。

  • ※(自分メモ)装丁は少年の顔半分バージョン。

    ※(自分メモ)記録開始:2011.08.16以降

  • 都市と夢、という響きは同作者の『バレエ・メカニック』を思い出すけれど、全く味付けの違う話だった。正直前半部分と後半部分は別の話にした方がウケがいいと思うのだが、あとがきでも書いてあるように詰め込まずにはいられなかったんだろう。

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著者プロフィール

1964年広島市生まれ。97年『妖都』を発表。以後、『蘆屋家の崩壊』をはじめとする〈幽明志怪〉シリーズや『綺譚集』『少年トレチア』などの幻想小説で人気を博す。2014年には「五色の舟」がSFマガジン「オールタイム・ベストSF」国内短篇部門1位。また、本作を近藤ようこが漫画化したコミック『五色の舟』で第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。他の著書にベストセラーとなった『ブラバン』などがある。

「2016年 『エスカルゴ兄弟 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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