黒と茶の幻想 (Mephisto club)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 232
  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062110976

感想・レビュー・書評

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  • 漬物石の話が印象的。

  • 高校時代から大学まで恋人だった利枝子と薪生。薪生と幼稚園からの幼馴染の節子。薪生と大学からの友人で、妙にウマが合う彰彦。四人は思い付きとのような成り行きと、必然で四泊の屋久島旅行へ。

    『利枝子』
    彼女はかつて自分の出会う最上の男と付き合っていた。自分たちはこのままうまくやっていけると思っていた。それがかなわなかったのは、薪生の心変わりが原因だった。彼は利枝子の親友、憂理に心を奪われたのだ。小さいころから子役として舞台に立ってきた彼女は美しく、脆く、そして強い女だった。利枝子は薪生との一件があってなお彼女と会いたかった。しかし彼女が大学の終わりに集大成として立った一人舞台の夜以降、彼女は利枝子の前からいなくなってしまった。彼女が自分に会いたくないのか、いやそんなことは考えられない。利枝子は疑っている。あの夜、薪生が彼女を殺したのではないかと…。
    利枝子はこの旅で彼女と薪生と自分との過去の事実をつきとめる決心をする。

    『彰彦』
    彰彦はこの旅のプランを立てながらほかの四人に、提示した。“この旅行の目的は非日常だ。”"過去の中に潜む美しい謎をみんなで解き明かし、過去を取り戻そう"と。
    彰彦は資産家の一族に生まれ、容姿も淡麗、資質も持ち合わせていたが、ほかの四人に言わせれば口を開かなければ完璧な男だ。彼には姉がいる。顔のよく似た、淫乱な姉。彼女は彰彦の友人の何人かと関係を持ち、彼らをぼろぼろにして捨ててきた。彰彦は彼女に親しい友人を紹介するのを控えていたが、それでも被害は出る。
    三日間かけて屋久島の一番古い杉を見に行く。そのための体作りをかねて前二日間はゆるめの森を散策する。深い森を歩きながら、彼らはしゃべり続ける。いくつかの謎。いくつもの雑談。その中から彰彦は自分に眠る謎を思い出す。それは高校時代に仲良くなった友紀が殺された真相だった。

    『薪生』
    彼は半年ほど前から妻と別居をしている。理由は"誰かといることが嫌になったから"。薪生は自分のことを"ひとでなし"であると理解しているが、だからといって何とも思わない。周りから"寛いでいる""リラックスしている"といわれるが、それはどうでもいいからだ、そしてポーカーフェイスがうまいから。
    彼は憂理の秘密を知っている。彼女の押し秘めた熱情。
    そしてほかの三人はこの秘密の告白を待っている。
    そして薪生自身は、告白から得られる解放を。
    役を演じるように、そのスポットライトの下に立つ時を待っている。

    『節子』
    節子の旦那は今末期の癌と戦っている。今年の冬は越せないだろうといわれている。そんな彼がこの旅行を快く送り出してくれた。それを受け取って旅を楽しむことが彼女の愛の証だった。
    節子は昔から何度も見る夢があった。場所はばらばらだが、紫の割烹着を着たおばさんが追いかけてくる。節子は必死に逃げる。
    旅の最終目的の杉を目指しながら、彰彦はこの工程の終わりまでにその夢の謎を解くと息巻く。
    彼女は深い森に魅せられながら、一本の杉を目指す。今は何の利害関係も持たない友人たちと。

    そしてもう一つの目的の"三顧の桜"の姿を探して。


    ずっと読みたくて、なのに機を逃し続けていた一冊。
    初期の恩田さんらしさ炸裂。美しい情景と心理描写の一体となった文章。危ういのに端正な登場人物たち。軽妙な会話、ぐさりと刺さる言葉。ものすごく好きだと感じた。読み終わって、また読むとそれぞれの章でまた見えてくるものがあるのだろうな。
    ラストは涙ぐんでしまった。
    恩田さんの描くノスタルジーは、肉体を持つ前に一時解けていられる完全なものに思いを馳せるような、還れるけれど今は帰れない場所に向かっていて切ない。

  • 森が迫ってくる様な

  • 興味深いミステリー とある島に旅行に行く男女4人組 その道中、過去に起こった不可解な出来事を「美しい謎」と称し、紐解いていく 美しくない事実も多いが全体として美しくまとまっている さすがは恩田陸

  • [ 内容 ]
    目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない森のことを考えていたのだ。
    どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。
    学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。
    卒業から十数年を経て、4人はY島へ旅をする。
    太古の森林の中で、心中に去来するのは閉ざされた『過去』の闇。
    旅の終わりまでに謎の織りなす綾は解けるのか…?
    華麗にして「美しい謎」、恩田陸の全てがつまった最高長編。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 分厚いが、すっと読めた。仲の良かった4人の男女が中年にさしかかり、旅行に行き、過去のことを語り合う話。それぞれの人物が魅力的で所々にある謎解きもおもしろく、一気に読めた。

  • 不思議な魅力を称えた物語。

  • 自分たちで計画して行ったにもかかわらず
    何かに導かれていたみたいな感覚にとらわれて
    気持ち悪かった。
    しかし三センチ超の厚みはさすがに疲れる・・

  • ずっと前に読了。もう一度読んでみようかな。

  • 理を憂う。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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