蚊トンボ白鬚の冒険

著者 :
  • 講談社
3.59
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本棚登録 : 209
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (587ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062111980

作品紹介・あらすじ

ランナーの道を断念して以来の全力疾走をした日、若い水道職人・達夫は、羽音とふしぎな声を聞く。奇妙な能力を持った蚊トンボ"白鬚"が頭に侵入してきたのだった。達夫はシラヒゲの力で、オヤジ狩りに遭っていたアパートの隣人・黒木を救う。黒木は、株取引で巨額の損失を暴力団に与え、血眼で行方を追われる身だった。彼らは、黒木の居場所を達夫に吐かせるため、恋人・真紀をターゲットにしたが、凶悪な気を放つ赤目の男の介入に、達夫は闇社会に真っ向から挑む道を選んだ。長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 私の大好きな作家の一人である藤原伊織氏。
    待ってましたよん!(文庫になるのを・・ですが)。
    いつも「藤原氏は遅筆でいか~ん!」などと周囲にわめき散らしていたのですが・・・なんと、ガンとの闘病生活を送られていたのですね。
    日本へ帰国していた私は偶然にもゴシップテレビ番組でそのお姿を拝見した次第です。
    それも父を肺がんで亡くしたばかりだったもので、がんばってください!そして、素晴らしい作品を世に送り出してください!とテレビに向かってお願いしました。
    さて、今回の「ハードボイルド・ファンタジー」、やはり楽しませていただきました!テロパラ(テロリストのパラソル)風を期待していた方には、おいおい!?という始まりではあるでしょうが、本書でも金融経済のシステムや闇の部分を分かりやすく解説されています。
    一庶民としましては、なんだかなぁ~とやるせなくなってきちゃいましたけどね。
    でもそんな暗さばかりではありません。
    なぜに?を除けて、達夫君の頭の中に入ってしまった蚊トンボ・白鬚のユニークな会話、無気力そうでいて男気があり、ハードボイルド的性格の達夫君をはじめ、脇役のキャラが際立ってよかったです。
    なんとなくわかってはいたものの、終わり方には賛同できませんでした。やっぱね・・・・(ううう、言いたい!ぶっちゃけたい!!)。
    ということで、ハードボイルドはね~という女性の方にもオススメできる作品間違いなし!です。

    この感想を書いたとき、藤原氏は闘病中でした。
    ご存知とは思いますが、2007年に他界されました;;
    本当にショックでした>< もっともっと素敵な作品を書いていただきたかったです。
    ご冥福をお祈りします。合掌。

  • 伊織節炸裂。ハードボイルドファンタジーと呼びたい。

  • 藤原伊織作品では珍しくファンタジー要素がある。主人公に蚊トンボ(名前が白髭)が寄生(というか住み着く)するという所から始まる。
    前半の何が起きているか分からない面白さに比べ、後半の謎を紐解く段階が少しスピードダウンする感じはした。

  • 読み始め(^。^)

  • コインランドリーで、アパートの隣室に住む男と会った事で事件に巻き込まれていく倉沢達夫。
    時を同じくして彼の頭に蚊トンボが住みつく。
    蚊トンボと達夫の会話、そして人物描写がとても良い。

    でもラストはどうだろう。
    カイバラとの対決はいまひとつのような気がしないでもない。

  • 内容はけっこう面白かった。
    のめり込めるし、先が気になる展開。
    ただ、読み終わってみると、なんだったんだろうーなぁーっと疑問に思う点が多々ある。
    藤原伊織さんの作品って、ちょっと奇想天外な作品が多いなぁーっと思う。
    綺麗な主人公ではなく、凡人が主人公になるっという展開が多い。

  • 荒唐無稽なんだけど、生きてるって感じ(矛盾)
    相変わらず登場人物+白鬚が魅力的だが、
    終わり方があんまり気に入らないので★3つ

    でも面白かったし、すっごい調べてある!

  • 設定は斬新だけど、カラーは変わらず。同作家を連チャンで読んだので、さすがにマンネリ感は否めず。

  • もう、数頁で倉沢くんに参ってしまった。
    自分の信念と、正しく義理と、責任だけに従って行動する、ある意味では無鉄砲さに。
    蚊トンボが住み着くことでほんの一瞬、爆発的な筋力や瞬発力を持つことにもなったのに、それを自慢しなければ悩みもしない、躊躇もしない、使うときは遠慮なく使う。その能力の所為で色々な人の決して綺麗とはいえない思惑に巻き込まれても、それを責めもしなければ、不必要に背負いもしない。
    正しく“聡明”で強い人なのでしょう。それであの結末には、もうため息しか出てこないなあ。

    IT系の経済業界が絡むので、経済おんちな私は流れすらあんまりよく分からなかったですが、それを補ってあまりあるストーリー展開のスピード、奇抜さと、魅力的な登場人物にただ夢中になりました。

  • うーん。面白かったのは面白かったのですが、それは主人公2人(1人と1匹?)などによる掛け合いが良かった点が強い気がします。
    1つの身体に2つの頭脳と相棒ものにしたかったんだと想像しますが、超常的ではない方法は無かったのでしょうか。
    自動車産業、経済界と出たものの、黒木という人物に肉付けをする為に用意されたダケのように感じる点もちょっと残念ですし、
    結末もちょっと…。

    結局2つの魂は、どうなったのでしょうね。

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著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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