黒と茶の幻想

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062110976

感想・レビュー・書評

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  •  学生時代の友達と話すのは特別に楽しい。社会的に意味のない会話。生産性のない無駄話。でも真剣な知的考察。長い時を共有してきた者のみが交わせる、奥深い情けや皮肉や推察。社会人になってからの、立場をわきまえてしまった者同士の会話とは大きく異なっている。

     学生時代からの友人四人の男女が、数日間の旅をする。四人の一人称と四つの章。それぞれだけが持っている疑惑や秘密・記憶。森の木々のように折り重なって行く風景。

     この物語はどこへ行くのか、どんな風な結末を迎えるのか。カテゴリも分からず、だがその魅力に取り付かれながら読み進める。まさに深い森を歩き続けるかのように。

     ストーリー以外にも、彼らが交わす会話の中に気持ちをつかまれるものが、あちこち散りばめられています。忘れられない、また戻りたくなる旅のような一冊でした。

  • 男女4人で謎を持ち寄ってY島へ行く。
    語られる大小様々な謎。
    初めて読んだのは8年程前になるのかな?
    何度も読み返して、謎に浸ります。

    こちらを読む前に『三月は深き紅の淵を』を読むことをおすすめします。

  • 読んでいると苦い思いが沸き上がる。
    この本は600ページの長編ミステリーで、「麦の海に沈む果実」に登場した人物がこの本の物語の鍵を握っていたりと色々と話題性に富んでいる。
    この本の関連作品を読んでなくても、1つの本として楽しめるので疎外感を感じない。
    またこの本の話もミステリーは置いといても、人物達の会話が中々面白く色々と気付かされる。
    この本の主要人物達は、大学時代から現在30歳前後になっても仲の良い男女2人ずつの4人組。
    利枝子・蒔生・節子・彰彦。
    でも訳あって普通の4人組ではない。
    その4人が旅行に行くことになり、そこから過去を巡る物語が始まる。
    この4人組の会話が良い意味でとても重々しい。
    嫌な重々しさではないけれど、誰もが経験したことがある苦い思い経験をこの4人組の会話から見つけられ気付かされる。
    助けて、と言えない少女の不遇さの話。
    仲間だからこそ感じる良点と欠点、自分自身の評価、そして優越感の話など。
    話の転末よりもこの会話の描写に色々と気付かされて魅力的だと読んで私は思いました。

  • 自分が思っていたことを代わりに表現してもらった気分になる。

    もっと後味が悪い終わり方を期待していたので、★四つ。

  • 読み応えありすぎました!
    屋久島へ旅する男女4人の過去の謎を紐解く。
    状況分析、心情分析、人生分析、自分分析、性格分析・・・
    分析、視点、考え方が
    旨く書き表されていました。
    すごいです。
    (あらためて、ゆっくりと再読しようと思います。)

    鳥がまったく存在しないという森
    静寂、自然の癒しに興味。
    屋久島、行ってみたいです。

  • 生きていくということは美しい謎に満ちあふれる森の中を歩いているようである。
    暗くうっそうとした中を彷徨っているかのような不安。それでも森はどこか魅惑的なものに満ちあふれている。
    生きていたい、前に進みたいと思う限り、人にはそれが可能だというのを感じさせられる。楽観とは違う意味あいでの生きていく活力を与えてくれる作品です。

  • 恩田陸のエッセンスがいっぱいつまっている1冊。

  • 屋久島などを舞台とした作品です。

  • 2002年8月24日読了。

  • 脇道に逸れそうな逸話がたくさん入ってるけど、その逸話そのものが、恩田ワールドを彩ってて好き。でも、とにかく分厚かった。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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